ハンセン病患者に対する強制隔離政策を定めた「らい予防法」が廃止されてから今年で30年です。この隔離政策をめぐり国の責任を追及した裁判で勝訴判決を掴んだ元患者の男性が大学生に差別や偏見の実態を訴えました。
【竪山 勲さん】
「日本が間違いを犯したなら日本を正す、ただそれだけ。そういう思いで『らい予防法違憲国賠訴訟』を立ち上げた」
竪山 勲さん 77歳です。
13歳のときにハンセン病にり患、鹿児島の国立療養所、星塚敬愛園に入所しました。そして 患者に対する強制隔離政策を定めた「らい予防法」廃止から2年後の1998年、合志市にある菊池恵楓園の入所者などと原告団を立ち上げ。人権侵害があったとして国を提訴しました。
これに対し、熊本地裁は原告の訴えを全面的に認め強制隔離政策を断罪しました。
【竪山 勲さん】
「分かっているだけでも7696人の小さな命が奪われていった」
4月29日、熊本大学法学部の教壇に立った竪山さんは療養所の入所者たちが断種や堕胎の手術をさせられ、子供を持つことができなかったことなどを学生たちに伝えました。
【竪山 勲さん】
「何カ月の子供であろうが、8カ月、9カ月であっても『おぎゃー』と言って生まれたとしても『堕胎手術』ということで子供を下ろした。紛れもなく人殺しが行われていた」
また、竪山さんが「ハンセン病問題の最後のヤマ」とするのが『菊池事件』。
ハンセン病患者とされた男性が殺人などの罪に問われ、無実を訴え続けるも隔離先の「特別法廷」で裁かれ、死刑が執行されています。
熊本地裁は今年1月、遺族の再審請求を棄却しましたが、福岡高裁での審理が続いています。
【竪山 勲さん】
「違憲な(状態の)もとで裁かれたのなら違憲ではない法廷で審理のやり直しをするのが当たり前のことじゃないか。しかし、我が国は男性を裁いた『特別法廷』を違憲としながらきょうこの日まで解消しようとしていない」
そして、学生たちに次のように訴えかけました。
【竪山 勲さん】
「人の命として認められてこなかったのが私たちの命だった。人間の命が人間の命として尊ばれる国であってほしい」
【法学部3年の生徒】
「菊池事件など自分も知らなかったことが多かった。過去の負の歴史に目を留めていくこと、反らさずに目を向けていくことが大事だと再確認した」
差別や偏見を助長し、今なお元患者たちを苦しめている「らい予防法」の廃止から30年。同じ過ちを繰り返さないためにも当事者の言葉に耳を傾け、その歴史を見つめ直す必要があります。