2025年から2026年になり、初詣でにぎわう神社。いま、人気を博すのが「お守り」です。
かわいらしいデザインなどが人気を集め、“お守りブーム”が到来!
人気の背景を探るため、「お守り」に力を注ぐ神社を取材すると、“意外な声”が聞こえました。
【立志神社 伊富喜淨宮司】「神社運営をしていくというのも、決して簡単なことではない状況」
神社にいま何が起きているのでしょうか。専門家は「工夫をしなければ、維持は難しい」と分析します。
「お守り」さらには「カフェ」が神社の経営難を救う!?神社の裏側に迫ります。
■アーティストの玉垣とは別に「お守り」が人気
新年を迎え、初詣の参拝者でにぎわうのは、京都・嵐山にある車折神社。
芸能の神様「天宇受売命(アメノウズメノミコト)」を祀ることから、芸の上達などのご利益があるパワースポットとして知られ、アーティストの玉垣と写真を撮ろうと、多くのファンも訪れます。
しかしいま、玉垣とは別の“あるモノ”が人気を集めているのです。
それが「お守り」です。
この日も取材をした時だけで、「お守り」を買い求める、およそ60人の列が。
【参拝者】「“かわいいお守り”を持つと1年間いいことがありそうなので、それを求めにやってきました」
【参拝者】「『Mrs.GREEN APPLE』のライブチケットが当たるように…GREEN APPLEなので、緑色のお守りを。すがるものがこれしかない…」
■お守りは「1日5000体」
かわいらしいデザインなどで年々、人気が高まっているという「お守り」。
その勢いを見せてもらうと…。
【車折神社 高田さやか権宮司】「こちらが、あす分のお守りになります。約5000体ほどあると思います」
(Q.1日分で5000体?)
【車折神社 高田さやか権宮司】「でも足りない…補充をどんどんしていきます」
昔と比べるとずいぶんカラフルになり、「カードタイプ」のものも。およそ20種類を取り揃え、「お守り」目当てに訪れる人も少なくないといいます。
■透明のお守り・御朱印や透き通ったレースのお守り デザイン性の高さが人気に
こうしたお守り人気の背景には、神社の「ある悩み」があるといいます。
続いて取材班が向かったのは、滋賀県湖南市。
木々に囲まれている、1400年以上の歴史を持つ立志神社。こちらも、お守りに力を入れている神社の1つです。
【立志神社 伊富喜淨宮司】「透明のお守りを授与しております。透明なものにこそ力が宿ると考えておりまして、その場所その場所で、持つときによって、気持ち・表情が変わるようなのをイメージ」
去年4月から授与を開始すると、そのデザイン性がSNSで話題となり注文が殺到!さらに、同じく透明のご朱印や、透き通ったレースお守りも人気を集めています。
この盛況ぶりを受けて、1月10日からは、お願い事と色を決められる「カスタマイズお守り」もスタート!
■「初詣だけではなく足を運んでもらいたい」再建の願いを託した「お守り」だった
さぞ気分も上々かと思いきや、聞こえてきたのは切実な声でした…。
【立志神社 伊富喜淨宮司】「神社運営をしていくというのも、決して簡単なことではないような状況」
実は、ここ10年で、寄付を呼びかけたり、運営を担ったりする氏子の数が、およそ3分の2に減少。
立志神社は、経営に危機感を募らせていました。そんなとき、再建の願いを託したのが、あのお守りだったのです。
【立志神社 伊富喜淨宮司】「これまで神社とのつながりがなかった方との接点としては、お守り・御朱印が1つの大きな役割を果たす。もともとお参りする習慣がなかった方も、お正月の初詣だけではなくて、足を運んでいただきたい」
その思いは地元の人にもしっかり届いているようです。
地元の小学生は「レースのお守りとかかわいい」、「遊ぶときに毎回絶対ここ来る」と話し、地元の人の中には「月に1回あたしはここでリセットするというか、デトックスするっていうか、また新しい自分になって、次に向かえるような気がするんです」と話す人もいました。
【立志神社 伊富喜淨宮司】「神社の運営も大変、今難しい状況ですし、人とのつながりを残していくというのが、この神社に課されている役割なのかなと」
■「工夫しなければ維持は難しい」と専門家
こうした神社の経営難について、宗教法人に詳しい専門家は。
【北海道大学 桜井義秀特任教授】「信者さんの高齢化、地域の人口減少、これが大きな要因ですね」
桜井教授によると全国の神社の多くが、高齢化に伴う寄付額の減少や、過疎化などで苦しい経営を強いられているということです。
【北海道大学 桜井義秀特任教授】「工夫をしなければ、地域人口どんどん減ってくわけですから、(経営の)維持は難しい」
■幽霊屋敷みたいな神社…YouTubeを使って立て直しに成功した神社
苦境に立たされる地域の神社。こうした中、様々な方法で立て直しに成功した神社もあります。
奈良県御所市にある「葛木御歳(かつらぎみとし)神社」。およそ2000年前から、この地にあるという地域に根付いた神社です。
参拝者は、県内はもちろん、関東や九州など全国から訪れます。しかし、東川宮司がこの神社にきた、およそ20年前はというと…
【葛木御歳神社 東川優子宮司】「拝殿に上がる階段を歩くと、カタカタって鳴ったりとか、瓦が全部落ちた状態で、穴が開いてるような社務所が、まるで幽霊屋敷みたいな感じで、なかなか大変でした」
荒廃が進み、参拝者がほとんどいなかったという、神社。しかし、「歴史ある神社を守りたい」、そんな思いでまず始めたのがSNSでした。
【葛木御歳神社 東川優子宮司】「YouTubeの配信も結構してまして、今はやっぱりYouTubeを見て来られる方がすごく増えました。(ネットでのPR効果は)もうすごい絶大。うちみたいな田舎の神社なので、そういうのを利用しないと」
その後、地元でとれたヒノキを使ったお守りの人気にも火がつき、多くの人が訪れる神社になりました。
■境内にカフェをオープン 「経営努力も神社の課題」と宮司
さらにことしの元日からは、より神社の魅力を発信しようと、境内の隣に「禰宜カフェ」をオープンさせました。
【葛木御歳神社 東川優子宮司】「ケーキセットでいいですか?」
宮司も接客に当たります。
(Q.神社に何度か来たことはある?)
【大阪からの参拝者】「いや、初めてなんですよ。YouTubeを拝見して、調べてこっちまで足を運んだ。神社をお参りして、コーヒーを飲めるとは思いませんでした」
【氏子】「(コーヒーが)もうちょっと温かい方が良かったなと…(笑)ちょっと温度が低かった。でも、宮司も(息子の)禰宜も、心の温かい人ですので。
これからはますます皆さんに知っていただいて、大勢の方にお越し頂ければ、応援している我々も、うれしい」
地域とともにあり続けるため、東川宮司は挑戦の歩みを止めないと話します。
【葛木御歳神社 東川優子宮司】「地域を大事にしながら、でもそれだけに固執すると、また立ち行かなくなってくるので、もう神社といえども経営することが、これからは必要になってくるので、経営努力もこれからの神社の課題でもあるかなと思っています」
(関西テレビ「newsランナー」2026年1月8日放送)