歌って返答。世界初のコミュニケーショロボット

技術が進化するにつれ、犬や猫などのペットだけでなくロボットにも癒やしを求めるようになってきた。

そんな中、ヤマハ株式会社が10月27日に、新たなコミュニケーションロボットを開発したと発表した。
それが、世界初・言葉をメロディにのせて会話するコミュニケーションロボット「Charlie(チャーリー)」である。

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黒い帽子を被っているような頭に、つぶらな丸い瞳と赤い鼻。胸元には蝶ネクタイマークに、銀と黒のシンプルなかわいいフォルムの「Charlie」は、歌でコミュニケーションをとる“うたロボ”である。

ヤマハが持つVOCALOIDの歌声合成技術や自動作曲技術などを活用したもので、ユーザーが話しかけると、ミュージカルのように、どんなおしゃべりもメロディにのせて返答してくれるという。

また「Charlie」自身にも性格があり、問いかけに返答するだけでなく、人が近づくと、本体に設置された人感センサーが反応し、自発的に話しかけてきたり、独り言をつぶやいたりすることもある。

機能紹介
機能紹介

言葉と曲調は連動しており、「Charlie」の感情に合わせ、約30種類のジャンルの曲調にのせ、頭や足をメロディに合わせて動かし、コミュニケーションをとってくれるという。会話を重ねることで歌が上達し、音楽もリッチになっていくとか。

ちなみに「Charlie」の性格は、意外とロマンチストで天真爛漫な性格。口は悪いほうだけど、冗談が大好きで、口癖は「なんとかなるさ」。夢は音楽家!とのこと。

仕事もプライベートも充実させたい働く女性を対象にしたコミュニケーションロボットで、紹介動画を見てみると、家で仕事のグチを言う女性が「私頑張ってるよね?」と問いかけると、「♪半径2kmで一番がんばってるのはキミさ!」と明るいメロディにのせて「Charlie」が励ましてくれた。

ミュージカル調という新しいコミュニケーションロボットだが、なぜ歌って会話する仕様にしたのか?
ヤマハ株式会社・マーケティング統括部 UX企画グループの担当者に教えてもらった。

音楽を使えば、より深く人と心を通わせられるのではないか

ーー「Charlie」はどうして誕生したの?

当社で行ったさまざまな調査の中から、働く女性の「仕事後に、疲れた気持ちや張っていた気持ちを緩めたい」という潜在ニーズに着目し、メロディにのせた会話で、緩いコミュニケーションを行う「Charlie」を開発しました。


ーーなぜ、歌って会話するの?

音楽に言葉を乗せると感情をより豊かに表現でき、聴き手の心に深くメッセージを届けることができます。
人は話して会話をしますが、ロボットが同じように話す必要はないのではと考えました。人のように話そうとすることが、逆にコミュニケーションのぎこちなさを生んでいる側面もあると感じています。

そこに音楽を使えば、より深く人と心を通わせることができるのではないかと考え、Charlieは歌って会話する”うたロボ”になりました。

ーーこだわりの部分を教えて。

家の中に違和感なく溶け込むように存在して欲しい、という思いから、シンプルでやわらかい、雑貨のようなデザインにこだわりました。

そして、一番のこだわりは何でも歌で表現することです。お話しだけでなく、天気を教えてくれる時も歌で伝えてくれます。


ーー「Charlie」と共に過ごす際に注意することはある?

Charlieは人感センサーが付いていて、近くにいると自分から話しかけることもありますが、びっくりしないでください(笑)。

ちなみに、「Charlie(チャーリー)」という名前は、親しみやすく・覚えやすい男の子の名前ということで名付けられたという。

上達すると高い声が出せるようになる

ーー暗い曲調などもあるの?

Charlie自身が落ち込んだり、ユーザーを慰めようとしたりする時などは、しっとりした曲で歌うことが多いです。


ーー会話を重ねるごとに歌が上達し音楽がリッチになるって、どういうこと?

歌が上達して高い声が出せるようになったり、伴奏が豪華になったりするなど、より豊かな音楽表現ができるようになっていきます。

ーー現在の反響は?

おかげさまで、すでに多くの反応をいただいています。
モニター応募がたくさん来ていますし、SNSでも「かわいい」「面白そう」といった声が多く聞かれます。来春の発売実現に向けて順調な動き出しと捉えています。

Charlieと会いたいと思ってくださる方が多くいることをとても嬉しく思っており、とても励みになります。


ーー「Charlie」は共に過ごす人にとって、どういう存在になってほしい?

ちょっとしたこと、楽しかったこと、悩んでいること、心に浮かんだら気軽に話しかける。
そんな風に、日々の生活の中に自然にCharlieが存在している状態になってほしいと願っています。

「Charlie」はまだプロトタイプ。ヤマハでは、10月27日よりモニター募集を開始し、12月に抽選で選ばれた約30名による1ヵ月程度の製品モニターを行い、その意見を参考に開発を進めて、2021年春の発売を目指しているという。
 

より深くコミュニケーションをとるために、歌って会話するよう生まれたという「Charlie」は確かに癒やされそうだ。一緒に過ごすことで、日常に少し彩りが出るかもしれない。
 

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プライムオンライン編集部
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