新生活に心躍らせるこの時期。長引く物価高で賃貸住宅にも値上げの波が押し寄せています。
オーナーから告げられる突然の家賃の値上げ…さらに引越しの際に高額な修繕費の請求。身に覚えのない汚れや傷の修繕費用を求められることも。
増加する賃貸物件をめぐるトラブル、巻き込まれないために知っておくべきルールを徹底取材しました。
■SNS上に相次ぐ突然の家賃値上げの投稿…
春の引っ越シーズン年度がかわるこの時期に増えるトラブル。
その一つが突然の家賃値上げです。
【SNSより】「家の契約更新で月額4000円家賃上げられた。ひどい」
【SNSより】「家賃いきなり3万値上げまじありえん」
【SNSより】「家賃値上げ通知が届いたのでお断りしたら『承諾いただけないのなら、退去してください!』と…」
SNS上に相次ぐ突然の家賃値上げの投稿…こうしたトラブルについて行政は相談窓口を設けています。
大阪府によると、家賃の値上げトラブルは近年、徐々に増加。
大阪市の「住まい情報センター」への相談件数は、2023年度は70件ほどでしたが、今年度はおよそ250件と3倍以上に急増しています。
■家賃の値上げには、正当な事由が必要
その背景は何なのか。「賃貸住宅トラブル全国ネットワーク」代表幹事を務める増田弁護士に聞きました。
【きづがわ共同法律事務所 増田尚弁護士】「今の賃貸の物件を民泊に転用したいということで(借主に)立ち退きを求めたり、住宅価格が高騰していることを受けて都心部を中心に家賃の値上げですね」
利益率の高い「民泊」にするため、家主が借り主を立ち退かせようと、高い家賃を提示する例も。
しかし、値上げには、正当な事由が必要だそうです。
【きづがわ共同法律事務所 増田尚弁護士】「家賃の額を一方的に変更するということは認められない。これはもう契約の常識ですよね。
そんな家賃は払えないということで出ていくという選択をするのは待ってほしい。借りている方には、住み続ける権利が保障されているとお伝えしたい」
■7年間住んでいたマンションの退去費用として50万円以上請求された人も
そして、賃貸物件をめぐっては退去時にもトラブルが…
【修繕費の高額請求されたAさん】「塗壁だったんですけど、勝手にボロボロ落ちてきたりとか。普通に住んでてあり得たことで、全てこっちに請求がくるのはおかしいんじゃないかと…」
こう話すのはことし1月に東京から大阪に家族で引っ越してきたAさん。
7年間住んでいた1LDKのマンションで大家から請求された費用はなんと50万円以上!壁の塗装直しにおよそ35万円。部屋の掃除費用にも10万円ほどがかかるといいます。
【修繕費の高額請求されたAさん】「さすがにちょっとないんじゃないかなと。(修繕費)0円で出たいということではなくて。退去費用が全て内装代とかもこちら負担というのは納得がいかない」
現在、管理会社を挟んで大家と交渉中だといいますが、まだ解決の見通しは立っていません。
■借りた側はどこまで原状回復の義務を負うのか?
では、借りた側は実際どこまで原状回復の義務を負うのか?専門家にポイントを教えてもらいました。
今回見せてもらったのは、不動産コンサルタント会社が管理する賃貸物件。入居者が退去したばかりの部屋を見てもらいました。
・フローリングの日焼けは?→家主の負担
【不動産コンサルタント田中和彦さん】「おそらくここにベッドを置いていて、日焼けをしている。日焼け部分については、借主さんの方がこれをもって直さないといけないというのは一義的にはないです」
・家具を置いた時のへこみは?→家主の負担
【不動産コンサルタント田中さん】「普通に使ってたらなるよね、ということでこれは貸主の負担。借主は何もしなくていい」
このほか、例えば冷蔵庫の裏の黒ずみや、カレンダーを留める程度の画びょうの穴など、生活する上で仕方ない汚れや傷は基本的には家主の負担となります。
■借り主の負担となるケース…「ネジで付けた棚」のネジ穴など
その一方で借り主の負担となるのが、DIYで取りつけた棚などによる壁の傷です。
【不動産コンサルタント田中さん】「このキャットウォークなんですけれども、本当は外しておいてほしかった。猫はOKだったのでそこはいいんですけれど、これはネジを埋め込んでいる。
カレンダーはピンで細いのを刺します。あれぐらいであれば石膏ボードの交換にはいかないんですけど、穴が大きいとそこまで交換の可能性がある」
■結露でのカビ、タバコやペットの臭いなども借りた側の負担に
さらに窓枠の上の天井には、黒ずんでいる部分がありました。これは何の汚れ?家主・借主、どちらの負担になるのでしょうか?
【不動産コンサルタント田中さん】「カビですね。おそらく結露ですね。ちゃんと拭かれなかったのでカビが付いたんではないかと思われます。
これは借主様がきっちりお手入れや管理をされていなかったというので、修繕を求められる可能性が高いですね」
結露でのカビやサビなどの汚れのほか、タバコやペットの臭いなども借りた側の負担となるので注意が必要です。
■「更新料も払っているのに原状回復って何重取りやねん」
原状回復を巡るトラブルについて、住宅問題に詳しい増田弁護士は…
【住宅問題に詳しいきづかわ共同法律事務所増田尚弁護士】「家主さんがやっていることに対して規制はないなかで、家賃の値上げであったり、原状回復であったりトラブル発生する要素は残っている。
被害にあわれたり、疑問に思ったことあれば消費者センターであったり、弁護士にご相談いただいたり、ご自身の権利を守る」
ちなみに、50万円以上請求されたAさんの請求書を見てもらうと…
【住宅問題に詳しいきづかわ共同法律事務所増田尚弁護士】「キッチン、リビング、寝室、洗面所が高いですけど、これか何を指しているかが明確でない。
部屋がどこか書いているだけで、クロスを張り替えるのか、床を張り替えるのか書かないとなんのこっちゃ分からない。
更新料も払っているのに原状回復って『何重取りやねん』っていうのは言える。明らかに取りすぎ。経過年数をまったく考慮してない」
余計なトラブルを防ぐために正しい知識と冷静な判断が必要です。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年3月27日放送)