3年前、演説中だった安倍晋三元総理を手製の銃で殺害した罪などに問われている山上徹也被告の2回目となる被告人質問が25日午後1時過ぎから始まっています。
20日に行われた1回目の被告人質問では、母親が旧統一教会を信仰し、多額の献金を繰り返していたことなど、山上被告の生い立ちについての弁護側の質問が続きました。
25日、関西テレビの「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した石原良純さんは、裁判の争点について「一国の元総理が撃たれて亡くなった事件。被告人の境遇もあるかもしれないけど、そこがごちゃごちゃになっては決していけない」と指摘しました。
■『助けてやれなかった、いろいろトラブルを抱えていた兄を突き放したこともあった』
山上被告の裁判を取材している大野記者が奈良地裁前から報告します。
【大野雄斗記者】「きょう=25日の被告人質問では山上被告が旧統一教会への恨みを募らせ、最終的に安倍元総理を狙った動機などが主に聞かれると見られていて、本人の口から事件に至った経緯が語られると見られています。
弁護側によると、まさにきょうが『山場の日』だということです。
きょうの裁判で、山上被告は『母親が破産したことなどについて自ら責任を感じ、自殺して保険金を残そうと考えた』といった趣旨の話をしていました。
また、兄の自殺について弁護側から質問があり、『助けてやれなかった。いろいろトラブルを抱えていた兄を突き放したこともあった』と話し、『血で真っ赤に染まった兄のTシャツを見て、自分の罪悪の象徴のような血まみれの家族になってしまった』と話していました。
その際、時折言葉に詰まるような様子も見られて、感情が揺れ動いているような印象を受けました」
【青木源太キャスター】「山上被告の様子は?」
【大野雄斗記者】「前回は自分の頭の中でしっかり言葉を考えてから話し、時間をかけて一問一問に答えている様子でした。きょうもその姿は変わらず、時間をかけて言葉を選んでから話しているような印象がありました」
■争点は「量刑」 弁護側は「宗教2世にとっては大きな絶望だったと主張」 検察側は「安倍元総理を狙った経緯について追及」
【大野雄斗記者】「山上被告への質問は全5回行われる予定で、あと3回行われます。山上被告は殺害の事実は認めているので、争点は量刑ということになります。
弁護側は山上被告の過酷な生い立ちを強調した上で、旧統一教会と安倍元総理など政治家との繋がりが、宗教2世にとっては大きな絶望だったと主張することで、情状酌量を求める狙いがあると見られています。
一方検察側は、不遇ともいえる境遇と安倍元総理の殺害は何ら関係がないとして、教団幹部ではなく、安倍元総理を狙った経緯について追及すると見られます」
■山上被告の生い立ちで“情状酌量”は
今回の裁判で追及されるのは、山上被告の旧統一教会に対する矛先が安倍元総理になぜ向かったのかという事件の核心部分です。
【関西テレビ・江口茂解説デスク】「まさにきょうが『山場』と言われる通り、不遇な生い立ちは気の毒な面で、量刑には被告に有利に働くかもしれません。
ただ、なぜ安倍元総理を狙ったのか。政治テロじゃないのかという部分で、検察側は凶悪な犯罪である、かなり厳しい刑を与えなければいけないという主張です。
まさに量刑に関わる部分の新しい証言がどのように出てくるかがポイントになってくる」
■『国家要人テロ』か『旧統一教会の被害者が起こしたかわいそうな事件』か
俳優の石原良純さんは、「一国の元総理が撃たれて亡くなった事件。被告人の境遇もあるかもしれないけど、そこがごちゃごちゃになっては決していけない」と指摘しました。
【青木源太キャスター】「(25日の裁判は)ひとつの山場となりますが」
【石原良純さん】「山場って変な言葉で、それは誰が思っているのか。弁護側の方が思っているのか、どういうことなのか。
この事件をどう本質的に何を捉えるのか、『国家要人テロ』と捉えるのか、『旧統一教会の被害者が起こしたかわいそうな事件』と捉えるのか。そういう捉え方によっても違う」
そして、石原さんは山上被告の口からなぜ安倍元総理を狙ったのか語られることが今後のポイントだと話しました。
【石原良純さん】「僕は一国の元総理が撃たれて亡くなった事件、もちろん被告人のその境遇もあるかもしれないけど、そこがごちゃごちゃになっては決していけないと。
その後、岸田総理襲撃事件も起こったわけですよ。そういうことを考えても、被告人の及ぼした影響は大きいと思います。
それと同時に、ここで出てきた旧統一教会の問題は、(別の問題として)やるべきなんじゃないかなと思いますね」
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2025年11月25日放送)