選挙のたびに利用者が増えている「期日前投票」。投票日に投票所へ行けない人のための制度として定着し、いまや国政選挙では有権者の4人に1人が利用するまでになった。
どんな制度なのか?不在者投票とはどう違うのか?その仕組みと背景を分かりやすく解説する。

期日前投票とはどんな制度?

期日前投票は、公職選挙法に基づき、投票日の当日に投票所へ行けない見込みがある人が、公示・告示後から投票日前日までの間に投票できる制度だ。市区町村役場や商業施設などに設けられた期日前投票所で、投票日とほぼ同じ手続きで投票できる。

制度の特徴は、「当日投票できない理由」が厳格に問われない点にある。

仕事や学業、旅行、冠婚葬祭、体調不安など、幅広い事情が想定され、投票所で簡単な宣誓書を記入すれば誰でも利用できる。投票も、投票箱に直接行う。

一方、「不在者投票」は仕事などで長期間住民票のある自治体を離れている人などに向けた制度で、事前に郵送などで住民票のある自治体に投票用紙などを請求する。投票する自治体の選挙管理委員会に投票用紙を持って行き、その場で手続きに沿って投票用紙に書き込み、封筒に入れるなどして、不在者投票の管理者に渡す必要がある。

かつて主流だった「不在者投票」に比べ、「期日前投票」は手続きが簡素化され、投票の心理的・実務的ハードルを下げた制度といえる。

導入の経緯は?

期日前投票は2003年の法改正で導入された。

背景にあったのは、投票率の低下と、有権者の生活様式の多様化だ。「投票日に必ず投票所へ行く」という前提が、現代社会では成り立ちにくくなっていた。

利用者は着実に増えている。総務省によると、2025年7月の参議院選挙では、期日前投票者数は約2618万人に達し、有権者の25%を占めた。

これは国政選挙として過去最多で、2022年参院選より約656万人(33%)の増加だった。

各地で期日前投票所の設置数も拡大しており、2025年参院選では全国で約6900カ所と、前回から740カ所ほど増えた。買い物や通勤の動線上で投票できる環境整備が、利用拡大を後押ししているという。

生活スタイルに合わせた利用を

総務省は期日前投票について、「投票日に都合がつかない方は積極的に利用してほしい」と呼びかけている。

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具体的には、仕事で投票時間内に外出できない人や、育児や介護で長時間家を空けられない人、体力や移動に不安のある高齢者や障害のある人なども想定されている。

混雑を避けたい人や、投票日が三連休や多忙な時期に重なる場合にも、有効な選択肢とされる。

2025年の参院選では投票日が連休の中日にあたり、「早めに投票を済ませたい」という意識が利用増につながった。

期日前投票は、投票日を「守れない人」のための例外ではなく、生活スタイルに合わせて投票のタイミングを選べる選択肢といえる。制度を知り、使いこなすことが、投票率を支える土台となる。

2026年の衆院選は1月27日に公示され、投開票は2月8日。期日前投票は1月28日から2月7日までの11日間で、全国の市区町村が設置する期日前投票所で投票できる。
投票時間や会場は自治体によって異なるため、総務省や各地の選挙管理委員会は、事前に案内を確認するよう呼びかけている。

プライムオンライン編集部
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