日本では絶滅していたとみられていた昆虫が再発見された。

2022年7月12日、水生昆虫「キイロネクイハムシ」を滋賀県の琵琶湖で見つけたと、京都大学大学院人間・環境学研究科の加藤眞教授と、同大学院理学研究科の曽田貞滋教授が発表したのだ。

なお今回の研究成果は、7月2日に日本昆虫学会の英文誌「Entomological Science」に掲載されている。

キイロネクイハムシは体長4ミリ程度で、クロモなどの沈水植物を餌とし、卵から成虫まで水中で過ごす。その生息には溶存酸素量が多く、透明度の高い水質が不可欠だという。日本では1960年代以降は採集されておらず、環境省のレッドリストでは絶滅種とされている。

キイロネクイハムシ(撮影:京都大学大学院・曽田貞滋教授)
キイロネクイハムシ(撮影:京都大学大学院・曽田貞滋教授)
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こうした中、加藤教授が2021年10月にユスリカの幼虫の研究のために、研究室に持ち帰っていたクロモからキイロネクイハムシを発見。その後、2022年2月に同じ場所で採取したセンニンモ(水生植物)からも、越冬していたキイロネクイハムシ2匹を採集した。

キイロネクイハムシであることは、曽田貞滋教授の遺伝子解析で判明。琵琶湖では約60年ぶりの生息確認となるという。

加藤教授「多くの昆虫学者が憧れ、また狙ってもいました」

絶滅したはずのキイロネクイハムシが、琵琶湖で発見されたのは、なぜなのか? 今回の発見は、今後、どのようなことに活かされるのか?

なお、キイロネクイハムシを発見した加藤教授と遺伝子解析を行った曽田教授は京都大学の同級生で、1976年に京都大学に入学して以来の付き合い。しかも2人とも、今年度で定年を迎える。そのようなタイミングで共著として論文を発表できたことをどのように受け止めているのか?

まずは、キイロネクイハムシを発見した、京都大学大学院の加藤眞教授に話を聞いた。