米アマゾンは28日、衛星通信サービスの提供に向けて衛星27基を打ち上げた。今後数年間で3200基以上を打ち上げ、2025年後半のサービス開始を予定している。

先行するスターリンクと競合し、価格や品質の向上に期待が高まる。国内ではドコモなどと連携し、年内開始も視野に入る。

アマゾンが衛星通信サービス始動へ

アメリカのIT大手アマゾンは、衛星通信サービスの提供に向けて、ロケットを打ち上げた。

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アマゾンは28日、フロリダ州から衛星通信サービスの提供に向けて、地球の低軌道に27基の衛星を打ち上げた。

「プロジェクト・カイパー」と名付けられたこの計画は、低価格で地球上のほぼあらゆる場所に、高速のインターネットを提供することを目標としている。

今後数年間で3200基以上を打ち上げ、2025年後半から通信サービスを開始する予定だ。

先行するイーロン・マスク氏が率いるスペースXのスターリンクは、すでに約7000基の衛星を打ち上げていて、今後アマゾンが競合となるのか注目されている。

スターリンクと競合で衛星ネットの普及に期待

「Live News α」では、暮らしを変えるテクノロジーに詳しいIoT NEWS代表・小泉耕二さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
新たな宇宙ビジネスの広がり、どうご覧になっていますか?

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
宇宙関連ビジネスに対する期待値は非常に大きく、2035年の市場規模は、256兆円以上とも言われています。

過去20年で打ち上げコストは10分の1程度になり、今回のプロジェクト・カイパーのような低軌道衛星の量産コストもかなり下がりました。低コスト化により、今後、衛星の活用が様々な分野で広がっていくと思います。

堤キャスター:
衛星を活用したネットサービスによって、どんなことが可能になるのでしょうか?

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
高度2000キロメートル以下の低軌道にいくつもの通信衛星が地球をグルリと回ることで、山間部や離島、海洋などでも、通信が可能になるというメリットがあります。

例えば、冷蔵品を載せて山間部を走るトラックから、温度状況を取得して品質を保証するなど、様々な分野での活用が考えられます。

ただ、衛星サービスはすでにスペースXのスターリンクが先行してサービスを行っていて、衛星の数も既に7000基配置されています。ですので、アマゾンは急ピッチで追いつこうしている訳です。

価格や品質の選択肢が広がる利点も

堤キャスター:
新たにアマゾンが参入することで、サービスの利用者にどういったメリットがあるのでしょうか。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
例えば、両社の間で価格や品質に関する競争が激化することで、利用者はその恩恵を受けることができるようになると思います。

また、アマゾンが提供するAWSと呼ばれるクラウドサービスを利用する企業にとってみると、衛星経由での秘匿通信が可能となったり、災害時のバックアップ通信として活用できます。

特に、データありきで経営を進める企業は増えてきているので、ネットが途切れるということは死活問題ですから、こういった通信が行えることは非常に重要だと思います。

堤キャスター:
日本の通信市場への影響については、いかがですか。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
今回の衛星通信の活用について、2023年にドコモとスカパーJSATが、アマゾンとの戦略的提携を発表しています。早ければ、今年後半にはサービスが開始されるということです。

衛星を活用したネットサービスの提供には、まだ顕在化されていない利用シーンもあるはずです。このタイミングで、衛星通信の活用を考えてみるのも良いのではないかと思います。
(「Live News α」4月29日放送分より)

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