部活動の遠征中だった男子高校生が死亡したバスの事故で、警察は運転手を逮捕する方針を固めました。
そして、高校生の遺族が「深い悲しみの中にいる」とコメントを出しました。
テニスラケットを手に仲間を穏やかに見つめる少年。
痛ましい事故で命を落とした稲垣尋斗さん(17)です。
福島県の磐越自動車道で、部活遠征中の高校生を乗せたマイクロバスがガードレールなどに衝突。
稲垣さんは、この事故で車外に投げ出され死亡しました。
7日、警察はマイクロバスのドライバー・若山哲夫運転手(68)を過失運転致死傷の容疑で逮捕する方針を固め、逮捕状を請求しました。
話を聞いたタクシードライバーは、以前、客として乗せた若山運転手がつえをついて歩く様子を目にしたと話します。
若山運転手を乗せたタクシードライバー:
(車の)乗り降りが大変なぐらい足が悪いくらいな人。つえをついたり傘でつえの格好で乗り降りしているぐらい歩くのは大変でした。だからそういう状態の人がなんで(マイクロバス)運転したのかなって。
事故から一夜が明け、事故発生時の状況が少しずつ明らかになってきました。
事故現場には目立ったブレーキ痕が残っていませんでした。
さらに、死亡した稲垣さんは、衝撃で壊れたマイクロバスの後部から外に投げ出されたとみられることが明らかになりました。
近隣住民:
目の焦点があってないようなトボトボ歩くような。日中に眠気がものすごく差してきて、そんな時に車に乗っていたんじゃないか。
一方で、「運転も一般的な運転と変わりないと思う」といった印象を口にする人も。
若山運転手は、2022年から3年間、新潟県の胎内市役所にドライバーとして勤務していたといいます。
今回は、なぜマイクロバスのハンドルを握ることになったのでしょうか。
部員を乗せたマイクロバスは、高校から依頼を受けたバス会社の営業担当者が手配したものでした。
バスを手配した蒲原鉄道・金子賢二営業担当:
学校の要請でレンタカーを手配して、なおかつ人も頼むという中で紹介した。
会社の業務ではなく、個人的な“お手伝い”としてレンタカーを手配したと説明。
そして営業担当者の知人の知人であった若山運転手に、ドライバーとして声がかかったのだといいます。
バスを手配した蒲原鉄道・金子賢二営業担当:
うちは青ナンバー(営業車)を売ることが前提。その中で青ナンバーより安いということを僕に聞いてくるということですので、やっぱり金の問題。
バス会社は、高校側から“手数料”は受け取っていないとしています。
仮に、運転役の人物が料金をとって人を乗せた場合、その行為は無許可で営業をする白バスにあたる可能性が出てきたのです。
7日午前、新潟・五泉市にあるバス会社に、国土交通省の職員が調査に入りました。
果たして、事故の責任はどこにあるのでしょうか。
アトム法律事務所・松井浩一郎弁護士は「安全に対する配慮が適切にできていたのかどうかは、バス会社が『業務外で知りませんでした』そういう主張は通りにくい。(会社は)しっかりそこを監督する必要があるということにおいて使用者責任という論点が出てくると思う」と指摘します。
死亡した稲垣さんが通っていた北越高校では、午後7時から保護者会が開かれる予定です。
警察は、若山運転手の逮捕状を請求していて、回復を待って逮捕する方針です。
7日、稲垣さんの遺族が「私たち家族は大切な存在である息子を今回の思いがけない出来事で失い、深い悲しみの中におります。そしてこの状況をまだ受け止めきれずにおります」とコメントを発表しました。