12日まで行われた春の高校バレー全国大会で初の高校3冠の偉業に挑んだ鎮西高校。直前に亡くなった畑野前監督とともに臨んだ最後の春を振り返ります。
初戦を迎える前日。
【宮迫 竜司 監督】
「一番はポカ(ミス)しないこと。そこだけは頭に入れて、畑野先生がいつも言ってたポカをしない、ミスをしない、それをしっかり徹底してやるように。後悔しないことが一番だから。3年生に関しては3年間やってきた思いや畑野先生のことも色々あって色んな思いがあるかもしれんけど、自分たちが後悔しないバレーができるようにまずしっかり明日一つ勝てるようにしっかり準備すること」
『後悔しないバレーを』その思いで臨んだ春高バレー。
しかし、攻撃の要、エース 一ノ瀬 漣 が思うようにプレーできません。
第1セットを簡単にとった鎮西でしたが、第2セット立ち上がりからミスを連発。
「チームにとって初めての経験だった」と話す0対8のスタート。点差を埋めることができず、インターハイ、国スポの王者鎮西が初戦でセットを落とします。
会場も異様な雰囲気になる中、チームを救ったのは3年生でした。
エース 岩下 将大 が苦しい場面で得点をもぎ取り再びチームに流れを引き寄せると、ミドルの西原 涼瑛 も大活躍。最後も3年生 大石 秀 が決めきり苦しみながらも初戦を突破しました。
試合後、本来の力を発揮できなかった一ノ瀬は悔し涙をこぼしていました。
【一ノ瀬 漣】
「試合できる時間も残り少ないので、楽しんで、自分の力を出し切って3年生と長くコートに立てるように勝ちたいです」
3年生と少しでも長く、そして畑野前監督に本物のエースの姿を見せたい。
そう意気込んで臨んだ今大会。一ノ瀬が完全に復活。前からも、後ろからも強烈なスパイクをたたき込み危なげなく3回戦を突破しました。
そして迎えた準々決勝。相手は国スポ決勝でフルセットまで競り合った京都・東山。
鎮西は序盤から一ノ瀬で真っ向勝負。東山も一ノ瀬と中学時代からライバルとしてしのぎを削ってきた2年生エース 岩田 怜緯 を中心に攻め立てます。
最後は岩下のスパイクがブロックにかかり鎮西が第1セットを奪われます。
しかし第2セット、鎮西は一ノ瀬が立て続けにブロックを決めるなど最高の滑り出し。さらにリベロ 上井 銀二 が好レシーブを見せると…岩田がスパイクミス。鎮西が最大6点のリードを奪います。
すると東山は中盤から岩下のバックアタックをノーマークにする作戦を取り、リベロを中心に粘り強くスパイクを拾い点差を縮めます。
ブロックは完全に一ノ瀬マーク。それでも3枚の壁を幾度となく打ち破ります。
【実況・後藤 祐太アナウンサー】
「一ノ瀬だ。打ち抜いていきます」
【解説・福澤 達哉さん】
「これ本当にブロック付いているのか錯覚するんですよ、ちゃんと3枚付いてるんですよね。もう一ノ瀬しか見ていないようなブロックの付き方です。それでも打ち抜いていくこれが鎮西のエースです」
先にセットポイントを奪ったのは鎮西。しかし東山も岩田が決め返し一進一退の攻防に。絶対に負けられない戦いは27対27、ここで壮絶なラリーが繰り広げられます。
息詰まる約40秒のロングラリー、この攻防を制したのは東山でした。そして…。
【試合終了】
【実況・後藤 祐太アナウンサー】
「鎮西初の高校3冠への道はここで幕を下ろすことになります」
〈本物のエースになりたい〉と臨んだ春高。チームを勝たせる理想の『鎮西のエース』にはまだ及びませんでした。
【一ノ瀬 漣】
「(畑野前監督に)怒られるゲーム内容だった。まだ力が足りなかった。もっと3年生とバレーがしたかった」
【宮迫 竜司 監督】
「3年生、お疲れさん。よく頑張ったと思う。意地も見えたし、〈ああしとけば〉〈こうしとけば良かった〉とかあるかもしれんけどしっかり受け止めて今後の糧にしてほしい。一ノ瀬、俺はお前に対して優しいことは言わん、あと1年ある。本当の鎮西のエースになるためには何が必要かしっかり考えて。2年連続ベスト8だけどこの壁をぶち破れるように2年生も1年生もしっかりやってほしい。こういう悔しさを色んな先輩たちは受け止めて糧にしてやってきた。この悔しい気持ちを忘れないように。お前キャプテン、一ノ瀬キャプテン。3番を背負うんだから考えろ」
亡き恩師と挑んだ『高校3冠』への夢。畑野先生の教えと3年生の思いを胸に、また来年、この舞台を目指します。