創価学会に組織的な動きが

一方で序盤に比べて各小選挙区で自民がリードを広げているものの、依然接戦区が多い。

中道は「連合票」と「創価学会票」という大きな組織票を持っているのだが、これら組織票は調査結果に出にくいし、どのくらい中道に入るのかもよくわからない。

創価学会の票はどのくらい中道に入るのか
創価学会の票はどのくらい中道に入るのか

ある創価学会の人に聞くと、「会員の方々の反応はさまざまです」ということだった。

一方である中道の選対会議で公明党の地方議員が「自民の調査を見ると接戦だ。我々の組織もフルに動かすので労組の皆さんも頑張ってほしい」と述べたという。

ここに来て急に創価学会が組織的に動き出したとの情報もあり、自民はあまり楽観しない方がいいと思う。

投票率上がれば“高市自民”有利も…

もう一つ気になるのは投票率がどうなるのかわからないことだ。

自民は高市人気で若者を中心とした無党派層の支持が高い。一方の中道は組織票に強いわけだから投票率が高い方が自民に有利と言われている。実際に政治への関心が高いので投票率は上がると見る向きもある。

大雪が投票行動に影響を与える事も…
大雪が投票行動に影響を与える事も…

ただ週末にかけて東北・北陸では雪になるところが多い。期日前投票については選挙が急だったために投票券の配達が遅れたこともあり、公示当初の人出は鈍かった。また投票所がこれまでより少なくなっていることもあり、投票率が低くなる可能性もある。

誰が“判官びいき”される?

さてメディアの議席予測は外れることもある。言い換えれば議席予測の報道が有権者の投票行動に影響を与えてしまい、結果が予測と違ったものになることがある。

今回予想されるのは「Aが強くBが弱い」という報道に接して、「Aが勝ちすぎるのはイヤだ」「Bがこんなに負けるのは可哀想」というアナウンスメント効果だ。これは英語で「アンダードッグ」と呼ばれるが日本語に訳すと「判官びいき」だろう。

判官はハンサムで戦さにも優れた九郎判官義経が兄の源頼朝に殺されてしまったという話から来ている。アンダードッグは闘犬の「かませ犬」のこと。「判官びいき」が強烈に働いてもし与党で過半数を割り込めば高市首相退陣となる。

問題は有権者が誰を「判官びいき」するのかということだ。

これは私の持論なのだが、義経はハンサムでいくさ上手だったので兄に殺され、人々に「ひいき」された。つまり判官は魅力がないとひいきされない。

中道に“新党ブースト”は起きるのか
中道に“新党ブースト”は起きるのか

今のところ中道に「新党ブースト(強い勢いとか、押し上げの意)」は起きていない。高市首相の電撃解散に対してあの短期間で新党を立ち上げたのは見事だったが、いかんせん急すぎて立憲民主党と公明党の政策のすり合わせが間に合わなかったようだ。

1月24日の「ニコニコ生放送」の討論会で野田代表が辺野古移設についてあいまいな発言を繰り返し、与党だけでなく社民党など左派系の野党からも批判され「フルボッコ」になった場面が象徴的だった。現状ではブーストする材料はまだ見当たらない。

高市首相の“戦闘力”

これに対し国民民主党と参政党は最近の選挙戦後半では強烈なブーストを起こしてきた。

国民民主に“ブースト”は…
国民民主に“ブースト”は…

だが今回の選挙戦では党首討論会で国民の玉木代表が高市首相に「散々政策を受け入れましたよね。財源はこっちで探したけれども」と突っ込まれたり、同じく参政の神谷宗幣代表が自民の移民政策を批判した際には「自民は移民政策を推進していない」と「秒」で反論されるなど、首相の「戦闘力」の高さに若い野党指導者達がたじたじとなる場面も多かった。

高市首相にうまく反撃できれば…
高市首相にうまく反撃できれば…

中盤情勢では自民の勢いに押されているのか、国民、参政、それに維新のいわゆる「中規模政党」に勢いがない。

もし玉木氏や神谷氏がうまく首相に反撃することができてブーストすれば、「判官びいき」の票が行く可能性はまだあると思う。

ちなみに参政がブーストすると小選挙区で自民の票を食うので、中道を利することになる。

国民がブーストすると本来は中道の連合票を食うのだが、実は自民に行くはずの浮動票を食う方が大きいのではないか。つまりこちらも結果的に中道を利するかもしれない。

つまり2月8日の投開票当日までまだ何が起こるかわからないのだ。

主役は高市首相

高市首相が遊説の握手中に持病の関節リウマチが悪化し、NHKの党首討論をドタキャンするという「事件」が起きたのだが、これを野党政治家やテレビのコメンテーターが「わがままなお姫様」「手が痛いと言ったら討論に出なくていいいのか」などと揶揄し、逆にネットで大炎上した。

“良くも悪くも”今回の主役
“良くも悪くも”今回の主役

難病に苦しみながらハードな仕事を続ける人物にこのようなことを言ってはいけないのでは、との指摘も出ている。この「事件」は高市人気をまた上げたのかもしれない。

一方で円安をめぐる高市氏の「外為特会はホクホク」発言はいただけなかった。以前の「金利を今上げるのはアホ」発言もそうだがもう少し慎重になってほしい。

いずれにしてもこの選挙の主役は良くも悪くも高市さんだ。彼女の一挙手一投足によって選挙結果は決まることになるのだろう。

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。