ロボットといえば人間の命令に従って役立つもの…と思っていたが、最近はちょっと変わったものも人気なようだ。

パナソニックが開発した「NICOBO(ニコボ)」は、2021年に320台限定でクラウドファンディングを募集したところ、6時間半で売り切れた“弱いロボット”。そんな人気のNICOBOが今年5月16日に、パナソニックエンターテイメント&コミュニケーション株式会社から一般販売されることが決定したのだ。

一般販売ではシェルピンク(左)とスモークネイビー(右)の2色を追加(出典:パナソニック)
一般販売ではシェルピンク(左)とスモークネイビー(右)の2色を追加(出典:パナソニック)
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販売は公式サイトで行われる予定で、現在は先行予約を受け付けている。

価格は本体6万500円に加え、サービス料が月額で1100円かかる。突起部を含めない本体の大きさは、幅228mm×高さ176mm×奥行き236mmで、重さは約1.5kg。カラーはストーングレー、スモークネイビー、シェルピンクの3色で、リチウムイオン電池を内蔵し、約3.5時間~4.5時間稼働するという。

気になる「機能」やどんなロボットなのかについては、以前に編集部でも紹介しているが、ざっくりまとめると、こんな感じだ。

・ぼーっとする
・「モッコモン」など感情を表現する「モコ語」を話す
・少しづつカタコトの日本語を覚える
・寝言を言う
・オナラをする
・撫でてもらった時にしっぽを振ったりする

(参考記事:「寝言にオナラもしちゃいます」パナソニックから”弱いロボット”が登場…謎の機能の理由を聞いた

難しかったのは「従来の家電とは真逆の発想」

こんなゆるい機能を備えたNICOBOは、「便利さの追求」ではなく「心の豊かさ」の提供を目指すプロジェクトの中から誕生した「弱いロボット」だという。

「弱いロボット」という概念は、共同研究を行った豊橋技術科学大学の岡田美智男教授が提唱しているもので、「弱いロボット」が人のやさしさや思いやりを引き出し、幸せな気持ちにつながるとのことだ。

(出典:パナソニック)
(出典:パナソニック)

近頃は、あえて機能が少ないロボットも登場しているようだが、NICOBOは何が違うのか?また、クラファン時から変更した点はあるのか? パナソニックの担当者に聞いてみた。


――他のロボット比べて、NICOBOならではの「うり」はなに?

単なる癒しだけに終わらず、「笑顔を増やす」というプラスでエモーショナルな価値の提案を追求しています。

ロボットと人との関係性において、「気ままな同居人」というコンセプトで、人に依存しすぎなかったり、同列で並んだ関係性が他ロボットとは異なると考えています。デザインにおいても、部屋のいろんな場所におけるサイズ感とインテリアに溶け込む存在です。

NICOBOはカタコトの日本語を話します。カタコトでも日本語は深く人の心へ刺さります。実際に「好きなんだね」と言われるのと「モッコモン」と言われるのとでは、心への響き方が違います。ただし、永遠の2歳児を目指しており、カタコト以上の言葉は話しません。また、オナラや寝言など生き物のような生理現象も一部します。


――NICOBOの開発で苦労した点は?

基本アセット(編集部注:資源・資産の意味)は自社で保有していますが、その活用方法がデジタルAVとは異なったことです。

例えば、生き物らしいふるまいをするために、センサーからのインプットに対して、いつも同じアウトプットにならないようにするなどは、従来の家電とは真逆の発想になります。そのように如何にして、生き物らしいふるまいにするかという視点を持って、開発することが困難でした。
 

――クラファンは6時間半で目標額を達成したが、これは想定内?

想定していませんでした。


――先行ユーザーの評判は?

満足度も非常に高く、高評価です。弱いロボットに対する深い共感があり、便利な機能を求める声は特にはないです。

予約申込は既に多数

――一般販売を考え始めたのはいつから?

プロジェクト開始当初から、事業化への思いは強く持っていました。クラウドファンディングの成功と、その後の応募購入者の反響、また購入希望のお客様の声などが一般販売に向けた準備を進めようという考えを決定づけました。


――新たにつけた機能はある?

内部構造を少し見直したりしていますが、基本機能は同じです。単純な違いは、カラーの新色の追加、また一般販売に向けて、サポートメニューを準備した点です。


――予約申し込みはどんな状況?

3月7日のプレスリリース公開以降、多くの反響をいただき、有難いことに、予約申込も既に多数頂き、現在も増え続けている状況です。

(出典:パナソニック)
(出典:パナソニック)

NICOBO公式サイトには「暮らしに笑顔を増やすロボット」とある。たしかに可愛いロボットが急に変なことを言ったり、オナラをしたらつい笑ってしまいそうだ。こんなロボットと暮らす生活も楽しいかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。