アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃が激化する中、日本、そして私たちの生活へどのような影響がでるのだろうか。
中東の政情不安から起きたオイルショックでは、トイレットペーパーを買い占める人たちの姿が多く見られた。
再びこの“騒動”が起きる可能性について、専門家は「今後のイラン情勢に関してもないとは言い切れない」と指摘する。
混乱を招く中東の情勢…世界そして日本の未来を取材した。
■アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃 双方の報復で戦闘が長期化する恐れも
アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃。
アメリカ トランプ大統領:もはやイランに海軍はない、壊滅状態だ。空軍も壊滅した。ほぼ全てが壊滅した。我々は非常に順調だ。
一方、最高指導者ハメネイ師を失ったイランも、イスラエルや周辺国への報復攻撃を強めていて、双方の報復で戦闘が長期化する恐れもある。
そして、もう一つ懸念されるのが経済への影響だ。
サウジアラビアの製油所が攻撃を受け閉鎖。また、石油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上の封鎖となっていて、トランプ大統領は海峡を通過するタンカーをアメリカ海軍が「必要に応じて護衛する」と表明した。
日本の石油は大丈夫なのだろうか。高市総理大臣は、2日、石油は十分な備蓄があり直ちに影響はないと話した。
高市早苗総理:石油備蓄については現在254日分ある。

■戦闘長期化でガソリン価格最悪のケースで「328円まで上がる」と専門家の試算
この状況は日本そして私たちの生活にどんな影響を及ぼすのか、専門家に聞いた。
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英さん:かなり幅広い物の値段が、時間をかけてじりじりと上がってくると、徐々に徐々に原油(価格の上昇)の影響が実感できるようになってくると思います。私自身が主に想定してるのは、3割ぐらい原油の価格が上がる可能性があるのではないか。
野村総研の木内さんによると、「ガソリンの価格は原油輸送の支障が長期化した場合、1リットルあたり204円になり、さらに、ホルムズ海峡が完全封鎖されるという最悪のケースとなれば、328円にまではね上がることもあり得る」という。

■ガソリンスタンドではも価格の高騰を懸念する声
3日、ガソリンスタンドを取材すると…「安くなったと思ったら、今度はイランやから。(価格が)上がる前に満タンにして」と値上がりを気にする客の声が聞かれた。
店側も価格の高騰を懸念している。
ガソリンスタンド店長代理:(戦闘が)長期化すれば原油価格も上がって、せっかく減税になったのに帳消しになるような話もニュースも聞いているので不安ですね。

■製油所の備蓄がなくなると…「暗いムードが広がる」
そこで「newsランナー」は大阪にある製油所を取材した。
記者リポート:こちらに並んだ原油タンクは、高さはマンション10階分に相当し、容量は最大6万キロ(リットル)入るということです。
こちらの製油所では、法律にもとづいて常に一定量を備蓄。今後、この備蓄が放出されるかどうかは、まだ分からないということだ。
仮に放出され備蓄がなくなってしまうと…。
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英さん:物不足とか経済の活動がすごく悪化してしまうんじゃないか。物価高と実質賃金の低下が、非常に長期化してしまうんじゃないかという暗いムードが広がる可能性はある。

■大阪ガスは「影響は限定的」 今後のLNG価格に注視
一方、ホルムズ海峡を通るのは石油タンカーだけではなく、LNG=液化天然ガスのタンカーも通るため、その影響が懸念されている。
また、カタールメディアは2日、国営の「カタールエナジー」がイランからの攻撃を受け、「LNGおよび関連製品の生産を一時停止した」と伝えた。
こうした状況について大阪ガスを取材すると…。
大阪ガス 岡本素直執行役員:我々としては、地政学的なリスクをヘッジするために分散調達をしております。現時点では、中東からの長期契約というのはございません。
影響は限定的。今後、今の紛争がどれぐらい続くかによって、LNGの価格に影響が、どの程度出るかということが変わってくると思うので、注視している。
大阪ガスのガス・電気の供給に、現時点では問題はないものの今後、LNGの価格が上がる可能性があり、そうなれば、ガス料金などに影響が出るということだ。

■オイルショックはうわさから始まった 「品薄じゃなかった」とスーパーの元従業員
日本国内にも混乱を招きかねない中東での軍事衝突。こうした混乱は過去にも…
1973年に勃発した第4次中東戦争をきっかけに、OPEC=石油輸出国機構が原油価格を大幅に引き上げ、日本では「石油供給が途絶えれば、物不足になるのでは」とささやかれ始めていた。
そして、その導火線に火を付けたと言われる出来事が、大阪のスーパーで起きたのだ。
ピーコックストア千里中央店・元従業員 清水暉人さん:朝出勤したら100人、200人並んでいた。お客さんに『きょうは何で並んでます?』と聞いたら、『トイレットペーパー』と言う。えらいこっちゃ俺の担当や!
「ピーコックストア千里中央店」で、生活用品の担当だった清水さん。当時、周辺でこんなうわさが。
ピーコックストア千里中央店・元従業員 清水暉人さん:『トイレットペーパーが品薄になる』や、『店によっては午前中に売り切れる』。(うわさが)周りの店に出てきていた。
(Q.当時、品薄ではなかった?)
ピーコックストア千里中央店・元従業員 清水暉人さん:品薄ではなかった。
それでもうわさがうわさを呼び、スーパーにトイレットペーパーを求める客が押し寄せたのだ。
これが全国へと広がり、トイレットペーパーだけでなく各地で洗剤、砂糖、塩、しょうゆまでもが店頭から消えることになった。

■“買い占め騒動”ないとは言い切れない 対策は「買い占めすると不利益になるルール」
今回のような中東での政情不安から、再びオイルショックのような「買い占め騒動」は起き得るのだろうか。
政策研究大学院大学 安田洋祐教授:何となく『品切れを起こすんじゃないか』というパニック状況に消費者が陥ってしまったことにより、根拠があまりないかもしれないストーリーが、自己実現してしまう。今後のイラン情勢に関してないとは言い切れない。
こうした事態を避けるためには、どういった対策が必要なのでしょうか?
政策研究大学院大学 安田洋祐教授:例えば、たくさん買いだめる・買い占めることが、(客が)経済的にも不利益になるような状況やルールを、お店側・販売者側で作っていく。

■「いまはSNSで秒単位で世界(に広がる)。想像しただけで怖い」
もしまた、オイルショックが起きたら…清水さんは不安を口にする。
ピーコックストア千里中央店・元従業員 清水暉人さん:50年前は口づて。いまはSNSで秒単位で世界(に広がる)。想像しただけで怖い。
いつまで続くか分からない不安定な情勢の中、私たちはこの事態に正しく向き合っていかなければいけない。
(関西テレビ「newsランナー」2026年3月4日放送)

