「お気持ち表明」後に国民とのふれあいに変化 天皇皇后両陛下の今後は?

フジテレビ解説陣が集結 2017年を振り返り2018年を予測する【第1弾】

カテゴリ:国内

  • 退位の日程は、紆余曲折の末、官邸主導で決まった
  •  両陛下と皇太子ご夫妻がお住まい交換 両陛下の仮住まい先は高輪皇族邸
  • 約束した場所は必ず訪問される陛下 国民との交流を何より楽しまれる

2017年は、トランプ大統領就任や北朝鮮のミサイル、天皇陛下退位の決定や眞子さま婚約、働き方改革や小池旋風、衆議院議員選挙など様々なことがあった。

2018年は一体どんな一年になるのか。

今回は、フジテレビ皇室担当の解説陣による座談会、第1回目。

退位のお気持ちを表明した後、どのようにして退位日程は決まったのだろうか。そして天皇皇后両陛下はどのようなお気持ちで日々を過ごしているのか。

紆余曲折の末、退位日程決定

橋本寿史:
2017年の一番大きかったニュースは、陛下の退位のニュースでしたね。特例法の成立から始まって退位の日付け、平成31年という年の4月30日で平成が終わる。皇室の中で一番大きなニュースでした。

4月30日を巡ってはそこにいたるまでいろいろな話がありました。この話は政治経由で出てきたので、違和感を感じたというのが正直なところです。年度末の3月31日や、4月1日というのが強いと思っていただけに驚きました。

宮﨑千歳:
4月29日は昭和天皇を皇室の皆さまが偲ばれる日で、お祝いというより”偲ぶ日”なので、あまり行事がないんです。皇室の皆さまが昭和天皇を静かに思い出される日だったので、そうした様子を見てきた者としてはその直後なのかという驚きもあります。

橋本:
神社関係者に聞くと大嘗祭をやるためには、5月がギリギリのタイミングで、これより後ろにずらすのが難しかったんです。
6月になると田植えが始まってしまうので大嘗祭に使う稲を作るのは5月が限度だった。
個人的には年末説を唱えていたんですが見事にはずしました。

宮﨑:
新年1月1日は新年祝賀の儀という国事行為や、早朝の宮中祭祀があったり、皇室にとってあまりに重要で忙しい日なので元日のお代替わりは難しいという見解が宮内庁から示されていて、あとは、官邸で決まるのを宮内庁としてはひたすら待っている状況でしたね。

橋本解説委員

両陛下と皇太子ご夫妻が"お住まい交換"

宮﨑:
お住まいについては、住む方のお気持ちとライフスタイルを踏まえ、親子での話を含めて、そこを尊重しながら、両陛下と皇太子ご夫妻がお住まいを交換し、両陛下の仮住まい先は高輪皇族邸に決まったのだと思います。

新しいものを建てない、お金をかけない、簡素に、という陛下や皇太子さまのお考えがあるので、となると選択肢はそんなになかったのです。既存のものに少し手を加えたり、ご高齢の両陛下がお住まいになるならバリアフリーにしたり設備を整えたり手を加えたり。

退位後に今の両陛下が引っ越しの準備を済ませて御所から仮住まい先の旧高松宮邸、現在の高輪皇族邸に移られて、改修が済んだ御所に皇太子ご一家が移られる。その後東宮御所を改修し、両陛下が移り住まれる。
両陛下のご年齢を考慮し、仮住まいされる期間を1年半ほどに収める計画です。

橋本:
メインの仕事は今の皇太子さまがなさって、陛下はどちらかというと隠居の形になるので、人の前に出るというのは極端に減ることが予想されます。どちらかというと少しゆっくりしていただく立場になられるということです。

退位決定で、国民とのふれあいに大きな変化

宮﨑:
最近、天皇皇后両陛下が行かれる先々で、集まった人たちから「ありがとうございます」という声が多く聞かれるようになりました。以前は8割くらいが「美智子さま~」で、そのあとに「陛下~」だったんです。
しかし最近では、それが「ありがとうございます」や「お体を大切に」という言葉に変わってきました。

橋本:
地方に行くと、「両陛下にお目にかかれる最後のチャンス」という思いがあって、地元がかつてない盛り上がりになっているのも確かです。人数も増えましたし、歓迎の仕方も変わってきています。

宮﨑ーー
陛下の「退位をしたい」というお気持ちが国民に伝わってから、天皇陛下という存在について考えるようになった人が増えたのではないでしょうか。
天皇陛下はいらっしゃるのが当たり前で、どういう方か、どういう存在なのか、と日常で考える機会がなかった人たちが、報道やビデオメッセージをきっかけに「こういう思いで公務をなさって来たんだ」と感じるようになったのでしょう。

橋本:
一方で、これまでと同じように分け隔てなく同じような対応をされるというのが陛下です。

宮﨑:
そうした歓迎や声に対し「ありがとう」って。これまでと同じように。
井の頭公園の開園100周年にあたって訪問されたときに「陛下大好きです!」って叫んだ方がいたんです。(笑)
長らく取材していますけど、「大好き!」という声は初めて聞きました。ちょっと笑いが起きて、両陛下もちょっと笑ってらっしゃいました。
以前からふれあいは大切になさってましたが、そうやって思いを声で発する人が増えてきて、交流が双方向になってきたような気がしますし、感謝の言葉を聞かれると陛下は嬉しそうでいらっしゃいますよね。

橋本:
なんとなく今までの皇室もそうなんですけど、周りの国民はあまり近づいてはいけないという暗黙のルールのようなものがあったのですが、陛下のお気持ちをきちんと知って、周りの人たちも近づいていけるような形になったのかもしれませんね。

宮﨑:
秋に奄美の島に行かれたのは、5年前に訪問の計画をされていたものが心臓の手術があって白紙となっていたものです。約束を果たしたいというお気持ちは一貫してて、それは80歳を超えているとか、忙しいからというのは関係なく約束は守られるんです。一度、行く計画をして現地の人も心待ちにしていたような場所には、必ず行きたいと。

移動距離が全部で3200キロ、それをご高齢のお二人が飛行機を乗り継いで行かれるのですが、噴火で避難をしていた口永良部島の島民の半数くらいが、船で屋久島に両陛下に会いに来ていて、そこの場面で島民と話をされているのが一番嬉しそうでした。
「おうちはどう?学校はどう?大丈夫でしたか?」と、島民の生の声を聞いているときは嬉しそうになさっています。

宮﨑宮内庁担当記者

上皇という立場になると国民とのふれあいの機会もぐっと減る

橋本:
上皇という立場になられると、基本的には公務からはひかれると思います。これまでと同じですと、新たに即位される陛下との立場の違いを出すのが難しくなるので。

宮﨑:
両陛下にはまだ行かれていない場所がたくさんあり、有名な景色や場所には意外と行かれたことがなかったりしますので、私的なご旅行のような形でおでかけになることはあるかもしれませんね。

橋本:
この間は、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)の公園に行って高麗神社を訪ねられましたね。

宮﨑:
一般の人が観光で訪れるところとは視点が違い、伝統があったり、穏やかな景色が広がっていたり、まだ見ぬ日本の美しい風景や伝統文化の場所を訪ねられるということはなさるかもしれませんね、

橋本:
私的なご旅行としては行かれる可能性としてはたぶん年に2回くらいと、少なくなるでしょう。そうでなければ、退位される意味がないので。
あとは本当にプライベートな形での音楽会に行かれたりということになるんでしょうね。

イラスト=さいとうひさし

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