東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故から15年。廃炉に向けて歩みを進める第一原発では、作業環境が大きく改善される一方、「廃炉の本丸」とされる燃料デブリの取り出しは依然として高いハードルが横たわっている。2051年の廃炉完了に向けた「現場の今」を福島テレビ・日野佑希人キャスターが取材した。
「一般の作業服」で作業可能なエリア拡大
震災と原発事故から15年。1日に多くて5000人の作業員が行き来する福島第一原発は、廃炉に向かって歩みを進めている。
事故から8か月後の2011年11月、報道陣に内部が公開された際は、防護服と全面マスクの着用が必須だった。しかし現在、敷地内の96%はマスクやゴーグルといった装備で立ち入ることが可能になった。
東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの松浦英生リスクコミュニケーターは「震災当初は防護服を着て作業をするという環境が多かったが、15年経ち放射性物質の飛散を抑制する取り組みを進めてきたので、一般の作業服で作業ができる環境になった」と説明する。
事故直後は原子炉建屋の周りに津波によるガレキが散乱していたが、今は片づけられ、事故の衝撃がそのままになっていた建屋も放射性物質の飛散を防ぐ措置が取られた。また、処理水の海洋放出が開始されてから2年半あまりで貯蔵量は約6%減少し、廃炉作業に必要なスペースを確保するため、タンクの解体作業も進んでいる。
1号機はカバー設置完了…燃料取り出しへ
一方で「廃炉の本丸」、つまり燃料デブリが残る1号機から3号機は、この数年で大きな動きの中にある。
1号機では、2026年1月に原子炉建屋を覆う大型カバーの取り付けが完了した。事故直後、上部が骨組みだけになった1号機では放射性物質が拡散しないようカバーが設置されていたが、今回は使用済み燃料プールに残された核燃料を取り出すための準備だ。
計画では、2027年度から2028年度にかけて、プール内に残された約400体の使用済み核燃料の取り出しが開始される予定だ。
2号機のデブリ採取は“1円玉未満”
1号機や3号機と違い水素爆発を免れた2号機では、燃料デブリの試験的な採取が実施された。2024年11月と2025年4月の2回の採取で取り出されたデブリは、合わせてわずか0.9グラム。1円玉1枚にも満たない重さだった。
約78億円をかけて開発された大型の採取装置は、トラブルなどで投入が先送りとなっており、3回目の取り出し着手は2026年夏となる見通しだ。
3号機大規模取り出しは2037年度以降
3号機では、2025年7月に東京電力が燃料デブリの大規模な取り出しに向けた工程案を公表した。
それによると、準備に12年から15年かかるとしており、取り出し開始は2037年度以降とされている。
燃料デブリ取り出しの実現性について、松浦リスクコミュニケーターは「まだ格納容器の中、燃料デブリの状況で分かっていないことがある。作業員の安全、また周辺にお住いの地元の方の安全も考えながら作業を進めていきたい」と話した。
「2051年廃炉完了」への険しい道のり
使用済み核燃料や燃料デブリに加え、デブリに触れた地下水などが「汚染水」として発生し続けている。さらに構内では、採取された燃料デブリに匹敵するような非常に強い放射線を放つ廃棄物の存在も明らかになっている。
国と東京電力が掲げる「2051年の廃炉完了」。その実現性に専門家から異議が唱えられるなか、松浦氏は次のように述べた。
「工程ありきではなく、安全を最優先に進めていきたい。ただ目標はあるので、それに向けて廃炉の方は粛々と進めていきたい」
(福島テレビ)