福島県双葉町・大熊町に整備された中間貯蔵施設に保管されている大量の除染で出た土は、2045年3月までに福島県外で最終処分されることが法律で決まっている。この“約束”に向けて、首都圏でも理解は深まっていくのか?埼玉県でパネルディスカッションが開催された。
福島県外の人はどう思う?
埼玉県の大宮駅前で話を聞いた。
●さいたま市在住:「小さい子が生まれた場合、そういうものって、やはりちょっと。私も知識が薄いから困るなとは思います」
●栃木県在住:「自分の地域にそういった汚染物があると不安だし、風評被害みたいなのも受けてしまうから、それはちょっと嫌です。しっかりとした処理の対応、国の対応が必要だと思います」

●さいたま市在住:「決してありがたいとは思わない。だけどどこかには処分しなくてはいけないと思うので、そこを考えると答え出すのは大変」
●山口県在住(埼玉県に帰省中):「自分の家の近くとなると…福島県が全部担うってわけにもいかないですし、話し合いでまとまるか分からないけど、みんなが納得できる県外どこか見つけられたらいいけど、きっと難しいですよね」
理解醸成へパネルディスカッション
除染で出た土の福島県外最終処分に向けて理解を深めてもらうため、環境省は3月18日にさいたま市でパネルディスカッションを開催。
参加した地元の住民など60人が事前に提出した、中間貯蔵施設をめぐる疑問に答えた。
このうち放射能濃度が基準を下回る土の“再生利用”の安全性については、総理官邸などで行われた実証事業で、環境や健康への影響がなかったことを報告。
また、登壇した長崎大学の高村昇教授は、作業員の被ばく量が安全に保たれるように、再生利用される土は1キロあたり8000ベクレル以下に定められていると説明した。

参加者からは
●「分からないことが多いので、理解すること一番大事」
●「この問題に関心のない方がたくさんいると思う。だからもっと、環境省は皆さんが関心を持てるように努めてほしい」
との声が聞かれた。
環境省が行った調査で「知っていた」と答えた人は、福島県外では約25%にとどまっていた県外最終処分。
環境省が首都圏などで行ったパネルディスカッションは18日で5回目、参加者は合わせて約300人という。
現状を整理
東日本大震災と原発事故のあと、福島県各地で除染作業が行われた。
中間貯蔵施設には、この『除去土壌』が東京ドーム11個分ほど運び込まれている。
これをどうしていくのかというと、大きく2通りあって【比較的放射線量の低いものは公共工事などで復興再生利用をする】そして残りが【県外最終処分】となる。

すべてが福島県外最終処分ではなく、大前提になっているのは「公共工事などで復興再生利用を進めて最終処分の量を減らす」という考え方だ。
しかし、この『再生利用』も大きく進んでいるとは言い難い。官邸や中央省庁での利用は花壇や前庭など、小規模の活用でモデルケースとするにはまだ遠い現状だ。

新宿御苑の花壇や埼玉県所沢市の芝生広場で利用する計画もあったが、近隣住民の理解が得られず進んでいない。
期限は2045年
そもそも福島県外最終処分というのは、法律で定められている。
中間貯蔵施設の搬入開始が2015年で、約束の期限は2045年となっている。
政府は2025年に工程表を示した。2045年をゴールとして「選ぶ」「決める」「運ぶ」というプロセスが必要になるが、2030年ごろまでに候補地の選定・調査を開始。2035年を目途に候補地を選定となっている。

しかし今はまだその選択肢すらも出ておらず、どうやって決めていくのか、一つ一つのプロセスの中身も不透明だ。
一方で福島県外の人からすれば、この存在や議論を知らないという人も少なくないようだ。
福島県外最終処分の約束まで残り19年。議論と理解の深まりが求められている。
(福島テレビ)