『今日の成功ノート』を作り自分を褒める できることから始める“大人の自分”の育て方

「全米最優秀女子高生」を育てたボーク重子さんインタビュー

カテゴリ:テクノロジー

  • 35歳から「非認知能力」を高める決意をしたボークさん
  • できることから始めて、1日1回でも自分を褒める
  • 日本の女性は有能だからこそ「やらない」決断も必要

人間性の土台になる言葉

「非認知能力」
最近、この言葉をよく聞くだろう。自己肯定感や想像力、自制心、やり抜く力など精神的な強さのことや、問題を解決してく力など、魅力的な人間性の土台となる能力だという。

この「非認知能力」を中心に、2017年に全米最優秀女子高生を育てた娘を持つ日本人女性のボーク重子さんは、「非認知能力」が生きるために最大の武器になると著書『「非認知能力」の育て方』(小学館)で述べている。

これまでは子育ての視点から「非認知能力」の重要性を聞いてきたが、今回は大人、親になってもこの能力が高められるのかを聞いた。

自己肯定感が低い日本

ボークさん自身も「非認知能力」という言葉を知っていたわけではないという。この言葉との出会いは33歳の時、娘を出産してしばらくした頃と振り返る。

「子育てをしながら痛感したのは、大事なのは親=私だということ。子どもは親を見て育ちます。子どもにとって親がロールモデルという運命は逃れられません。当時、私は非常に自己肯定感が低く、自信もありませんでした。そこで、娘が2歳になった35歳の時に私自身の非認知能力を高めていこうと決めたんです」

ライフコーチとしても活動しているボークさん。今、日本のクライアントも「みなさん自信のなさに悩んでらっしゃいます」と悲しそうにした。

「日本は世界に比べても自己肯定感が特に低いんです。そして、何かと言うと『無理だよね…』としり込みしてしまう。そこで私は『できることから始める』とよくアドバイスしています」実はこの「できることから始める」は、ボークさんも密かに抱いていた夢を実現させるために実践していたようだ。」

『今日の成功ノート』を作り自分を褒める

「私は『アートの仕事がしたい!』という夢がありましたが、自分には無理…だと思い込み、全く行動を起こしていませんでした。ですが、私の周りのお母さんたちはエネルギッシュに働いていたんです。夫のサポートなどもあり、ようやく行動を起こそうと思ったんですが、どこも雇ってくれず、人脈も経験もない私にできること…と考えて、美術館の“ハタキかけ”のボランティアから始めたんです」

自己肯定感が高まると、合わせて「非認知能力」も高まっていくという。さらに、“ハタキかけ”以外にも、家に帰ってから「自分を褒めまくった!」とボークさんは笑う。

「毎晩、『今日の成功ノート』に『今日もちゃんと“ハタキかけ”ができた!』など自分を褒めました。出来て当たり前、やって当たり前ではないんです。できたのはすごいこと、やった自分を褒める、それが大切なんです。『成功』と聞くと、すごく大きなものをイメージしてしまいます。そうすると、毎日のちょっとした『成功』を見逃してしまうんです。1日1回、自分の成功を記すと1年で365回の成功があるんです。それを見返すだけでも自信になります」

「苦手なことはやらない」という選択肢

ボークさんは「できることを始める」一方で、できないこと、嫌いなこと、苦手なことはやらないという選択肢があると熱弁した。

「私は料理があまり得意ではありません。でも、やらないとご飯が食べられません。なので、嫌にならない程度に毎日15分でできるものに、と決めたんです。苦手なものに時間を割かない、苦手だから上手くやらないと…とネガティブな方に心を使わないようにすることも重要です」

「やらない選択」この決断をすることにも勇気がいるだろう。だからこそ、家事も育児も仕事も完璧にと思ってしまい、余裕がない母親は多くいるかもしれない。

母親たちに必要なのは「自分」でいる時間

「頑張るお母さんは『スーパーマザー症候群』に陥りやすいです。日本の女性は有能だからこそ、“やらない”ことが“怠けている”ように感じでしまうんです。例えば、私=重子という人物がいます。結婚するまで私は100。でも、結婚をすると妻という人格が増え、子どもを産むという選択をすると母親という人格が増え、重子という人物は300になります。重子、妻、母親、どれをとっても100%を求め、求められ・・・、ですが、時間は24時間。これでは限界がきます。」

「そして限界が来た時に女性は自分を削るんです。妻・母親としての生き方を選択するんです。すると、幸福感がグンと下がり、自分を見失ったり、喪失感を抱く女性が出てきます。有能であればあるほど、『やらない』という決断ができないんです」

そうならないためにも、家事や育児、仕事に励む母親たちは「自分」でいる時間を持つことが重要だとボークさんは語る。

「子どもは親を見て育つ」と思っていたからこそ、子育てや家事をしながら、自分も成長しないといけないと考えていたそうだ。

「子どもは日々成長するからこそ、私も成長しなければと思ったんです。そこで、22時30分から朝の7時30分まで“ママ終了時間”を作りました。緊急事態の時は別です。もちろん、アメリカでも『それはおかしい』という声もありました。母親は24時間営業だと。ですが、私が自分を見失わず良い母親であるためには、1日の内ほんのちょっとでもいいから、『私』を取り戻して、勉強したりリラックスする自分最優先の時間が必要でした。そして、常に『ママ時間を許してくれてありがとう』と感謝の気持ちも生まれてきました。」

「できない自分は嫌い」「完璧じゃないと許せない」そんな自信のない状態では子どもと楽しく接することができないと、ボークさんは言う。親の自己肯定感を高めることが、自身の非認知能力を高め、さらには子どもの自己肯定感、非認知能力の向上にもつながってくという。

ボークさんがこれからやりたいこと

そんなボークさんも、娘・スカイさんが20歳を迎え、子育て卒業の時期を迎えた。一区切りついたことで、ますます自分の時間が増えるボークさんに、今後チャレンジしたいことはあるのだろうか。

「実は今、コーチングを受けたいという声よりも『コーチングをやりたい!』という方が多いんです。私はアメリカにある唯一のコーチ認定機関である国際コーチング協会の認定コーチで、これは日本にはないものなんです。教えてほしいというリクエストを頂くのですが、もう一つ上の資格がないと教えられないため、まずはその資格を取得したいです。」

「また、アメリカと日本は文化が違うため、アメリカで学んだことをそのまま日本で生かせないことに気づいたんです。なので、コーチングも日本の文化に合うように改良を重ねていきたいとも思っています。あとは、最近は講演会をよくやらせていただいているのですが、3000人が入る会場で講演会をやるのが私の夢です!」

子どもだけでなく、大人になっても「非認知能力」が高められるということに少しだけ勇気が持てる。「私にはできない…」そう思いとどまっているのであれば、2019年という新しいことを始めるのに相応しいタイミングで、一歩歩き始めてみてもいいかもしれない。

【前編】「1+1=2」に50分かけてもムダじゃない!我が子が幸せな人生を歩める育て方
https://www.fnn.jp/posts/00400750HDK

ボーク重子
ICF米国国際コーチング協会認定ライフコーチ、アートコンサルタント。福島県出身、米・ワシントンDC在住。1998年に渡米後、出産。子育てをしながら2004年にアジア現代アートギャラリーをオープン。2006年にはワシントニアン誌上でオバマ前大統領(当時は上院議員)と共に、「ワシントンの美しい25人」の一人として紹介される。現在は全米・日本各地で子育て、キャリア構築、ワークライフバランスについて講演会やワークショップを開催中。著書に『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)などがある。

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