“きかんしゃトーマス”が人気の静岡県の大井川鉄道は台風で線路が土砂に埋まり、2023年1月現在も一部区間でバスによる代行運転をしている。地元の被災をきっかけに高校生がドキュメンタリーの制作を始めた。復旧にむけた鉄道会社の取り組みから、学んだことが多かったようだ。
台風被害を防災に活かしたい
高校生:
今回 台風の影響で被害にあった感想は、どういうものがありましたか?
大井川鉄道 広報・加冷 英鵬さん:
1つは被害の規模の大きさで、言葉を失ったというのが1つありました

真剣な表情で地元の鉄道会社の担当者から話を聞く高校生。
静岡県立島田商業高校の放送部の生徒たちだ。

2022年9月、台風15号で甚大な被害を受けた静岡県。
地元の被害を目の当たりにする中、その教訓を将来の防災に活かしていこうと、高校生たちはドキュメンタリーの制作を始めた。

島田商業高校・臼井 慎之助さん:
静岡県はこれまで30年くらい前から「南海トラフ巨大地震」がいつ来てもおかしくないという状況下で、将来あった時のための予備知識として身に着けたいと思って防災に関わろうと思いました

島田商業高校・小田 未知瑠さん:
台風15号の影響があったので、私も家にいて夜中に警報が鳴ったり少し怖い思いをしたので、そういうのをあらためて確認して、命にかかわる大事なことだと再認識したからドキュメンタリーに携わろうと思いました
取材で知る台風の怖さと鉄道会社の努力

台風の大雨によって、島田市では採石場の跡地から大量の土砂が大井川鉄道の線路上に流れ込んだ。2023年1月現在も一部区間が不通でバスによる代行運転をしている。
高校生:
友達もその電車で学校に通っていたので、「今回の台風 そんなにやばいんだ」って思いました

きかんしゃトーマス号やSLなどによる観光収入で、地元の足となる普通列車の赤字を補ってきた大井川鉄道。
台風による被害は大きな打撃だが、運転体験など工夫を凝らした取り組みを続けている。

島田商業高校・田村 勇翔さん:
大井川鉄道さんの話を聞いてみて、身近でも土砂崩れなどの被害があって、今回改めて台風15号の怖さを知りました

島田商業高校・桑原 由依さん:
すごく大変な思いをされているんだなと思って。経営自体もとても厳しい中、そこでくじけないで(本来の運行業務とは)違う方面で活動されていることを知って、すごい人たちなんだなと思いました
地元の祭りや学校の防災対策も取材
この日、3年に1度の島田大祭・帯まつりを撮影していた高校生たち。

島田市は大井川の氾濫で何度も水害に見舞われた歴史があり、帯まつりの開催は大井川を鎮め、水害の無いことを祈る目的も含まれている。
さらに別の日には自分たちが通う島田商業高校で、静岡大学の山本隆太教授を招き、学校内の防災対策について学んだ。

教員:
これが電気制御盤
生徒:
初めて見た。じゃあ教室の電気が全部使えなくなる?
教員:
そう
島田市の避難所にも指定されている高校だが、もともと川があった扇状地に建設されたということで浸水しやすいこともわかった。

島田商業高校・臼井 慎之助さん:
外に貯水タンクがあるんですけど、貯水タンクは1つしかなくて島田市のほとんどの人は島田商業高校に避難すると思うので少ないと知りました
島田商業高校・小田 未知瑠さん:
島田商業高校は避難所になっているんですけど、思ったより設備が整っていなくて、ほんとに避難所として生活していくのに正しいのかどうかが、少し考えないとなと思いました

静岡大学・山本 隆太教授:
より身近な水害、これは自分たちで土地の標高とか高い低いというのを見極めて、どこが危ないかをかなりローカルなレベルで判断しないといけない。そういった点を高校生たちには学んでほしいし、情報発信してほしい
家族や友人を守るドキュメンタリーを

防災をテーマに取材を続けてきた放送部の生徒たち。
島田商業高校・春日 藍沙さん:
災害が起こった時に「避難しないと、こういう危険性があるよ」というのを伝えないと動かない。それを知っていても動かない、それをどうするか
目指すのは、災害が起きたときに家族や友人を救うことができるドキュメンタリーだ。

島田商業高校・春日 藍沙さん:
防災の大切さだったり、避難することの大切さだったり、そういうことを含めて次に大きい被害の災害が起こったらどういう行動をしていくか、みんなに分かりやすいような、そして避難・防災の大切さがわかるようなドキュメンタリーを作っていきたいです
過去の水害や台風15号を教訓として命を守るために。
高校生たちが制作を続けるドキュメンタリーは、2023年2月に完成する予定だ。
(テレビ静岡)