福岡の3歳児死亡事故で母親を再逮捕

福岡・八女市の保育園で2月開かれた発表会。ステージに立って大きな声で発表した男の子の名前は、末益愛翔ちゃん(3)。

末益愛翔ちゃん:
まなとです

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元気いっぱいの愛翔ちゃん。それから半年後、この幼い命は失われた。

8月、福岡・中間市のアパートの一室で、愛翔ちゃんの頭を複数回殴ってけがをさせた傷害の疑いで、警察は父親の末益涼雅被告(23)を逮捕した。

この事件で警察は10月22日、夫婦の共謀関係が成立すると判断し、妻の末益歩被告(22)を傷害致死容疑で再逮捕した。警察は涼雅被告についても傷害致死容疑に切り替えて調べている。

ペット用トイレの砂を口に入れる虐待も

死亡した愛翔ちゃんは、複数のあざが体に残っていて、涼雅被告と歩被告は、ペット用のトイレの砂を愛翔ちゃんの口に入れるなどして虐待していたとされる。

警察は夫婦が共謀して暴行を加え、愛翔ちゃんを死なせたとみて、捜査を進めている。

この痛ましい事件は防ぐことはできなかったのだろうか?

事件前、歩被告は前の夫と離婚し、愛翔ちゃんと実家で暮らしていた。ところが涼雅被告と再婚して実家を離れた今年5月ごろ、愛翔ちゃんに異変が起き始めたという。捜査関係者は、「(涼雅被告は)入籍前は優しかったが、入籍してから豹変した経緯がある」と話す。

周辺住民は愛翔ちゃんの姿を見ることはほとんどなかったという。近くに住む人は…

近くに住む人:
子供とか結婚しとるとかも知らなかったし…

行政や社会の見守りが必要

この頃の愛翔ちゃんは保育園や幼稚園に通っていない、いわゆる「無園児」だったが、こうした情報は児童相談所などには伝わっていなかった。医療関係者は次のように話す。

北九州市立八幡病院小児総合医療センター・神園淳司医師:
医療だけではこの虐待の問題は片付かなくて、行政そして社会の目がやっぱり必要だし、支援をするという目や気持ちが伝わらない限り、子供たちは救えないと思います

警察の調べに対し、涼雅被告は「寝る時間になってもいつまでも寝ないで腹が立った」と、子どものささいな行動に腹が立ったと供述している。

加藤綾子キャスター:
本当になんでこんなひどいことできるんだろうと、悲しい気持ちになりますよね。1つあるデータをご覧いただきたいのですけれども、子どもが親などから虐待を受けたとして児童相談所が対応した件数は年々増加していて、今年1月からの半年間で9万8千件以上と過去最多のペースとなっているのです。さらに心配なのが、今年はコロナの影響で学校が休みになるなどして、周囲から虐待がわからないケースもあるのではと、そういったことが懸念されているんですね

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
確かになかなか周囲で分からないこともあるのですけど、なにがしかのサインは周りでキャッチすることはできるのかもしれないですよね。ですからそういう見守りの必要と、そういうことを通告したあるいは通報したことによって、新たな近隣トラブルにならないような仕組みを考えていかないと。なんか変だなと思っても、それを自分の中にとどめておいて、通報しなかったことによって、悲惨な事件につながるということもあるんじゃないかな

加藤綾子キャスター:
周囲がいかに気付けるか、社会の目というのが必要になってきますよね

(「イット!」10月22日放送分より)