2026年の干支は午。木曽馬は1000年以上前から長野県木曽地域の人々の暮らしを支えてきました。開田高原の「木曽馬の里」では、午年生まれの若手飼育員が奮闘中です。一人前を目指す日々。木曽馬の魅力や2026年にかける思いを聞きました。

■午年生まれ・24歳の飼育員

木曽町・開田高原の元旦。約40頭の木曽馬が飼育されている「木曽馬の里」、新しい年の幕開けです。

乗馬の準備をしているのは近藤菜々穂さん(23)。1月で24歳、午年生まれの飼育員です。

木曽馬の里 乗馬センター・近藤菜々穂さん:
「初参加です。新年の行事って感じでわくわくしています」

スタッフが木曽馬に乗って出発。青空も広がり清々しい新年の始まりとなりました。

近藤菜々穂さん:
「『小夏』ちゃんと一緒に、元気に新年走っていい1年スタートできたらなと思います。12年に一度、馬が注目を浴びる年なので楽しみにしていました」

■木曽馬と共に「元旦マラソン」

近藤さんが乗った「小夏」(メス)も元気いっぱい。地元住民と木曽馬が共に走る恒例行事「元旦マラソン」に参加します。

参加する住民:
「ここしかいない馬なので、すごく楽しみに走らせてもらいます」

小学生:
「午年なので、縁起よくなりそうなのでがんばりたいです」

関係者:
「今年も1年頑張りましょう。よーい、ドン!」

園児から70代まで約40人が年齢に応じた距離を走ります。

2026年は「午年」ということで、木曽馬は例年より多い6頭が参加。新年への希望を抱いて、思い思いのペースで走りました。

参加した住民:
「(木曽馬は)温厚で、着実に一歩一歩踏みしめて歩く様子がとてもいい。(自分も)一歩ずつ確実に、踏みしめながら今年1年やっていきたい」

午年の飼育員・近藤さんは―。

近藤菜々穂さん:
「皆さん明るい顔して楽しそうに走っていて、その横を馬で走って気持ちがよかったですね。午年、また1年馬と一緒に上手にコミュニケーション取りながらお仕事、頑張っていければと思います」

近藤さんは飼育員になって2026年で3年目。一人前になるべく奮闘中です。

■5歳で「木曽馬」に“一目惚れ”

下諏訪町出身で、2002年・午年生まれの近藤さん。5歳のころ、初めて触れ合った馬が「木曽馬」でした。

近藤菜々穂さん:
「自分が午年っていうのもあって親近感はあったんだろうなと思います。温かさとか、おとなしく立っててくれる安心感とか、そういうところに子どもながらに引かれたんだろうな」

諏訪市の高校卒業後、北海道の帯広畜産大学に進学。授業やサークルで深く学んだ「馬に関わる仕事がしたい」と、木曽馬の里に就職しました。

午前8時前。餌やりから一日が始まります。その後、馬を厩舎(きゅうしゃ)から出し、放牧場へ。

近藤菜々穂さん:
「(朝ごはんを)食べなかったら調子が悪いのかなとか、出るときに歩き方、足痛そうにしていないかなとか、見ながらですね」

■「木曽馬」は本州唯一の日本在来馬

本州唯一の日本在来馬「木曽馬」。温厚な性格で、1000年以上前から農耕馬などとして木曽地域の人々の生活に深く関わってきたといわれています。

木曽馬の里 乗馬センター・中川剛 場長:
「胴長短足の、ちょっと気質の優しい馬。貧しい農村地帯の中で馬がいないと生活が成り立たない。仔馬を売って現金収入を得るとか、馬を維持していかないと生活できない」

しかし、農業の機械化などで、徐々に頭数は減少―。1970年代には全国で30頭まで減り、絶滅の危機に瀕したこともありました。

ただ、その後、保護や繁殖に力を入れ、今では135頭ほどに増えています。

「木曽馬の里」は触れ合い体験などを行う他、繁殖の拠点にもなっている施設です。

牧場では2025年5頭の仔馬が生まれ、2026年も4頭が生まれる予定です。

中川剛 場長:
「こういう馬たちが、長野県は特に身近にいる地域ですので、その中で木曽馬たちの活躍の場が増えていくといいな」


■「さみしいよ〜」と前かき

近藤さんが放牧場から1頭を連れ出しました。

近藤菜々穂さん:
「この子、菜々ちゃんって言って、私の下の名前と同じ漢字を使ってます(笑)」

「菜々」を丁寧にブラッシング。「乗馬体験」の身支度です。

近藤菜々穂さん:
「このフォルムがかわいいですよね。ずんぐりむっくりした感じというか」

牧場にいる40頭それぞれの特徴や性格を覚え、世話をしています。

近藤菜々穂さん:
「関わっていくうちに、向こうからも寄ってきてくれるようになったりとか、ある意味での人間くささというか、そういうところもかわいいなって思ってます」

「菜々」の支度が終わり、離れようとすると―。

近藤菜々穂さん:
「『前かき』といって、不満とかを表す動きで、今だと『さみしいよ〜』って感じですよね」

さみしがりやの「菜々」ですが、乗馬の仕事はベテラン。

乗馬体験をした人:
「馬の呼吸とリズムが心地よくて、感動しています」

■一人前の調教師へ 奮闘中!

次は、4歳のメス「若草」。連れ出そうとすると、少し抵抗されますが―。

近藤菜々穂さん:
「こっちがアワアワしちゃうと馬もパニックになっちゃうので、内心ドキドキしてても平然と、なんでもないふりしてやってる時もありますね」

近藤さんの周りを歩いたり、走ったりする「若草」。掛け声や手綱で指示を伝えています。

信頼関係を深める重要な調教はこの道30年のベテラン・中川場長の指導を受け、勉強中です。

中川剛 場長:
「外方(外側)の手綱を緩くしすぎる傾向があるのと、どうしても片手で右手綱の調整をするのはすごく難しい」

左右の手綱を張ったり、緩めたり。わずかな違いでも馬は思った通りに動いてくれません。

近藤菜々穂さん:
「馬の気持ちを読むじゃないですけど、瞬時に判断して自分の行動を変えていくのが難しい」

中川剛 場長:
「頭で考えてるうちはたぶんできなくて、感覚的に体で覚えていかないとどうにもならないですね。彼女はちゃんと工夫をして、(手綱の)持ち方をその時々で調節できる人」

一人前の調教師になるには、馬と心を通わせ経験を積むのみです。

近藤菜々穂さん:
「楽しさもあり、難しいなっていう苦しさもありつつですね」

中川剛 場長:
「手を掛けた分だけ、苦労した分だけやっぱりその分、馬も応えてくれるし、たぶんすべての答えは馬が教えてくれる感じです」

■「木曽馬」の魅力を伝えたい

大好きな木曽馬の魅力を伝えたい―。

午年生まれの若手飼育員は真摯に馬と向き合い成長していきます。

木曽馬の里 乗馬センター・近藤菜々穂さん:
「せっかくの12年に一度の午年で馬が注目を浴びる貴重な機会だと思うので、昔から日本人と一緒に暮らしてきた馬というのを知って身近に感じてもらえたらいいな。馬に信頼してもらえるようないい関係性をつくっていけるようになったらな」

長野放送
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