初日の出の名所で知られる千葉・銚子市にある老舗のホテルが突然、休業状態になって音信不通となっています。

年末年始の予約はどうなってしまうのか。
現地を緊急取材しました。

問題となっているホテルは、千葉・銚子市のホテルニュー大新。
入り口には「本日休館」の貼り紙が貼られ、中も真っ暗で人の気配が全くありません。

銚子市の観光協会によると、11月下旬ごろからホテル側と連絡が取れなくなったといいます。

外から上の客室を見てみると、カーテンが少しだけ開いている部屋もありましたが、ほとんど閉め切られていました。

近所の人は「1カ月ぐらい前に従業員から聞いた。『ここを閉める』と。中国の人に譲ったという話は聞いた。コロナからグッと客がいなくなってしまった感じ」と話します。

休業状態となったホテル。
連絡がつかないだけでなく、さらなる問題がありました。

ホテルの公式サイトには休業を知らせる情報はなく、24日午後1時の段階で、2月の宿泊予約ができる状態となっていました。

ホテルには200人収容の大ホールや大広間、プールもあり、宿泊料金は1泊8000円前後。
5日前からキャンセル料がかかります。

ホテルのある銚子市の犬吠埼は、山頂や離島を除くと日本で一番早く初日の出を見ることができる、初日の出の名所。

年末年始の利用者も多く、観光協会には11月に入り、予約した客から「連絡が取れない」などとの問い合わせが相次いだといいます。

銚子市観光協会の担当者:
客から10件くらい、旅行会社から2~3件(問い合わせが)来ている。初日の出を見に来る客が多いので、年末年始は多い。客に迷惑がかかるのが一番困る。

さらに、同じ会社が経営する近くの別の施設でも、異変が…。

初代首相の伊藤博文も宿泊したことがあるとされる老舗の「大新旅館」も休業状態。
屋根の一部が崩れ落ち、荒廃が進んでいて、人の気配は全くありませんでした。

近くの居酒屋店主:
8月の終わりくらいから誰もいなくなった。4カ月前まではおばちゃんがいた。経営者が代わって、それからいなくなった。

取材を進める中で、2024年6月にホテルと旅館の経営者が代わったことも明らかになりました。

近所の人:
前の方とは色々付き合いというか、顔見知りだった。今度の方はいつ代わったのか全然わからず。

観光協会は、ホテル側と連絡が今も取れず、休業の詳しい状況を確認できないとしています。

銚子市観光協会の担当者:
本来であれば直接、ホテルからいろいろ意思表示してもらえるとありがたい。知らない方がいると困るので、なるべく多くの方にこの状況はわかっておいてもらった方がいいかなと。

ホテルや旅館に電話してみると、「相手の通信機器の電源が入っていないか、故障していると思われます」という自動音声が流れました。

休業の経緯について、民間の調査会社によると、オーナーが代わり、ホテルの評判が落ちて利用客が減少。
賃金未払いのため従業員の多くが退職し、電気やガス、水道も全て止まり、11月に入り営業を停止したといいます。

地元のホテルなどで作る犬吠埼温泉協議会は、休業を知らずに銚子を訪れてしまった場合、できる限り受け入れるよう周辺の宿泊施設に協力を呼び掛けています。