2025年12月24日、レクサスのBEVシリーズ「RZ」に新しく加わったモデル「RZ600e」。
誕生には、自動車開発の常識を変える意外なパートナーが携わっています。

最高時速400km、最大重力加速度12Gの極限の条件下でタイムと正確さを競い合う空のモータースポーツ「AIR RACE X」で初代王者となったパイロット・室屋義秀選手です。

レクサスは2021年、室屋選手とともにレーシングチームを発足。
世界で戦うトップレーサーと航空機部品の共同開発に取り組み、過酷なAIR RACE Xの舞台で技術を磨いてきました。

レクサスインターナショナル・中江雄亮さん:
この活動を通して、今までにはなかったものが生み出されやすくなっているんじゃないか。

“空”で培った航空機技術を“クルマ”へ生かす、自動車の未来に新たな進化が生まれています。

福島市にある室屋選手の活動拠点。
空と陸、互いの技術の融合で世界の頂点を目指す異分野チームの研究開発拠点です。

2025年、レクサスが販売したLC500の特別仕様車「PINNACLE」。
特徴的なリアウィングには、ある空の技術が息づいているといいます。

レクサスインターナショナル・中江雄亮さん:
ちょうど飛行機の翼を真下に反転させたような形になっている。ここに「渦」を作ることで前から来た空気の流れを、その渦と一緒に車体に沿わせることができる。(クルマの)操縦安定性を良くしようというコンセプトでこのウィングを開発した。

航空機の翼の先にある「ウィングレット」。
これは翼の端から、らせん状に放出される空気の渦を最小化して空気抵抗を削減する装置です。

この抵抗をさらに抑えようと新しくウィングレットを開発し、2025年にAIR RACE Xで実戦投入されています。

膨大なデータ収集とテストフライトを重ね導き出された形状は、パイロットとエンジニアがともに悩んで見いだした“共通の答え”でした。

レクサスインターナショナル・中江雄亮さん:
(エアレースは)コンマ1秒で数十メーター、レース機何機分もの差が出るが、新しいウィングレットに変えてデータ上はコンマ数秒早くなっている。この形は我々が知る限りは、我々のチームだけ。

この空力の知見をクルマの操縦安定性の向上に応用しました。

その後も様々に蓄積した空の知見が、新たな自動車技術に反映されています。

レクサスインターナショナル・中江雄亮さん:
最大に人間のパフォーマンスを出すため、どんな座り方がいいのかというようなこともエアレースの現場で研究している。

逆に、レース機にはレクサスのステアリングの考え方を操縦かんに反映させるなど、自動車の知見を応用しています。

お互いの知見が双方の技術の底上げにつながっているのです。

さらに、室屋氏との取り組みで得た最大の成果が“人”。
エンジニアたちにある変化が生まれているといいます。

LEXUS PATHFINDER AIR RACINGパイロット・室屋義秀さん:
(エアレースは)常に進化している中で「誰が一歩出られるか」になる。常にみんな前進しているからクルマも良くなっているし、技術者もどんどん成長するし面白い。

レクサスインターナショナル・中江雄亮さん:
(室屋選手は)「かなり自分たちとは違う目線だ」と、半分ワクワクしながら今までと違った視点からものを見られるチャンスだと。その視点から新しいことが生まれているんじゃないか。面白いですよ、面白い。

エンジニアのマインドセットを変える空と陸の融合。
分野を越えて得た新たな“気づき”が今、クルマの常識を塗り替えようとしています。