佐賀市の老人ホームで元介護士の男が入居者に暴行し、死亡させた事件の初公判で、男は起訴内容を認めました。
疲労やストレスが犯行の動機に繋がったとみられています。
起訴されているのは佐賀市に住む元介護士で無職の下津浦弘平被告36歳です。
起訴状などによりますと下津浦被告は今年5月、勤務していた佐賀市の老人ホームで入居者の80代男性に対し、腰や胸を複数回踏みつけるなどの暴行を加え、死亡させたとして傷害致死の罪に問われています。
8日、佐賀地裁で開かれた初公判。
下津浦被告は黒のスーツにマスク姿で出廷し、「間違いありません」と起訴内容を認めました。
検察側は冒頭陳述で、被害者が着替えや排泄に手助けが必要だったことやベッドからの転落を防ぐセンサーが何度も鳴ったことに言及。
「夜勤中のほかの業務に手が回らないことに焦りを感じ、一方的で執拗な犯行に及んだ」と指摘しました。
事件当日、下津浦被告は看護師と2人で勤務していました。
交代で休憩していたため、1人で業務にあたる時間があったことが分かっています。
一方、弁護側は、「被告は真面目で温厚。暴力を振るうような性格ではない」とした上で、「当時の妻が妊娠したことで貯金が必要になるだろうと勤務を増やしていた。疲労とイライラによる突発的な犯行だった」と情状酌量を求めました。
また、証言台に立った下津浦被告の父親は「タバコの本数が増えエナジードリンクを飲むなどとにかく疲れているようだった」と話しました。
9日は被告人質問が行われます。