2002年の帰国から20年超、今も消えない焦燥感

北朝鮮による拉致被害者の蓮池薫さんが先月、福山市でテレビ新広島(TSS)の単独インタビューに応じ、拉致問題の早期解決に向けた支援を広く訴えた。
「国民の世論は依然として冷めていない、諦めてないっていうところをメディアを通して北に伝えたい」
こう力強く語る蓮池さんは、1978年に当時交際中だった妻・祐木子さんとともに地元・新潟県の海岸で北朝鮮の工作員に突然連れ去られた。それから24年もの歳月を北朝鮮での生活に費やし、2002年にようやく祐木子さんを含む5人とともに帰国を果たした。
しかし問題は解決していない。日本政府が拉致被害者と認定している残る12人について、北朝鮮は「死亡」もしくは「入国していない」と主張し続けており、帰国への道筋はいまだ見えていない。

結果でしか評価できない、長すぎた年月

蓮池さんは現政権への期待を示しながらも、解決には限られた時間しか残されていないという焦りをにじませた。
「いかんせん結果でしか我々はもう評価しないっていうか評価できないような、今まで長い年月が過ぎ去りましたので。未帰国の被害者の親御さんおひとり早紀江さんだけになってしまって、90歳を迎えて、それを政府はありきたりの言葉で表現されちゃ困るなっていうのはありますよね」
待ち続けてきた家族の年齢を考えれば、もはや「時間の猶予がある」とは言えない。その現実が蓮池さんの言葉に重みを与えている。

北朝鮮拉致被害者・蓮池 薫さん
北朝鮮拉致被害者・蓮池 薫さん
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広島を「核になる地域の一つに」

拉致被害者の一人である横田めぐみさんがかつて広島市で暮らしていた縁から、市内では支援団体がめぐみさんにまつわる映画の上映会を積極的に開いてきた。蓮池さん自身も、広島での拉致問題に対する関心の高さを肌で感じているという。
「(広島には)核になるような所の一つにぜひなってほしいなと。多くの人に今の状況、知っていただいて力貸していただければなという思いは非常に強いです」
広島がこの問題を継続的に発信する拠点の一つになることへの期待は大きい。

横田めぐみさんの支援団体が上映した映画
横田めぐみさんの支援団体が上映した映画

若い世代への継承が「心理戦」を制する

現在、新潟県内の大学で教壇に立ちながら各地での講演活動を続けている蓮池さん。全員帰国という悲願を実現するため、当時を知らない若い世代へ問題の現状を伝えることにも力を注いでいる。その理由について、蓮池さんはこう明かした。
「北側から見ると、濃淡じゃなくて、日本の全土に見えちゃうわけですよ。こっちにも声あがった、あっちにも声が上がったっていう話ですからね。ある意味心理戦的な要素もあるんですよ。日本は若い人たちに根付いてるよっていう意味合いなんですよ。あ、長期戦やっても無駄だなと認識させたい」
関心が全国の若い世代へ広がることが、北朝鮮に対して「日本は諦めていない」というメッセージを突きつける力になる。蓮池さんはその確信のもと、今日も言葉を発し続けている。

テレビ新広島

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