秋田の冬の食卓に欠かせない「ハタハタ」。今シーズンは過去に例を見ない記録的な不漁となりました。

県のまとめによりますと、今シーズンのハタハタの漁獲量は、沖合が5.5トン、産卵のため接岸するハタハタを取る沿岸の漁が114キロの合わせて約5.6トンで、禁漁明けの1995年以降最も少なくなる見通しです。

県魚を消費者に届けようとハタハタの接岸を待っていた漁師は、今シーズン、ある異変を感じたといいます。

「予想通りと言えば予想通り。壊滅的な被害になるんだろうなと思っていたら、やはり案の定」と諦めにも似た表情を浮かべるのは、八峰町の八森漁港を拠点とする漁師・山本太志さんです。

八森漁港では、11月25日に季節ハタハタ漁が解禁されましたが、初漁を迎えたのは12月23日。禁漁明けの1995年以降最も遅くなりました。

また、八森漁港と近くの岩館漁港を合わせた今季の季節ハタハタの漁獲量は47.5キロで、昨シーズンの5%ほどにとどまっています。

山本さんは漁を続ける中で、ハタハタや海の様子にいくつかの異変を感じたといいます。

一つは海水温の上昇です。

山本さんは15年ほど前から、漁に出るたびに海面の水温を計測し、記録を続けてきました。

山本さんの分析では、海面温度が13.2度を下回るとハタハタが沿岸に産卵のため集まってくるということです。

しかし今シーズンについて山本さんは「12月23日になっても13.2度を下回らなかった。13.4度とか13.6度だった。これではハタハタが沿岸の方に来る状況ではないと思った」といいます。

さらに「漁師になって20年たつが、20年で4度くらい水温が上昇している」と山本さんは指摘します。

加えて、ハタハタの群れの動きにも異変があったといいます。

山本さんの長年の経験によると、山形方面から北上してくる群れと北海道方面から南下する群れが八森沖付近で合流しますが、今シーズンは違いました。

山本太志さん:
「4年前から南から来る群れがストップした。ただ昨シーズンまでは北から来るハタハタの群れがまだ生きていたので、ある程度この地域は取ることができていたが、今シーズン、ついに北からも一切群れが確認されなくなった」

今後の水揚げに影響を及ぼしそうな異変もありました。

山本太志さん:
「いつもは7割が雄で、大きい雌が3割程度。今シーズンは9割方が大きい雌。雄が全くいない状況。要は赤ちゃんが生まれない」

ハタハタは、雌が沿岸の藻場に産卵し、そこに雄がやってきて受精させることで稚魚が生まれます。

雄と雌、両方が揃わなければ次の世代のハタハタが生まれないため、来シーズン以降も漁獲量が伸び悩む恐れがあります。

ハタハタの町・八森で生まれ育ち、漁師として生きてきた山本さんは「季節ハタハタの文化が消滅するのではないか」と危機感を口にします。

山本太志さん:
「漁獲量がある程度あれば生きがいを持ってやれるだろうが、このままだと、来シーズンハタハタが来ないのであれば、やめる漁師も多くなると思う。季節ハタハタは文化だった。12月に入ると町・港が活気づく。もう戻ることはないんじゃないかと思う」

山本さんをはじめ若い世代の漁師は、他の魚に狙いを転換したり、養殖などの新しい取り組みに挑戦したりと新たな収入源を模索しつつありますが、高齢の漁師はハタハタ漁が収入の大半という人も少なくありません。

漁師の生活や秋田の食文化を守るためにどうするべきか。答えの出ない問いに直面しています。

秋田テレビ
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