気になる疑問やニュースの「ナゼ」を解き明かす「どうなの?」。

4月22日に発生した岩手・大槌町の山林火災について、町は発生から11日目の2日、延焼の恐れがなくなったとする「鎮圧」を宣言しました。

そんな中で拡散された、ある「真偽不明の投稿」について扱います。

発生5日目の4月26日、Xには「三陸が狙われているとしか考えられない。恐ろしい陰謀が隠れているようだ」などのコメントと共に、森の中で車から火がまかれる動画が拡散しました。

そして同じく26日、あるアカウントが、山林火災の中継映像と別の火がまかれる動画を並べた上で、「これとかまさにやっているとしか思えない」と投稿。
今回の火災と“放火”を関連付けるような内容の投稿が拡散されました。

2つの動画は4日現在も削除されていません。

安宅晃樹キャスター:
榎並さん、この動画を見て率直にどう感じましたか?

榎並大二郎キャスター:
投稿された時期や内容を見ても、大槌町の山林火災とひも付けているような印象を受けますよね。

安宅晃樹キャスター:
やっぱりそう思ってしまいますよね。そこで、きょうの「どうなの?」は「山林火災に陰謀論も?“放火”投稿の真偽」について見ていきます。

岩手・大槌町の山林火災が発生したのは4月22日、その後投稿されたのが先ほどの動画でした。
どちらも発生5日目の4月26日に投稿されています。

236万回以上表示され、約5800回リポストされるなど、多くの人の目に触れました。

さらに、この動画以外にも誤解を招くような動画も投稿されています。

4月28日に投稿されたもので、どこで撮影されたものか分かりません
「消防士、山火事に火を放つ」という文章、そして日本語のテロップで「これは山火事を防ぐための戦略のひとつ」などと書かれた動画が投稿されたということです。

安宅晃樹キャスター:
大槌町への直接的な表現はありませんでしたが、どう感じますか?

遠藤玲子キャスター:
どういう目的で投稿したのかは分からないですけど、震災の時もそうですけど不安をあおるような、不安に感じるようなものは拡散されやすいし、影響力がどんどん広がっちゃいますよね。

安宅晃樹キャスター:
これが広がった結果、実際に目にした人がどうコメントをしていたのかというと、「岩手の山林火災は火を広げた」や、「土地の価値を下げて安く買いたたく目的だ」などといったコメントもあったということです。

三宅正治キャスター:
そもそもなんだけど、これは岩手の山林火災と関連している動画なのかどうか。AI動画とかの可能性もあるよね。

安宅晃樹キャスター:
そこが気になりますよね。なので、今回拡散された動画と大槌町の山林火災との関連、そしてもう1つが、火をまく行為が実際に現地で行われたのかどうかの2点を調べました。

まず、冒頭の火がまかれた動画について「イット!」が調べたところ、元動画とみられる映像を見つけました。

いずれもアメリカ・アラバマ州の企業がそれぞれ2026年の3月と2025年の4月ごろSNSに投稿した動画で、これを転載したものとみられ、大槌町で撮影されたものではないといえるわけです。

三宅正治キャスター:
元の動画は一体何をしているかは分かったんですか?

安宅晃樹キャスター:
動画内で行われているのは、山火事のリスクを減らすために計画的に火災を起こす作業、そういった映像だということです。

山崎夕貴キャスター:
あくまで管理のためということですね。そもそも、火事が起きている場所に延焼を防ぐために火を放つということはあるんですか?

安宅晃樹キャスター:
元東京消防庁の特別救助隊で危機管理防災アドバイザーの田中さんに話を伺いました。
田中さんによりますと、山火事が起きた際にも、進行方向に火を付け防火帯を作ることで火を迎えうつ手法があり、これを「バック・ファイア」と呼ぶそうです。
拡散された動画のコメントの中にも「バック・ファイアなのではないか」と指摘する声も一定数みられました。

大槌町の山林火災で「バック・ファイア」が行われた事実はあるのか総務省の消防庁を取材したところ、今回の山林火災で「バック・ファイアは行っていない」という回答がありました。
ヘリや地上からの放水活動などによって消火活動を行ったということですが、そもそも日本でバック・ファイアなど、火を活用した消火を行っているというのを聞いたことがないという回答がありました。

三宅正治キャスター:
そもそも日本ではバック・ファイアを行ってない、これが事実なんですね。

安宅晃樹キャスター:
そうなんです。園理由について田中さんにお話を伺ったんですが、日本には山があり斜面が急で風が強い。火の粉が飛び移ってしまう可能性があるというところで、海外の平坦な土地と比べ、日本は地形的にバック・ファイアには向かないといった理由もあって、先ほど総務省の消防庁の回答にあった通り、これまでも聞いたことがないという現実があるということです。

今回の取材で分かったことは、拡散されていた動画は転載の可能性が非常に高いこと。
また、バック・ファイアなど火を活用した消火は今回の山林火災では行われていないということで、今回拡散された動画は大槌町の山林火災とは無関係であることが分かりました。

山崎夕貴キャスター:
大槌町の山林火災では本当に多くの方々の生活に影響が出ましたから、事実と違うことがあれば番組内でもしっかりお伝えしていきたいと思います。
(「イット!」5月4日放送)