「ひろしま満点ママ!!」からの気になる情報。
今回のテーマは、へき地の医療です。

広島県は、近くに病院などがなく、住民が医療を受けるのが難しい「無医地区」が北海道に続き2番目に多いことをご存じでしょうか?
無医地区である島しょ部に住む人々の健康を支える「船」を紹介します。

【久保田夏菜リポーター】
「さあ、今、朝の8時30分なんですけど、見えてきました。きっとあの船じゃないですかね」

呉市の大崎下島、豊町にある沖友港。
ここに、朝日を浴びながら入って来たのが、診療船の済生丸です。

【久保田リポーター】
「この診療船はどういう役割を持った船なんですか?」
【済生会呉病院 石橋あゆみさん】
「こちらの済生丸は、瀬戸内海の島しょ部にある医療に恵まれない方々のために診療や検診の事業を行っております」
【久保田リポーター】
「そういう島というのは結構多いものなんです?」
【石橋さん】
「瀬戸内海では大体84の島がありまして、その中でも医療機関があるところは半分以下になっております。済生丸はその中で約60の島を巡回させていただいております。なかなか医療機関に行くことが難しいので、この巡回診療の済生丸に来てもらって、皆さん検診を受けて、日々の健康に気を使っていただいております」

それでは、早速中を見学させてもらいましょう。

【久保田リポーター】
「失礼します。うわぁ、ちゃん診療室が…」
【石橋さん】
「そうですね。だいたい規模的には中規模病院ぐらいの診療機能を兼ね備えておりまして、各部屋ごとにいろいろな診察ができるようになっております」

済生丸が誕生したのは、1962年。
岡山済生会総合病院の当時の院長が、医療環境が十分ではない離島の人々が、安心して暮らせるように、という思いから発案。
病気になりにくい体づくりに取り組む「予防医学」を重視し、診療船による定期的な検診を始めました。
済生丸の医療スタッフは、医師や看護師のほか診療放射線技師などが、各県の済生会病院から、毎日交代で派遣されます。

【久保田リポーター】
「広島は、無医地区が多いと言われてまして…」
【神垣充弘 医師】
「海の中での限界集落のようなところも結構あるんじゃないかと思いますんで、小学校中学校が廃校になって、そこに住民の方がもう5、6人しかおられないとか、そういうところもあったりしましたので、どうしてもその医者もいない島っていうのがあるのは仕方がないのかなという気がしますね」
【久保田リポーター】
「島民の方たちも心配だと思うので、そういう意味ではこの済生丸ってすごく大事な存在ですよね、きっと…」
【神垣医師】
「そうですね。来た時にはしっかり診させていただいてという気持ちはありますね」

【久保田リポーター】
「今日はどうされたんですか?」
【大崎下島の住民女性】
「今日は定期健診派遣、1年に1回の健康診断。ここはお医者さんがおらんからね。ほんで済生丸がこうやって回ってきてくれるのよ」
【久保田リポーター】
「それはありがたいですね!」
【大崎下島の住民女性】
「ありがたい!ありがたい!これ逃したら大変よ」

この地区へ来たのは40年前というこちらの女性。
以前は、家の前の施設へ定期的に医師が訪れ検診を行っていましたが、今では近くにそのようなところはありません。

【大崎下島の住民女性】
「もうこれは本当に命綱。大丈夫ですって言ってもらえるだけで1年が過ごせるからね」

済生丸では、身長や体重測定、血圧や血液検査をはじめ、骨密度や心電図の測定なども行えます。

【久保田リポーター】
「エレベーターもあるんですね」
【済生会呉病院 石橋あゆみさん】
「全てバリアフリーの設計となっておりまして、車椅子の方でもB1階の方に降りれるようになっております」

というわけで、エレベーターに乗って、下の階へ移動してみると…

【久保田リポーター】
「ありますね。色々と…」
【石橋さん】
「そうですね。こちら手前が胸部のX線機器になりまして、真ん中の方に胃部のX線機器になっております。バリウムを飲んで行う胃のレントゲン検査になります」
【久保田リポーター】
「こんな大きいものも乗ってるんですね」
【石橋さん】
「今回、X線機器を対応年数が過ぎておりましたので、クラウドファンディングで皆様に寄付をいただきまして、今回新しい機器に変えることができました。12月に変わったばっかりなので、今回の診療が初めての新しいレントゲンの操作になります」

【久保田リポーター】
「あの、これはゲームではないですよね?」
【放射線技師 大竹忠裕さん】
「ゲームではないです(笑)」
【久保田リポーター】
「これは何をする機械ですか?」
【大竹さん】
「胃の検査をする機械になります」

こちらは、放射線技師の大竹さんです。

【久保田リポーター】
「ちなみに今回新しくなったということですけど、できることが増えたりするんです?」
【大竹さん】
「そうですね。操作性がすごく向上しているのと、あとは一番は画質がすごく前回よりも良くなっていると思います」
【久保田さん】
「じゃあ、より精度高く検診を受けることができるように…」
【大竹さん】
「細かい病変だとか、微細な病変までも抽出できるんじゃないかなと思います」

他にも、乳がん検診で使われるマンモグラフィの最新機器が搭載されているなど、より精度の高い検査がおこなえるようになっています。

続いて、操舵室や船長室がある2階へ。

【久保田リポーター】
「ありました。船長室。カーテン閉まってますね。すみませーん」
【北川裕二 船長】
「はいはい」

こちらは、船長の北川さん。
特別に船長室を見せていただくと…

【久保田リポーター】
「整ってますねー。ベッドがあって、エアコンあって、あれは?テレビもあるんですね。冷蔵庫も…。ほぼここで生活されてる感じですか?」
【北川船長】
「週末除いては、平日は常にここで暮らしてます。日中は働いて、夜はここで寝ます」

続いて、操舵室へ。

【久保田リポーター】
「うわぁ、かっこいいですね!すごい。今、大崎下島にいますよね。診察終わったらどちらに向かわれるんですか?」
【北川船長】
「広島県の時は、呉港と三原港って2つあるんですけど…」
【久保田リポーター】
「じゃあ、呉を拠点に、今週は広島の島々を巡られる…?」
【北川船長】
「来週が岡山の診療なんで、前もって移動して、そこでお休みになります」
【久保田リポーター】
「そういう風にして、毎週いろいろ巡りながら…」
【北川船長】
「そうですね。岡山が終わったら次は香川に…。4県の港をそれぞれ回りながら、島にいて診療を続けます」

済生丸に乗って、12年目という北川船長。

【北川船長】
「島民の方が港に入る時に待っていてくれたりとか、来てくれてありがとうとか、そう言ってくれることがすごい励みになります」

【大崎下島で10年近く済生丸を利用する男性】
以前は、橋もありませんでしたので、(病院に行くのが)ちょっと大変でした。やはり歳取るとそれなりに病気の方心配しますんでね。
【久保田リポーター】
「こういう風に本当に、島まで来てくれる。それで定期検診ができるっていうのは-…」
【大崎下島で10年近く済生丸を利用する男性】
「助かりますよ」

島しょ部で暮らす人々の健康を支える済生丸。
そこには、医療奉仕につとめる人々の強い思いがあります。

【神垣医師】
「誰ひとり取り残さない社会を目指していきましょう。細々とでもこういう活動を続けながら安心を届けてっていう風にしていくことができれば、それが済生会としての理念に合致しているのかなと思います」

テレビ新広島
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