「春眠暁を覚えず」春は心地良く眠ることができるとされる季節だが、花粉の季節に布団を外に干せない悩みを抱える人は多い。
そうした中、島根・出雲市の寝具メーカーが提供する移動式の「ふとん乾燥車」が注目されている。島根・鳥取エリアではたった1台しかないというこの特別な車両が、宿泊施設や一般家庭の布団を“ふわふわ”に生まれ変わらせている。
「その場で乾燥!最大100℃」の文字が目を引くトラック
出雲市にある宿泊施設。客室から大きな袋に詰め込まれた布団が外に運び出され、待機していたトラックへと積み込まれていく。
このトラックの荷室には物干しざおが設置され、そこに丁寧に布団が掛けられていった。
「竿が5本あって、竿に布団をかけてます」と説明するのは浅尾繊維工業の加田浩一さん。布団をセットし終えると、続いて抗菌剤の噴射作業に移る。「今お布団を全部つめたところで、これから抗菌加工のため抗菌剤を布団にしっかりかけていきます」と作業の工程を教えてくれた。
トラックの側面には「その場で乾燥!最大100℃!」という文字が大きく書かれている。その名も「走るふとん乾燥車」。実は山陰地方ではこの1台だけという特別な車両だ。
「高温乾燥」でダニやカビを徹底除去
「動力が灯油で、灯油の力で温度を上げていきます。最高100℃まで上がります」と加田さんが説明するように、このシステムの特徴は高温乾燥にある。
荷室内の温度を約100℃まで上げ、ふとんを一気に乾燥させる。仕上がりまでにかかる時間は約1時間。密閉された空間で高温乾燥させることで、ダニやカビをほぼ100%除去できるという。同時に抗菌・消臭処理も施される。
処理を終えた布団は、見違えるほどふわふわに仕上がる。処理前と比べると明らかにふっくらとして、厚みも増している。
「ほのかに温かいですね。いいですね、ふわふわになって」と依頼した「湖畔の温泉宿 くにびき」の安部圭一副支配人も満足そうだ。この施設では年に数回、定期的にこのサービスを利用しているという。「すごく助かっています。お客様にも安心して使っていただけるかと思います」と安部副支配人は話す。
寝具メーカーの「アフターサービス」から生まれた事業
移動式の巨大な布団乾燥機ともいえるこの車。寝具の製造・卸を手掛ける出雲市の浅尾繊維工業が4年前に導入した。販売した布団の「アフターサービス」としての役割を担っている。
これまでに鳥取・米子市から島根・浜田市までの広範囲に出張し、宿泊業者や医療機関などの事業所だけでなく、個人からの依頼にも応じている。
浅尾繊維工業の加田さんは「人生の中で3分の1は寝ているという時間を設けてますので、そのお布団がまた充電器になって、自分の体が元気な朝を迎えて、それで良い睡眠を取っていただける形になるので、なかなか価値のあるものかなと思っています」と、サービスの意義を語る。
花粉シーズンの救世主としても期待
このサービスの便利な点は、布団だけでなく、枕やぬいぐるみ、さらにはコインランドリーでは処理が難しいマットレスや畳にも対応できることだ。
これからの季節、花粉が気になって外に布団を干せない人にとって、この「走るふとん乾燥車」は心強い味方となりそうだ。リフレッシュされた寝具で、心地よい「春の眠り」を楽しむことができるかもしれない。
(TSKさんいん中央テレビ)
