秋田市の生活拠点の一つとして愛されてきた「イオン土崎港店」(旧ジャスコ土崎ショッピングセンター)が、2月28日の営業をもって46年の歴史に幕を下ろした。最終日には「崎ジャス」の愛称で親しまれた店舗との別れを惜しむ多くの人々が店を訪れた。そこには、世代を超えて紡がれた思い出があふれていた。
地域の拠点として歩んだ46年
1979年に「ジャスコ土崎ショッピングセンター」としてオープンした店は、秋田市土崎地区の人々にとって日常の買い物だけでなく、子供時代の遊び場、家族の思い出の場所でもあった。
オープン当時は団塊ジュニア世代が幼少期を迎えた時期。館内のフロアを走り回る子供たち、休日の買い物でにぎわう家族連れ――地域の暮らしと共に「崎ジャス」は存在してきた。
しかし年月を重ね、建物の老朽化が進行。ついに、長年愛されてきた店に幕を下ろす時が来た。
あふれる来店者 棚に並ぶ「完売御礼」
営業最終日、午後4時半には駐車場が満車となり、店内は多くの来訪者であふれた。
商品棚には「完売御礼」の文字が並び、最終日を迎える店舗に地域の人々の思いが集約しているかのようだった。
「最後の日は外せない」と、3日前から毎日店に足を運ぶ母娘の姿もあった。
母は高校時代から46年間通い続け、娘は幼い頃、買い物中に店内の靴屋に預かってもらっていたという。
「ここで育った」と語る娘の笑顔に、長い年月の積み重ねと、この場所が果たしてきた役割の大きさがにじみ出ていた。
生活の節目を支えた店に「ありがとう」
来店者の多くが、「人生の節目ごとにこの店があった」と語る。
「子供の頃はゲームソフトを、大人になってからは新生活の布団を買った。数えきれないほどお世話になった」と話す男性。
地域の人々にとってこの店は、成長や暮らしを支える“伴走者”だった。
45年間この地で雑貨店を営んできたテナントの店主は、開店当時を振り返りながら目を細める。
イイワイイワコレクション・三浦淑宏代表:
「団塊ジュニアが走り回っていてね。ここが出会いの場になることもあったんです。またどこかで会いたいですね」
日々店に立ち、人々の暮らしを見守り続けた者ならではの深い言葉だ。
閉店アナウンスとともに下りる幕 新たな未来へ
「閉店まで残り10分となりました。本日は最終営業日でございます――」
館内に流れたアナウンスは、46年間の記憶を静かに締めくくる鐘のようだった。
最後には店長が深く礼をし、長い歴史に感謝を込めて挨拶。店を愛した多くの客の拍手に送られながら、シャッターが下ろされた。
閉店した建物は今後取り壊され、同じ敷地内に新しい店舗が建設される予定だ。「崎ジャス」が紡いできた思い出と共に、地域にはまた新たな商業の拠点が生まれる。
46年間、地域に寄り添い続けた店が残したのは、建物だけではなく人々の記憶そのものだった。
(秋田テレビ)
