ロンドンで中国が進めている新たな大使館の建設計画について、イギリス政府が近く容認する見通しだと複数の現地メディアが伝えました。
建設予定地は王立造幣局の跡地で、広さは約2万平方メートルあり、完成した場合、ヨーロッパ最大級の中国大使館になるとみられています。
一方で、中国当局がこの場所を拠点としてスパイ活動や民主化勢力への監視を強める恐れがあると指摘されていて、地元住民や民主活動家は反対の声を上げています。
イギリス政府は安全保障上の懸念などを理由にこれまで承認を保留し、最終判断を12月10日に行う方針を示してきました。
しかし、複数の現地メディアは、政府関係者の話として「スターマー首相が近く計画を容認する方向で調整している」と伝えています。
スターマー政権は中国との貿易拡大を目指す一方で、中国によるスパイ行為や政治的干渉を警戒していて、対中関係の緊張が続いています。
今週は情報機関MI5が「中国情報機関が議会関係者の勧誘を試みている」と警告し、イギリス政府も「主権への干渉は受け入れない」と強くけん制していました。
建設に反対しているデモ主催者の一人は、「イギリス政府は『中国と友好関係を築けば利益が得られる』という考え方を改める必要がある。相互尊重が成り立たない相手のために、住民と自国民の安全を不確かな経済効果と引き換えにすることは不公平だ」と批判しています。