少子化で部活動が大きな転換期を迎えるなか、富山県内の高校に「県内初」の部活が相次いで誕生している。女子硬式野球部、ビリヤード部、女子ゴルフ部——。「好きなことを地元で続けたい」という声に応える動きが、富山に新たな夢の土壌を生み出しつつある。

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「野球を諦める子を減らしたい」——新川高校に県内初の女子硬式野球部

魚津市の新川高校に今春、県内初となる「女子硬式野球部」が誕生した。顧問に就任したのは、新任教師の今方杏香さん(26)だ。

小学校から野球一筋で歩んできた今方さんは、高校時代に軟式野球で全国大会に出場した実力者である。しかし、その道のりには女子選手ならではの葛藤があった。

「私がまだ高校生や中学生の時は(女子の部活)チームとして無かったので、どうしても野球やりたいってなると県外に行かなきゃいけない。移動時間もかかるし、お金もかかる」

野球を諦めたり、別のスポーツへ転向したりする同世代を何人も見てきた。昨年度まで一般企業に勤めていた今方さんが教員への転身を決意したのは、「県内初の女子硬式野球部ができる」という知らせがきっかけだった。持っていた教員免許を活かし、夢を支える立場に飛び込んだ。

現時点で部員はまだいないが、今方さんは意欲的だ。「まずは興味ある子や女子野球をやっている中学生の子、高校生も自分で声をかけていくことがまず一番」と話し、こう続ける。「『富山から女子野球』というのを(自分が)始めた時から目標にしているので、全国で、他の高校とも張り合えるような強いチームにしていきたい」

ビリヤード部も「県内初」——新川高校のユニークな挑戦

新川高校に誕生した「県内初」は女子野球部だけではない。今年2月には、地元のビリヤード店の協力を得てビリヤード部が創部された。現在の部員は3年生の5人で、先月は国内トッププロを招いた特別講習会も開催されている。

部長は「基礎的なところを教えてもらえて、初心者なので勉強になった」と振り返り、「後輩が入ってきたらある程度教えられるくらいの上手さになれれば。楽しむことを中心に部活を盛り上げたい」と語る。

こうした動きを牽引する濱元克吉校長。「女子野球もそうだが、うちにはeスポーツ部もある。ビジネスを本当に行う部活動 コミュニティビジネス部もある。本当にニッチな部分を攻めていいと思っている。うちはコンパクトな学校なので、フットワークの良さを生かして挑戦をしていきたい」。小規模校ならではの機動力を、新しい部活づくりの武器に変えようとしている。

「富山の才能を逃したくない」——通信制高校に誕生した女子ゴルフ部

一方、新しい部活動から高いレベルを目指す動きもある。通信制の富山みらい学園に今春創部された女子ゴルフ部だ。

たった一人の新入部員、射水市出身の杉崎希歩さんは、県女子アマゴルフ選手権で最年少優勝を果たした期待の星である。杉崎さんはアスリートコースの特待生として寮生活を送りながら、ゴルフ漬けの日々を送る。

「将来の夢は、プロテストに一発合格してプロゴルファーになること。最初はやっぱり私も県外(進学)を考えたけど、高1になる時にタイミングよく県内にゴルフ部ができると聞いてすごくいいと思った」

監督に就任したのは、女子プロのコーチ経験も持つプロゴルファーの中村修さん。「富山県には女子のゴルフ部がなく、有能なジュニアの子たちがどうしても県外に流出してしまう」という現状に問題意識を持ち、地元の熱意ある声に共感して指導の場に立った。

富山みらい学園は昨年、野球部が甲子園出場を果たしたアスリートコースを持つ学校でもある。杉崎さんの部屋の壁には、母親と一緒に決めた「自分で守る3カ条」が掲げられていた。そのなかでお気に入りの一文は、「終わり笑顔ですべてよし」だと笑顔で話してくれた。

富山に夢を育てる土壌が広がるか

「好きなことを地元で続けたい」 その切実な思いが、これまでになかった部活を生み出す原動力になっている。少子化という逆風のなかで、富山の高校が模索する「新しい部活のあり方」は、地域に残る才能を守り、育てる可能性を秘めている。

(富山テレビ放送)

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