祭壇に飾られた勲章の数々

10月17日、東京港区のホテルで中曽根康弘元首相の内閣と自民党による合同葬が行われました。

合同葬には、菅首相など多数の政治家の姿が見られましたが、秋篠宮ご夫妻をはじめとする皇族方8方も参列されました。また、天皇皇后両陛下、上皇ご夫妻の使いも参列し拝礼しました。

中曽根元首相を偲び弔辞を述べる菅首相
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昭和を代表する政治家の一人、中曽根元首相の葬儀ということだけでなく、皇族の方々にとっても中曽根元首相とは縁があったものと思われます。

中曽根元首相の合同葬の祭壇には、たくさんの勲章が並びました。

中央に飾られたのは、従一位に叙すると書かれた「位記」。その右側には、大勲位菊花大綬章が飾られました。大勲位菊花大綬章は上から2つ目に位置する勲章で、生前贈られたのは吉田茂元首相、佐藤栄作元首相に次ぎ3人目でした。

祭壇には多くの勲章が並んだ

そして、左側には最高位に位置する大勲位菊花章頸飾という勲章が飾られていました。これは亡くなった後に贈られました。この勲章は、天皇陛下が即位の儀式などにも着用されたものと同じで、このような形で披露されるのは極めて稀です。

中曽根元首相と皇室方の関わり

今回、合同葬に参列された皇族は、秋篠宮ご夫妻、秋篠宮家の長女・眞子さま、次女・佳子さま、常陸宮さま、寬仁親王妃信子さま、高円宮妃久子さま、高円宮家の長女・承子さまの8方です。慣例により、天皇皇后両陛下や上皇ご夫妻は出席せず、お使いを差し向けられています。

秋篠宮ご夫妻

それぞれの方は、中曽根元首相との思い出をお持ちだったと思います。

常陸宮さまは、日本美術協会の総裁を務められています。日本美術協会は、高松宮殿下記念世界文化賞を主催しており、中曽根元首相はこの賞の国際顧問を長年務めてきました。

授賞式の際には常陸宮ご夫妻がほぼ毎回出席されており、会話を交わす機会も多かったと思います。

葬儀に参列された常陸宮さま

また、中曽根元首相が会長を務めた日本ばら会。この会の名誉総裁は寬仁親王妃信子さまが務められています。

寬仁親王妃信子さま

高円宮妃久子さまが、亡くなった高円宮さまと結婚された昭和59年当時は、中曽根さんが首相でした。

遺影に花を手向けられる高円宮妃久子さま

このように、首相という立場からだけでなく、中曽根元首相は皇族方とも縁を結んでいたのです。

次世代でも親交は深く…上皇ご夫妻とダンス共演も

そして今回、喪主を務めたご子息の中曽根弘文参議院議員とも多くの皇族方は縁を育まれています。

10月6日、港区のホテルで行われた「にっぽん-大使たちの視線2020」という日本に駐在する外交官が撮った日本の写真を展示する写真展。

この写真展の選考委員長を中曽根参院議員が務め、名誉総裁には高円宮妃久子さまが就かれています。オープニングセレモニーや内覧では、外交官や中曽根参院議員自身、高円宮妃久子さまが撮影した写真を見ながら、お二人はざっくばらんに会話をされていました。

写真を鑑賞する高円宮妃久子さまと中曽根弘文参院議員

2013年4月に東京港区のホテルで行われた、国際福祉協会(ILBS)が創立60周年を祝い開いた「チェリー・ブロッサム・チャリティーボール」には上皇ご夫妻が出席し、お二人でダンスを披露されています。

その際、お二人の近くに座っていた中曽根参院議員夫妻は、両陛下に続きホール中央へと進みダンスを披露されています。中曽根夫人の真理子さんが、国際婦人福祉協会(ILBS)の会長を務められていました。

ダンスをする上皇ご夫妻と中曽根参院議員夫妻(右端)

そして、中曽根家と皇室の縁は次世代へと受け継がれ、中曽根元首相の孫・中曽根康隆衆議院議員と高円宮家の長女・承子さまも親交をもたれています。

縁を大切にされてきた中曽根康弘元首相。今後も職権を超えた縁が続いていくことになるでしょう。

在りし日の中曽根康弘元首相

私事ですが、私の父は大正5年生まれで旧内務省に入省しました。幼い私も、両親の会話に「中曽根さん」という名前がでてきたのを覚えています。

すでに鬼籍に入った両親が、どのような縁を結んでいたかはもう知ることはできません。合同葬に記者席から臨んだ私も、僭越ながら黙とうを捧げさせていただきました。

そして、保守派の大きな政治家という側面をもっていた中曽根元首相が亡くなったことで、戦争を語ることができた政治家がまた一人いなくなったことを強く感じました。

【執筆:フジテレビ 解説委員 橋本寿史】