牛丼チェーン「すき家」は、牛丼に次ぐ看板商品のカレーを、辛さが苦手な層をターゲットに家庭の味をイメージした甘口にリニューアルした。
専門家は、外食機会が減少する中で、こうした家庭的な味は消費者に好まれ、価格面でも競争力があると指摘する。
イメージは“おうちカレー” 特製ソースで味変も
牛丼と並ぶ看板商品の味をリニューアルし、“家庭で食べるカレー”をイメージした。

スパイシーな香りが食欲をそそる日本人が好きな料理の定番「カレーライス」。
24日、牛丼チェーンのすき家は、牛丼と並ぶ看板商品のカレーのルウを甘めにリニューアルすると発表した。

フジテレビ経済部・砂川萌々菜記者:
こちらがリニューアルされたカレーですが、従来のものよりも色合いが優しい気がします。では、いただきます。従来のものよりもかなり辛さが控えめで、どこか懐かしい味がします。

1年以上かけて開発した渾身(こんしん)の「甘口」カレーは、「おうちカレー」をイメージし、定番の野菜だけではなく、新たに、さつまいもやパイナップル、トマト、牛乳、りんごなどを加え、野菜とフルーツの甘みが溶け込んだ優しい味わいに仕上げた。

これまでも、未就学児向けのお子様カレーは提供していたものの、小学生や辛いものが苦手な大人の層は取り込めていなかったため、今回、甘口にしたことで幅広い層をターゲットにした。

さらに、辛口派の人には「特製辛口ソース」を用意。
好みの量をかけられるので、従来のカレーよりもさらに辛くできる。
1つの商品で、好みや気分によって“味変”が楽しめる「食事体験」を提供する。

ゼンショーグローバルファストホールディングス 営業企画部・寺田健吾部長:
牛丼のすき家という認識は結構持たれていると思うが、カレーもすき家を想起していただけるような商品にしたい。

新しいカレーは、10月1日午前9時から販売を開始する。
「安い・うまい」家庭的な味と価格で差別化
「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ーー家で食べるカレーをイメージした味のリニューアル、どうご覧になりますか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
すき家にとってカレーは、牛丼と並ぶ看板商品です。この味を変えるということは、消費者がすき家に求める「早くて、安くて、うまい」をすべてクリアする自信作が出来上がったということです。
こうした新メニューの開発で、最も難しいのが「安くて、うまい」、そのバランスを取ることです。
堤キャスター:
ーーファストフードにとって、そこは大切ですよね。
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
総務省の調査によると、外で食べるカレーライスの平均価格は758円で、今回のカレーは、それよりも安い並盛490円です。
節約志向の中で、外食については1回に使う金額は変わらず、その機会を減らす傾向が強まっている。そうなると、せっかくの外食ならば、おいしいものを食べたくなりますよね。
1人暮らしの単身者で、自分でカレーを作る方はそれほど多くはないかもしれません。今回の「家庭で食べるようなカレー」は、チェーン店での提供は少なく、差別化のメニューともなりそうです。
カスタマイズ対応で海外展開にも期待
堤キャスター:
ーー自分で辛さを調整できる「ソース」があるのも喜ばれそうですね。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
自分らしく味を楽しみたい顧客のニーズに応えるもので、子どもから大人まで、さまざまな客層を取り込むことにもつながりそうです。
味のカスタマイズで、もう1つポイントになるのがトッピングです。今回の「やわらかチキン」は、比較的新しいメニュー提案になっています。
こうした味を自分流にカスタマイズするカレーのおいしさは、インバウンド客にも発見され、日本訪問の楽しみの1つにもなっています。
堤キャスター:
ーー日本のカレーもまた、海外で人気となっていくかもしれませんね?
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
ゼンショーホールディングスはアジアを中心に、すき家の海外展開を積極的に進めています。今後は、日本人にとってはどこか懐かしさを感じるすき家の「おうちのカレー」が、海外でも「ジャパニーズカレー」として人気を呼び、その味が愛されていくかもしれません。
堤キャスター:
家庭の数だけ味もあります。
その中でも定番の味をベースに、それぞれの好みで味や辛さを変えていけるというのは、このお店の楽しみとして、広い世代に選ばれるきっかけになるかもしれませんね。
(「Live News α」9月24日放送分より)