大阪市北区で起きた土地乗っ取り事件で「地面師」とみられる司法書士の男ら2人が逮捕されました。
電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いなどで逮捕された、司法書士の松本稜平容疑者(34)ら男2人。
2人は、偽造した身分証明書などを利用して、他人の不動産の所有者になりすます手口で詐欺などをたくらむ、いわゆる「地面師」とみられています。
逮捕前の取材に松本容疑者は、自身が「被害者」だと主張。「免許証を偽造する技術もない」と話していました。
そして取材を進めると見えてきたのは、ほかにも同様の事件を起こしていた疑いでした。
■事件の舞台は地価の上昇続く『大阪・梅田近くにある土地』
事件の舞台となったのは、地価の上昇が続く大阪・梅田の近くにある土地。
松本容疑者は去年、80代の男性が所有する土地や建物を三重県の小鹿瑞樹容疑者(33)の会社に不正に所有権を移転する登記をした疑いなどがもたれています。
松本容疑者は、司法書士の立場を利用して、なりすまし役として立てた男性が所有者だとする書類を作成。
その書類を法務局に提出し、最終的に小鹿容疑者の会社に所有権を移転させる登記をしたとみられます。
■「免許証を偽造する技術もないですし」自身は”被害者”と取材に語る
関西テレビは逮捕前の松本容疑者を直撃取材していました。
(Q.誰かに指示されていた?)
【松本容疑者】「それについて答えんかい、コラ!」
怒号を飛ばし、その場を去りましたが、別の日に、電話をかけてみると、意外な言葉が返ってきました。
(Q.「地面師」詐欺に関わっている?)
【松本容疑者】「関わっているというか、被害にあったことはある」
(Q.松本さんは「地面師」ではない?)
【松本容疑者】「私が『地面師』だったらとっくの昔に…免許証を偽造する技術もないですし」
(Q.だまされて書き換えた?)
【松本容疑者】「生年月日、名前、住所とか、(運転免許証の)ICチップの確認と、それで問題がなければうちは登記していた」
松本容疑者は「自分は被害者だ」と主張。別の人物から依頼されて、登記の書き換えを行っただけだというのです。
■代金5億円提示も「質問に答えられず」不動産関係者ら代金支払い前に手を引く
しかし不動産関係者を取材をすると、松本容疑者が主導し、土地を売って代金をだまし取ろうとしていた可能性も見えてきました。
去年3月ごろ、不動産関係者らに「お金に困っているから土地を売りたい」持ち掛けてきた松本容疑者と小鹿容疑者。
売却代金としておよそ5億円を提示してきました。
しかし、土地についての質問に答えられないなどの不審な点があり、不動産関係者らは、代金を支払う前に手を引いたということです。
■ほかに「なりすましで勝手に登記書き換え」疑いも
さらに、松本容疑者は逮捕された容疑とは別の土地でも、登記の書き換えを行った疑いがあることが分かりました。
【登記を書き換えられた男性】「これが司法書士の、間に入っている『松本稜平』です」
男性が月に一度くらいしか訪れることがないという大阪市内の建物はおととし11月、土地と建物の登記が勝手に書き換えられ、所有権が名古屋市の会社に移転されていたといいます。
(Q.身に覚えは?)
【登記を書き換えられた男性】「全然ありません」
関西テレビは、虚偽の申請のために使用されたとみられる偽造免許証のコピーを入手しました。
本物と比べると生年月日は同じですが、免許番号や種類が異なっています。
【登記を書き換えられた男性】「こんなん現実にあるんですね。自分が巻き込まれるとは、一切思っていなかった。『地面師』っていうのが普通の人ではないと思った」
■「狙われる土地」は「所有者に会わない・登記が動いていない」
「地面師」が題材のドラマを監修した司法書士は、狙われる土地には、特徴があると話します。
【司法書士・長田先生】「所有者と会う確率がかなり低い空き地や空き家、40年も50年も登記が動いてない土地。これは本来の所有者が亡くなってるか、認知症でもう施設に入り込んじゃってるか、そういったことも予想ができる」
他人の土地を食い物にする地面師たち。警察は松本容疑者らの認否を明らかにしていませんが、余罪を調べています。