えん罪被害者救う「再審法」の見直しを巡って、自民党本部では、5月13日午後5時45分ごろから、「原則抗告の禁止」が本則に明記される政府の修正案について議論が行われます。
取材を続けてきた関西テレビ・司法キャップの水本翔記者が自民党本部から、これまでの動きや、今後の見通しについて報告しました。
(内容は2026年5月13日午後5時半現在のものです。)
再審法の見直しを巡っては、前回、法務省が示した案では再審=「やり直しの裁判」の開始まで長期化する要因の1つとなっている検察側の「抗告」(不服申し立て)について、「原則禁止」とされました。
しかし法律の本体部分ではない「付則」に盛り込まれる案だったたため、反対が相次ぎました。
今回は法律の核部分である本則に「抗告の原則禁止」が盛り込まれ、自民党で了承される見込みですが、「原則禁止」であることから、水本記者は「抜け道があるのでは」と懸念を示しました。
また、再審を求める際の証拠の開示範囲が限定される見込みであることを踏まえ、「証拠は無実を訴える人がそれを証明するためにも使えるべきだと考える」と訴えました。
■抗告の“原則禁止”で了承へ 不服申し立てが行われる可能性は残ることに
【関西テレビ・司法キャップ 水本翔記者】
反対派の急先鋒だった稲田朋美議員は先週、「法律の核部分である、本則に『抗告』の原則禁止が盛り込まれるなら了承する。それが最低ラインだ」と話していました。
これまで、政府案を批判してきた議員からは、今回の修正案を評価する声が多く、会議では了承される見通しです。
ただ、もともと、反対派は抗告の“全面禁止”を求めていたわけですから、“原則禁止”では、不服申し立てが行われる可能性を残しているため、それが「抜け道」になってしまう懸念は残った形です。
■「裁判所は再審請求の理由に関連する証拠の提出を命じなければならない」と規定か
今回の再審法改正の議論ですが、検察の抗告の在り方のほかに再審を請求するにあたっての、証拠の開示の在り方についても議論されています。
【関西テレビ・司法キャップ 水本翔記者】
有罪が確定した人などが再審を請求する際に、検察側が持っている証拠を開示してほしいと求めても、現時点ではそうした規定がないため、応じるかは、検察次第です。
ただ、このあと出される政府の修正案の中では、「裁判所は再審請求の理由に関連する証拠の提出を命じなければならない」と規定するものとみられます。
■「関連する証拠」とすれば、開示される証拠の範囲は限定的になる懸念
(Q.この証拠開示の規定の案には課題はないのでしょうか?)
【関西テレビ・司法キャップ 水本翔記者】
刑務所に入っている方や代理人は有罪を覆すことができる証拠がどこにあるか、再審を請求する時点では分からないことがほとんどで「関連する証拠」とすれば、開示される証拠の範囲は限定的になる懸念があります。
日野町事件で死後に再審開始が決まった阪原弘さんの遺族・阪原弘次さんは、いまの修正案では「再審理由の証拠と関係ない」として、有罪を覆す証拠が出ないため、証拠の全面開示を訴えています。
■証拠は「無実を訴える人がそれを証明するためにも使えるべき」
こうした遺族の言葉を受けて思うのは、そもそも、「捜査で得られた証拠は、誰のものか」ということです。
証拠というものは、検察が人を有罪にするために使うだけでなく、無実を訴える人がそれを証明するためにも使えるべきだと考えます。
80年近く前に制定されてから一度も改正されていない法律で、多くのえん罪被害者が苦しめられてきたわけですから、証拠の在り方についても今後、国会で議論が深まることを願います。
(関西テレビ「newsランナー」2026年5月13日放送)