大西洋でハンタウイルスの集団感染が疑われているクルーズ船について、スペイン政府は、カナリア諸島で受け入れると発表しました。
今も乗客・乗員の皆さんは不安な日々を過ごされているかと思います。
今後それぞれの国に移送されていくということですが、日本を含めて感染が拡大する恐れはあるのでしょうか。
安宅晃樹キャスター:
WHOによりますと、このクルーズ船の乗客・乗員は日本人1人を含む約150人です。これまでにハンタウイルスの感染の疑いがあるのは乗客・乗員合わせて7人ですが、そのうち3人は亡くなり、4人は重軽症だといいます。そして感染の経路について、まだはっきりしたことは分かっていないものの、クルーズ船がアフリカ沿岸の島々に立ち寄っていたので、船の外で感染した可能性が高いとみています。ただ一方で、夫婦などの非常に近い人の間ではヒトからヒトへ感染した可能性もあるとしています。
山﨑夕貴キャスター:
まだ分からない部分も多いですが、ハンタウイルスの症状というのはどういうものですか?
安宅晃樹キャスター:
日本感染症学会専門医の寺嶋毅医師によりますと、まずそもそもこのウイルスはネズミなどが保有しているものです。ネズミにかまれたり、ネズミの排せつ物に触れたりすると感染する場合があるというんです。初期症状としては発熱、頭痛、せきなどといったインフルエンザに似た症状が1日から4日間ほど続き、これが重症化していくと腎臓や肺の機能が低下します。ただ、厚労省は肺の症状については国内でこれまでに患者の発生は報告されていないとしています。そして特徴ですが、潜伏期間は1週間から最大で6週間と非常に長いのです。致死率については、症状がどこに出るかによって変わりますが、約30%から50%に達して、効果的なワクチンなどはいまだ作られていないというんです。
榎並大二郎キャスター:
症例が少ないというのもありますが、日本国内の感染事例はこれまでにあるんですか?
安宅晃樹キャスター:
日本では1960年代に大阪・梅田駅近くの一角で2人が死亡した例や、1970年ごろに実験動物を通して感染が広がった事例が確認されていますが、現在、国内での感染は報告されていないといいます。
三宅正治キャスター:
クルーズ船は今、海の上で隔離されている状況で、日本人が含まれているというのは非常に気になるところですが、今後の予定というのは決まってるんですか?
安宅晃樹キャスター:
クルーズ船は島々を転々として大西洋を航行していたわけですが、現在はアフリカ西部の島国であるカーボベルデの沖合に停泊中です。船の運航会社によりますと、緊急手当てが必要な2人と船内で死亡した人の関係者の1人の合わせて3人をオランダへ医療搬送する予定だといいます。また、スペイン政府がクルーズ船をカーボベルデよりも少し北側に当たるカナリア諸島で受け入れると発表しました。到着後、乗客・乗員の検査や治療などをしてそれぞれの国に帰国させる予定だということです。カナリア諸島で実際にどのような処置を施す可能性があるのかについて寺嶋さんに聞いたところ、まずは乗客・乗員全ての人にPCRや抗体検査などを行って感染しているかを確認し、最大6週間の隔離を行った後に各国に解放していくといいます。隔離をするのがどこかというのは不明だということです。
遠藤玲子キャスター:
まだ感染経路も分かっていないという中で、ヒトからヒトへの感染の可能性はあるのですか?
安宅晃樹キャスター:
WHOが指摘したヒトからヒトへ感染の可能性について寺嶋さんに伺いましたが、過去には海外の事例として夫婦間での感染や、入院患者をベッドメイキングしているところでの感染、そしてキスやハグを通じての感染などの事例があったそうです。しかし、いずれもヒトからヒトへの集団感染はまれであるといいます。そのうえで、今回のケースは潜伏期間も含めてきちんと隔離などの感染対策を行えば、国内で感染が拡大する可能性は低いと指摘しています。また、厚生労働省はハンタウイルスの国内感染の可能性について、仮に感染した乗客が入国した場合でもヒトヒト感染によって拡大する可能性は低いという評価を公表しています。