28日、再審請求が退けられた『菊池事件』をめぐり、熊本地裁が弁護団などに交付した決定書に誤った表記があったことが分かりました。

憲法違反の刑事手続きが再審開始の理由になるかどうかが注目されたこの事件。決定書には実際には存在しない憲法の条項が書かれていました。

ハンセン病患者とされた男性が殺人などの罪に問われ、無実を訴え続けるも1962年に死刑が執行された『菊池事件』をめぐっては、熊本地裁が28日、遺族の再審請求を棄却しました。

弁護団は、男性が公開の法廷ではなく、菊池恵楓園や隔離先の旧菊池医療刑務支所に設置された『特別法廷』で裁かれたこと、一審できちんとした弁護がなされておらず、当時の刑事手続きが憲法違反であったなどとして、再審開始を求めていました。

中田 幹人 裁判長は「憲法違反が確定判決の事実認定に重大な事実誤認をきたす場合には、再審を開始すべき余地があることは否定できない」と踏み込んだ見解を示した一方、「公開の法廷で審理を行ったとしても証拠関係に変動はない」などとして再審開始を認めませんでした。

こちらは熊本地裁が交付した36ページにわたる決定書。この中で『弁護人依頼権』を保障する憲法37条3項などについて言及されていましたが、途中からこの条文の記載が憲法39条3項に変わっていました。

憲法39条は、一度無罪になった事件について再び刑事裁判を行うことを禁じた『一事不再理』などを定めたもの。今回の『菊池事件』には無関係の条文で、そもそも3項自体も存在しません。

刑事法が専門の熊本大学 岡田 行雄 教授は次のように指摘します。

【熊本大学 岡田 行雄 教授】
「結論の根拠になっている一番重要なところで単純なミスをしていて、信じられない。要は『検討していない』ということがまる分かり。(裁判官)3人でチェックしているなら一発で気が付かないとおかしい。日本で初めての判断。今後、研究者は必ずこの決定をたどることになる。そのときにずっと恥ずかしいミスが見られ続けるという裁判所の意識がない」

また、弁護団の徳田 靖之 共同代表は…。

【菊池事件再審弁護団 徳田 靖之 共同代表】
「間違いは起こり得ると思うが、憲法違反が問われている事件で適用される憲法の表記を誤るというのはあまり例がないことではないか。かなり初歩的な間違いで、どうしてチェックできなかったのか。私どもとしてみると、慎重さに欠けるというか、〈どれくらい真剣に私たちの訴えに向き合ってくださったのか〉と疑問を抱かざるを得ない」

熊本地裁はTKUの取材に、「決定書の内容などについては回答しない」とコメントしています。

テレビ熊本
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