クマ撃退装置として注目を集める「モンスターウルフ」

今年は全国各地でクマの出没が相次いでいる。

新潟県新発田市ではクマの目撃情報が昨年の同じ時期と比べおよそ6倍で、また石川県加賀市では10月19日、ショッピングセンターにクマが侵入し、約14時間後に駆除された。

加賀市内にある国登録の有形文化財「蔵六園」に出没したクマ
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人里離れた山だけでなく、クマが市街地にもやってくるようになっている。こうした中で今、クマの撃退装置として注目を集めているのが「モンスターウルフ」だ。

(画像提供:太田精器)

北海道の機械部品加工メーカー「太田精器」が開発した、長さ120センチ、幅75センチ、高さ70センチ程のオオカミ型の装置。現在、北は北海道、南は沖縄まで全国約60カ所に設置されている。

(画像提供:太田精器)

一見その姿から、「子供だましでは?」といった疑問もあるかもしれないが、この装置を設置した場所では、獣害を減らす効果が確認されているという。

実際、モンスターウルフが威嚇して、獣を追い払っている映像がこちら。映像の左下部分で威嚇しているのがモンスターウルフだ。シカやクマが逃げていく様子を確認できる。
 

モンスターウルフの仕組みは、クマなどの野生動物が近づくと、赤外線センサーで感知し、目の部分のLEDライトを点滅させながら首を左右に振り、オオカミの声などの威嚇音を発する。

これにより、獣は逃げて行くという。

なお、この威嚇音は、人の声、銃の音など約60種類。アナウンスも出来るように設定されており、昼は音声ガイド、夜は撃退装置としても活用することもできる。

実際、明るい場所で、音声ガイドをしているモンスターウルフの映像がこちら!
 

そんなモンスターウルフ、どのようにして生まれたのか?どれほどの効果が期待できるのか? 装置を開発した太田精器の太田裕治社長に詳しく話を聞いてみた。

野生動物の天敵は「オオカミ」

――最近のクマ多発で問い合わせは増えている?

非常に増えていると思います。


――モンスターウルフの開発のきっかけは?

北海道は、野生動物(シカ・クマ)被害が甚大で、地元の企業として、ものづくり会社として何か地域の特性から、野生動物を追い払うことが出来ないかと考えました。


――なぜオオカミの姿をしている?

大学の動物学者の先生から、野生動物の天敵は何かという問いに、「オオカミ」ということから、いっそのことオオカミの形にしようと考え、一定の効果を発揮しています。

(画像提供:太田精器)

クマは天敵や得体のしれない生物と思い逃げる

――どのようにしてクマを撃退する?

天敵である、オオカミの声をはじめとした、大音響の威嚇音と形、首が動き、LEDも目と足元が光るため、クマは天敵もしくは得体のしれない生物と思い、防衛本能から逃げるという考え方です。


――時間が経てば動物が慣れてしまうといった声もあるが?

動物は、知能が高く慣れると言うのを基本に考え、開発しております。その結果として、60種類以上のランダムなる威嚇音と、本来天敵である、オオカミ、犬、人間、銃声の音源などをふんだんに取り入れ、得体の知れない生物と言うのを知覚させ、次々と威嚇音が変わるため、動物が覚えられないようにしており、今まで慣れたというクレームはありません。

非常に高い効果を発揮している

――クマ撃退の効果はどれほどある?

非常に効果を発揮しており、同装置を設置した後、クマが現れたということは、今のところ皆無です。

モンスターウルフの威嚇で逃げるクマ(画像提供:太田精器)

――クマ以外の動物にも効果はある?

イノシシ、シカには、一定の効果を発揮しております。但しサルも一定の効果はありますが、知能もあり、木の上からくることもあるので、確実に効果があるとはコメントしてません。

モンスターウルフ(左下)の威嚇で逃げるシカ(画像提供:太田精器)

将来的には自動走行も視野

――モンスターウルフの値段は?

色々バージョンがありますが、45~55万円位で、それには設置費用も含まれます。


――モンスターウルフが今後進化する予定は?

無線通信を使ったセンサーシステムをはじめて、数年後にはGPSシステムや5Gを使って自動走行するウルフを開発中です。私達では、将来畑の中のルンバ(自動お掃除ロボット)と呼んで、究極の野生動物撃退装置を目指しています。


――最後に、私達がクマに遭遇した場合、どうすればよい?

クマは本来、臆病な動物とされており、鈴やラジオを鳴らしたりして登山する例があります。ですから、可能であれば、ものすごい大きな音(威嚇音)が出る様なもので、驚かせば比較的クマは怯む場合もあるかと思いますが、残念ながら、近年人慣れしたクマが出没中と言うこともあり、必ずしも効果があるわけではないのでご注意ください。


特に今年は、クマ出没のニュースを多く耳にするようになった。山にエサが不足しているという環境の改善も必要だが、モンスターウルフのような撃退装置のさらなる進化にも期待したい。
 

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