「ラーメン文化、日本の文化というのをいろんな人に知ってほしいな。日本のラーメン、僕のラーメンを食べてほしい。収益とか利益とかそんなことを抜きにして、ロマンがありますよね」

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そう語るのは、富山県射水市に本店を構える「麺家いろは」の創業者、栗原清さん。富山県民のソウルフードとして愛される「富山ブラック」を世界に広げるため、次なる挑戦の地として選んだのはラオス。中国・タイ・ベトナムに挟まれた内陸国だ。

思いがけない海外進出、そしてコロナの打撃

「麺家いろは」は創業33年の老舗。国内最大級のラーメンイベント「東京ラーメンショー」で5度も売上1位に輝いた実力店である。その知名度の高まりから、2013年頃から海外からオファーが舞い込むようになった。

「その頃は海外は全く考えてなかった時だったんで、半ばお断りしていたんですが、どうしてもやりたいという熱心なパートナーもいて、じゃあラーメンを教えますよというのでスタートしたのが、最初の香港店になります」と栗原さん。

思いがけない海外進出だったが、結果は大成功。「海外出てみたらやれるじゃんって。パートナーが柔軟だったので救われたというのもあるけど。教え方とかを整備していけば、別の国でもいけるんじゃないかと」

その後、東南アジアからアメリカまで、世界各国に進出。最も勢いのあった中国では、10店舗以上を展開するまでになった。しかし、コロナ禍で事態は一変する。

「コロナで中国だけでも12店舗ほど閉めましたし、ベトナムも閉めましたし、痛い目をみましたけどやっぱりラーメンが初めて食べる人に浸透していく様子を見たりとか、ワクワク感を感じながら展開しましたので」

ラオス進出への準備と試食会

再び世界中の人に富山ブラックを味わってもらいたい。そんな思いを胸に、栗原さんが2025年に向かったのがラオスだった。新しくできるショッピングモールから出店のオファーを受け、数か月にわたり入念な準備を進めてきた。

しかし、栗原さんには大きな懸念があった。ラオスで「いろは」の味を再現できるのか、そしてこの地で人々に受け入れてもらえるのかということだ。現地の反応を確かめるため、試食会を開催することにした。

メンマや麺、富山ブラックの要となるスープに使う食材は現地で入手しづらいため、お隣のタイにある店舗から取り寄せた。首都ビエンチャンを流れるメコン川にはラオスとタイを結ぶ橋がかけられており、物流をスムーズに行うことができる。

試食会の準備を進める中、予想外のトラブルも発生した。麺をゆでる機械の温度が上がらないという問題だ。

「ガスは今、一か所しか使っていない」

「残りの2つは使っていない」

「使ってない?使いなさいよ」

「使えないの?」

「(配管を)つけていない、最初から」

急遽、鍋を用意して別の方法でお湯を沸かすことに。さらに、調理中の習慣の違いも明らかになった。

「切らなかったネギのくずはどこにいった?」

「全部捨てた」

「捨てた!?もったいない、スープに入れる」

ラオス料理との共通点と現地の反応

試食会の前に、栗原さんはビエンチャンのローカル店に足を運んだ。そこでラオス料理と日本のラーメンの共通点を発見した。

「どんぶりに汁が入って麺が入ってっていう形としてはラーメンと近い部分があるから、あとは美味しく感じてもらえさえすれば馴染んでいける要素は十分あると思います」

そして迎えた試食会当日。栗原さんとスタッフは協力して、丁寧にラーメンを盛り付けていく。

「よ~く(お湯を)垂らしてから」

「ちょっとこれ熱いな」

「これが時間がかかるから、2つくらいセットしてみんなで手分けして盛り付けするようにして」

こうして何とかラオスでいろはの味を再現することができた。果たして、この味を現地の人は受け入れてくれるのか——。

結果は大好評だった。

「昔ながらのラーメンのように味が濃くない。これはラオスでも受け入れられると確信している」

「味は想像以上に美味しくて満足した、とてもいい。ラオスのみんなが好きになることを願うよ」

参加したジェトロビエンチャン所長の菊池保志さんも太鼓判を押す。

「世界的なフランチャイズやチェーン店が進出してない中で、日本のブランドの進出が決まったということで、大変ありがたいと思いましたし、他の企業の皆さまも、どなたかが成功された事例を追いかけて投資をされる例っていうのはすごく多いのでラオスにとって非常に大きなきっかけになるなと思いました」

次なる挑戦へ

「麺家いろは」のラオス店は2026年3月にもオープンする予定だ。成功に向けて、従業員を富山で修業させるなど、準備が着々と進められている。

「ラーメン文化、日本の文化というのをいろんな人に知ってほしいな。日本のラーメン、僕のラーメンを食べてほしい。収益とか利益とかそんなことを抜きにして、ロマンがありますよね」

近年、インフラ整備が進み、徐々に物流のハブへと姿を変えつつあるラオス。そんな発展途上の地で、富山ブラックを世界中へと広げる栗原さんの挑戦は続いていく。

(富山テレビ放送)

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