ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカが提示した新たな和平案についてアメリカのバンス副大統領と協議したと明らかにしました。
ウクライナ大統領府によりますと、協議は21日に約1時間行われ、アメリカ側が示した「戦争終結に向けた提案」の詳細を確認しました。
ゼレンスキー大統領は、トランプ大統領が掲げる「流血を止めたい」という意図を尊重し、実現可能な提案には前向きに検討する姿勢を示しました。
一方、欧米メディアによりますと、アメリカの和平案にはクリミアやドンバス地域での領土譲歩、ウクライナにNATO非加盟を確約させる項目などウクライナ側に不利とされる内容が含まれているということです。
ゼレンスキー大統領は21日夜、国民向けのビデオメッセージを公開し、現在の状況を「歴史上最も困難な局面の一つ」とした上で、「尊厳を失うか、主要パートナーを失うリスクを負うかという、極めて困難な選択を迫られる可能性がある」と訴えました。
その上で「尊厳と自由の2点は譲らない」と強調し、アメリカなど主要パートナーとともに建設的な解決策を探る姿勢を示しました。
こうした中、ロシアのプーチン大統領は21日、政府高官らとの会合で、以前の和平案について「一定の妥協」と「柔軟性」をもって受け入れる用意があったものの、ウクライナが事実上拒否したと指摘しました。
プーチン大統領は、新たな28項目の案は「修正版」だとした上で、ロシアはアメリカから文書を受け取ったものの、具体的な協議は行われていないと説明しました。
また、ロシアは交渉に臨む用意がある一方で、「ウクライナが提案を拒めば武力で目標を達成する」と述べ、対応はウクライナ次第だとの考えを示しました。