長野駅前の人気スパゲティ店。店を構えて2026年で50年、今も常連客が通い続けます。長野駅前は時代とともに姿を変え、今後も再開発が計画されています。ただ店は、味もメニューも、そして、特徴の太い麺も変えずファンに愛されています。
■長野駅前で50年 人気スパゲティ店
長野駅前。その路地を進むと「スパゲティのお店 アルデンテ」があります。昼時に訪れると、このにぎわい。
客は―。
客:
「和風がいい。ゆで方もちょうどいいし」
「昔懐かしいというか、味が。いろんな味があるのがいい」
特徴は太い麺。定番のナポリタンに、しめじなどを使った和風の味付けも人気です。
店は中沢正博さん(78)と、次男の章博さん(47)の親子が営んでいます。父親の正博さんが店を始めて2026年で、ちょうど50年。ファンに愛され続けています。
常連客:
「ちょっと太い麺でもっちりしていて、そこが一番好みです」
スパゲティのお店 アルデンテ・中沢正博さん:
「いやぁ、疲れました。これだけお客さん来てくれると体力勝負で、体弱かったら絶対できない商売だなと」
■うまさの秘密は「太麺」創業のこだわり
まだ、長野駅舎が「仏閣型」だった1976(昭和51)年。正博さんは駅前に店を構えました。当時、スパゲティ専門店はなく洋食店も数えるほどしかなかったということです。
中沢正博さん:
「もともと洋食のコックだったんだけど、お店をやるのに何がいいかといろいろ考えて、東京でおいしいスパゲティあると聞いて見に行ったら、これなら俺できるなと始めた」
特徴の太い麺は創業時からのこだわり。店名の「アルデンテ」はイタリア語で「歯ごたえ」を意味します。
麺が「アルデンテ」にゆであがるまで細い麺より5分ほど長い12分かかりますが―。
中沢正博さん:
「たれが絡みやすいんじゃないかな、太い方が。(表面も)すべすべしてない麺なんですよ。だから乗りがいい。太麺の方が歯ごたえがあっていい」
■常連客をひきつける“変わらぬ味”
メニューの豊富さも人気の一つです。「ご飯にかけてもおいしいものを」、と創業当初、「タラコ」や「キノコ」「野沢菜」などを生かしたソースを考えました。現在、メニューは28種類です。
中沢正博さん:
「メニューは50年近く変わってない。2、3品増えたかな。お客さんにこういうのやったらどうかといろいろ(言われて)」
「変わらぬ味」「メニュー」が常連客をひきつけます。
常連客:
「学生の頃からなんで、ざっくり10年、15年くらい(来てる)。(来店回数は)普通に300超える、下手したら500超える」
実はこちらの男性、7年前の2019年に取材したときも店を訪れていました。
その時も―。
7年前に取材した男性(2019年):
「おいしくて、量も多くて、それにマスターが気さくで面白い。ずっと通い続けている」
■世代を超えて愛される「思い出の味」
こちらの長野市の姉妹は創業当初から通っています。今は訪れる回数は減りましたが駅前に来ると「この味」が食べたくなるそうです。
姉:
「相変わらずおいしい。自分はもう71なので20代の頃は来てましたね」
妹:
「(創業当時は)洋食を食べるぞという感じ。昔はそんなにパスタ屋さんがなかったからすごく楽しみというか、パスタっていったら駅前のアルデンテさんかなと」
中沢正博さん:
「もう長い人は長いですよ。高校生くらいから来てお母さんになって、その子どもが来て、早いもんです」
■最大の危機は「コロナ禍」
変わらぬ味で愛され続ける「アルデンテ」。一方、この50年で取り巻く環境は大きく変化しました。
創業当時、仏閣型だった長野駅舎も建て替えられ、平成になると新幹線が開業。飲食店やホテルが立ち並び多くの観光客が訪れるようになるなど街の風景は様変わり。それでも、店は変わらずに営業を続けてきました。
令和の時代に店を襲ったのは「コロナ禍」です。店を開けられない期間もありました。今でも影響はあると話します。
中沢正博さん:
「(50年の中の最大の危機は?)コロナです。あれからずっともう夜、全然お客が変わった。夜の8時、ほとんどお客さんが来ません」
今は「物価高」の影響を受けています。2025年4月にスパゲティの全メニューを100円値上げしました。それでも―。
中沢正博さん:
「今まで通りいっぱい盛り付けっちゃって(章博さんに)怒られてます。(物価は)本当に上がっている。利益が少なくなるだけで変わらないですから、量的にもどうしてもいっぱい盛っちゃうし」
■客の声が原動力
街も環境も変化したこの50年。さらに長野駅前は再開発が予定され「アルデンテ」の隣のビルも計画地に入っています。
正博さんも78歳。20年ほど前から一緒に働く次男の章博さんに任せることも多くなってきました。ただ、客にとって「アルデンテ」は忘れられぬ思い出の味。今もこの味を求めて通い続けています。
常連客:
「私が小学生の頃に両親に連れてきてもらって、長野市で一人暮らしをしている時も夜勤明けに来ていました。しめじがおいしくて、元気がない時に一人で食べに来ていました。(食べると)元気出ますね。長く続いてほしい」
この声がある限り、自分の体力が続く限り、正博さんは章博さんと共にキッチンに立ち続けます。
スパゲティのお店 アルデンテ・中沢正博さん:
「働いているから元気でいられるのかなと思うし、いつでも息子に任せられるんだけどね。これだけお客さんがついていると簡単にはやめられない。最高ですね」