2024年に荒茶全体の生産量で、そして2025年には一番茶の荒茶生産量でも日本一となった鹿児島県。そんなお茶王国で、小学生たちがお茶にまつわる知識や技術を競う「T-1グランプリ」が開催された。
注目されたのは3連覇をかけて挑んだ小学5年生の豊留旭くん。彼はこの大会で見事な成績を収め、次世代の”お茶王”として存在感を示した。
“茶ンピオン”を目指す“茶レンジャー”たち
11月22日、鹿児島市の鹿児島茶流通センターに集まった29人の小学生。県内の小学4年生から6年生までの「茶レンジャー」と呼ばれる挑戦者たちだ。
「おはようございます」と会場に姿を現した豊留旭くん。彼はすでに2023年、2024年と2年連続でこの大会を制している実力者だ。2025年で14回目を迎えるこの「T-1グランプリ」は、筆記試験と実技試験でお茶にまつわる知識や技術を競う大会となっている。
3連覇がかかる重圧の中でも旭くんの自信は揺るがない。「100%あります!弟がお守りを作ってくれて、『三れんぱ いけ!』って書いてある」と力強く語った。
参加した他の子どもたちも、それぞれの思いを胸に秘めていた。「去年7位で、7位より上を目指すために今年は参加しました」「それぞれのお茶の特徴、曲がっていたり、細長かったりが面白いと思って」「お茶はとってもおいしいし、優勝したら(賞金)2万円…」と笑顔で語る子もいた。
厳しい審査と本格的な競技内容
「宣誓!私たちT-1茶レンジャー一同は、きょう一日、精一杯楽しみ、競技することを誓います」旭くんの選手宣誓で戦いの火ぶたが切られた。
最初の「茶レンジ」は○×筆記クイズだ。お茶の歴史や消費量など、大人でも難しい30問の○×クイズが出題される。制限時間はわずか10分。参加者全員が真剣な表情で問題に向き合った。

続いての競技は「お茶の種類当て」。机に並べられた8種類の入れる前のお茶を、触ったり、香りをかいだりしながら当てる。小学生とは思えない集中力で茶葉を吟味する姿は、まるで本物の茶商のようだった。
最後は「お茶のいれ方」の実技競技。それぞれが持参した「マイ急須」を使って、正しい手順でお茶を入れられるかどうかが審査された。「どうぞお召し上がりください」と丁寧に作法を守る姿に、お茶文化への敬意が感じられた。
満点優勝で達成した歴史的3連覇
約2時間にわたる厳しい競技を終え、いよいよ結果発表の時間を迎えた。上位10人の名前が順に読み上げられる中、最後に「T-1グランプリ2025優勝は、豊留旭さんです」という発表があった。
旭くんは見事、T-1グランプリ3連覇という快挙を達成したのだ。さらに驚くべきは、3つの競技すべてで満点という圧倒的な成績だった。
優勝の喜びを「安心した。それが一番」と素直に語った旭くん。「今後はイベントに参加したりして日本茶の魅力を少しでも広められたら」と次なる目標も口にした。
鹿児島が日本全国、そして世界に誇るお茶。その未来を担う子どもたちの熱い戦いは、2025年も幕を閉じた。この大会から誕生した”次世代のお茶王”が、日本のお茶文化をどのように発展させていくのか、今後の活躍にも注目したい。
