北海道で暮らす働くママの1日を追いかける観察ドキュメント「ママドキュ」。

 子育ても仕事も頑張りながら働くママさんたちのリアルな1日をのぞくと、限られた時間で家事・育児をこなす究極の時短ワザの連続でした。


 今回の主役ママは、北海道・十勝の芽室町に住むまどかさん(28)。

 子どもは3歳のりんちゃんとまだ生後5ヶ月の赤ちゃん・ゆいちゃん。子育てだけでも大変そうなのに2025年8月、芽室駅前にフレンチトーストの専門店をオープンしました。
 
 実はまどかさん、あえて子育てが大変なこの時期にお店をオープンさせたのです。


 夫のかずしげさんは北海道東部の情報を発信する団体「ドット道東」で主にサイトの運営やイベントの企画などを行っています。

 夫婦で協力して、子育てをしています。


 忙しい毎日の食事作りは、自動調理鍋「シェフドラム」に助けられているそう。

 食材と調味料を鍋に入れるだけで料理ができる優れもの。斜めに傾き回転することで、なんと揚げ物までおいしく作れちゃうんです。


 内鍋と蓋だけのシンプルな構造だから、洗いやすいのもお気に入りのポイントなんだそう。

 材料を入れればあとは自動調理なので、回している間に子どもを起こして他のことができるのが便利。

 朝のうちに、夕食の肉じゃがの支度をパパっと済ませます。


 3歳のりんちゃんにも手伝ってもらって、朝食作り。

 少しぐらいこぼれても大丈夫!「ほめて伸ばす」子育てです。

 一緒に作った卵焼きも並べて、7時40分に朝食。

 お弁当箱に入れて食べるのが最近のお気に入り。これも進んで食べる工夫です。


 まだ生後5ヶ月のゆいちゃんと3歳のりんちゃんでは、預かってくれる保育園が違うため、送迎は夫婦で分担。

 一足早く、次女のゆいちゃんをパパが保育園に送ります。


 これから保育園に行くというのに、りんちゃんはパズルに夢中。

 急いで着替えを済ませ、午前8時35分、ご機嫌をとりながら何とか保育園へ。まどかさんは仕事へ急ぎます。


 まどかさんのお店は、芽室駅前にあるフレンチトースト専門店「Creative French
Toast in Tokachi」。

 食パンから野菜、乳製品まで、地元十勝の食材にこだわったフレンチトーストを種類豊富に提供しています。


 午前11時にお店をオープン。

 開店と同時にお客さんがひっきりなしに来店。

 オープンからわずか2ヶ月ですっかり地域の人気店になりました。


 子連れのママがゆっくり食事ができるようにと、ベビーカーの貸し出しや授乳とオムツ交換ができるスペースも完備。

 また、ご年配の方も入りやすいように、おしゃれすぎない落ち着いた雰囲気にしたのもまどかさんの戦略です。

 「2、3日前にも来たし10日間で3日来た」という90代の常連さんも。


 お店をオープンしたのは、次女のゆいちゃんがまだ生後3ヶ月のとき。

 なぜまたそんな大変なときに?でも、そこには深い理由があったんです。


 「生まれてから夜泣きがしんどかった。1時間、2時間…。こっちも泣きたい。泣き続けられる1対1の時間がすごく孤独で」とまどかさん。

 長女りんちゃんを出産した当時、夜泣きで毎晩まともに眠れず、つらく孤独な夜を過ごしていました。


 そんなときに偶然目にした1冊の漫画「よなきごや」。

 まどかさんと同じように、夜泣きで眠れないママたちが集う架空の施設「よなきごや」を舞台にした物語です。


 「同じ(境遇の)ママが同じ空間にいるってすごく心強い。『寝なくてしんどい』と言える場所があるってすごく救われる」

 そんな架空の場所を実際に作りたい。そこで思いついたのが、日中はカフェとして営業し、夜間はそこを「よなきごや」として開放することでした。


 「町からの補助が数年あったとしても、補助がないとやっていけないので、継続していくための背景にカフェがある。収益となる事業がないといけないので、ベースの収入源があるから『よなきごや』が無償で提供できる」

 まだ子育て中の当事者であるタイミングで始めることが、まどかさんにとっては大事だったんです。

 まどかさんは、「産後で乳幼児を育てる母」としてまた夜泣きがひどくなる時期に、定休日の夜、同じ境遇の母親たちにカフェを開放しようと考えていました。

 自由な働き方ができる夫・かずしげさんも、まどかさんの熱い思いを感じ支えています。


 片付けや仕込みなどの仕事が終わり、カフェからの帰り道、長女りんちゃんとの時間を作るために、お気に入りの買い物スポットへ。

 芽室町にある「tou/tell natural&organic store」というセレクトショップです。

 お気に入りは、ドライフルーツの量り売り。さらに、芽室の特産品の落花生を使ったピーナッツチョコバターもありました。


 午後7時30分、家に帰って夕食づくり。

 朝、材料を入れてスイッチを押しただけの肉じゃがは、やわらかく、しっかり味が染みていました。


 店の食材を仕入れている農家からのおすそ分けはシンプルに調理。

 落花生は塩ゆでに、かぼちゃは素揚げにして塩をふるだけでおいしいんです。

 午後8時10分、ようやく夕食です。


 赤ちゃんの夜泣きで眠れないママたちが安心できる居場所を作りたい。その思いを胸に走り続けてきたまどかさん。

 10月19日、「おやこのこや」という名前でついにスタートしました。


 「夜不安になったとき行ってもいい場所がある。それだけで心がホッとするママたちがたくさんいると思います。ここに来て、同じスッピン、パジャマでしんどい顔をしたママがいて、“ひとりじゃない”と安心につながると思っていて、安心できる場所を作れたらすごいステキだなと」

 「ひとりじゃない」と思える心のよりどころに―まどかさんの思いです。

北海道文化放送
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