「緊急地震速報の正体」を深堀り

FNN記者のイチオシのネタを集めた「ネタプレ」。
今回取り上げるのは、フジテレビ社会部の長坂哲夫記者の「緊急地震速報の正体」。

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長坂哲夫記者:
緊急地震速報の空振りなんて聞くと、こちらもドキッとします。
緊急地震速報が運用開始して13年。その間に出された回数は227回にも上っています

加藤綾子キャスター:
この数字を見ると、やはり改めて日本は地震の多い国というのがわかりますね

長坂哲夫記者:
東日本大震災の後、かなり速が報出ましたので多いですよね。
まず緊急地震速報の仕組みについて。
地震の揺れには、P波とS波の2種類あります。
緊急地震速報というのは、最初に伝わってくるP波を震源の近くにある地震計で捉えて、第2波と言われる、大きく揺れるS波がどれくらい揺れるかを瞬時に予測し、この揺れが震度5弱以上と予想された場合に、速報としてテレビやスマホで危険を知らせてくれます

"空振り”もあるが…

緊急地震速報が出た場合、どこかで震度5弱以上は観測されるはずですが、実は震度5弱に届かないような、ある意味”空振り”というのもあるんです

加藤綾子キャスター:
確かに、ちょっと空振りの印象はあります

長坂哲夫記者:
緊急地震速報というのは、地震発生直後にまだ「データの精度が不十分」なまま、それでも「スピード重視」で出すものです。ある意味、この”空振り”をプラスマイナス1程度の「震度4などは許して」ということなんです

加藤綾子キャスター:
なるほど。揺れはあったけれど、震度5弱まではいかなかったということですね

長坂哲夫記者:
そういうことも、技術の限界として気象庁は認めています。
では、この”空振り”がどれくらい起きているかというと、例えば2020年に入ってから関東地方で8回緊急地震速報が出されているんです。
そのうち、予想通り震度5弱が観測されたのは何回あるでしょうか?

加藤綾子キャスター:
この数だと、せめて3回はあった

長坂哲夫記者:
実は、6月25日の千葉東方沖で起きた1回だけだったんです。
さらに、7月30日の緊急地震速報についてはまったく揺れなかった、地震が起きなかったんです。

覚えている方がいると思いますが、これは誤報で気象庁も謝る事態になりました。
この誤報の時は、午前9時38分と朝だったので、ディズニーランドではキャラクターが「頭を押さえて」と地震に備えるように促すシーンや、交通網では新幹線や地下鉄が運転を見合わせるなど混乱が起きて、気象庁が会見を開いて謝る事態となりました

加藤綾子キャスター:
住田さん、想像以上に緊急地震速報の空振りが多いと思いませんか?

住田裕子弁護士:
そういう時も対応しますから、「ここで練習できて良かったな」と思うんです。
そうしないと、やっぱりとっさの時に慌ててしまいますからね

長坂哲夫記者:
素晴らしいです。(緊急地震速報の誤報は)空振りですが、そのときに”素振り”ができたと思うのが一番いいと思います。
空振りと言っても、ほとんどのケースで震度4以上の誤差の中には収まっているということなんです。
それに対して、7月30日のような誤報は避けて欲しいなと思いますので、ここは努力して頂きたいなと思います。
とは言え、13年間227回のうち、”誤報”で全然揺れなかったというのはわずか3回です

加藤綾子キャスター:
こう見ると素晴らしいですね

10秒早く…今も続ける進化

長坂哲夫記者:
優秀な情報ですので、これをやっぱり生かすというのが大変重要になってきます。
一方で、緊急地震速報も進化を続けています。
海底にある地震観測網を利用していますが、今までは日本海溝の外側はなかなか速報できなかったんです。それが日本海溝の外側にも地震計が付き、これを利用することで2020年の3月からは、今までよりも10秒程早く緊急地震速報を出せるようになったという改善も進んでいます

加藤綾子キャスター:
早めに備えられるということですね。
大きな地震が来るよりは、速報が鳴って備えられるという方がいいですし、地震大国ですから常に備えというものは必要になってきそうです

(「イット!」10月21日放送より)