雪が降り続く岩手・岩泉町では18日、住宅街にある柿の木の上に2頭のクマが居座っていました。
現場にはライフル銃で駆除を担う警察のプロジェクトチームが初めて出動していました。
柿の木にいた2頭のクマは、17日も半日以上にわたって同じ場所に居座っていて、一度は姿を消したものの、18日になり再び戻ってきたのです。
現場の近くに学校や住宅があるため緊急銃猟ができず膠着状態が続いていましたが、18日、ついに警察のライフル部隊が出動。
13日に人の生活圏にクマが侵入した際、警察官がライフル銃を使用できるようになって以降、出動は初めてです。
日没のためライフル銃による駆除は行われませんでした。
クマの出没が相次ぎ、人的被害も過去最悪となる中、番組は、20年近くクマによる人的被害が出ていない北海道・岩見沢市を取材しました。
そこでクマの捕獲にあたるのは、狩猟歴55年の大ベテラン・原田勝男さん(85)です。
狩猟歴55年 NPO法人ファーミングサポート北海道・原田勝男さん:
(Q.これは何の骨?)クマ。俺をかじった犯人。
原田さんは25年前、シカ猟の最中にクマに襲われ、左目の視力を失いました。
原田さんを襲ったのは、銃で仕留めきれなかった手負いのクマでした。
そんなクマの恐ろしさを知る原田さんですが、パトロールではライフル銃を持っておらず、「箱わな」を使って地域の安全を守ろうとしていました。
原田さんがわなを置くのは、人里と森の境界。
狩猟歴55年 NPO法人ファーミングサポート北海道・原田勝男さん:
年間の捕獲数が一番多いおりはこれです。これは特殊なおりです。デカいものを作った。
大きなヒグマが捕まりやすくするため、高さと幅はそれぞれ1.2メートルというビッグサイズの箱わなを設置していました。
さらに、奥行きは3メートル。
餌に誘われて檻に入ったクマが、扉が閉まる間に逃げられないようにするためです。
狩猟歴55年 NPO法人ファーミングサポート北海道・原田勝男さん:
やはり(箱わなを)大きくしないとダメ。クマが大きくなってきている。わなは非常に安全性が高く、捕獲率も高い。
原田さんが仕掛けた箱わなでクマが捕獲される瞬間が映像に残されていました。
箱わなに近づく3頭の親子グマ。
すると親グマが、檻の中に仕掛けられたシカ肉に誘われるように入り口のほうへ。
次の瞬間、親グマが大きな箱わなに捕獲されたのです。
しかし、最近はクマが“箱わなは危険”と学習してか、檻の中に入らなくなってきたといいます。
そこで最終手段として使われるのが…。
狩猟歴55年 NPO法人ファーミングサポート北海道・原田勝男さん:
ハチミツを使います。人間の食べるハチミツ、上等なハチミツを使う。最近のクマは高級になってきている。
原田さんは2025年、すでに19頭のクマを捕獲。
こうしたハンターの活動もあり、岩見沢市では17年間、人的被害が出ていないといいます。
高い学習能力を持った“スマートベア”も出没しているといわれる中、原田さんは今後の対策について次のように話します。
狩猟歴55年 NPO法人ファーミングサポート北海道・原田勝男さん:
(クマとの)知恵比べ。これでいいということはない。クマの方が先に進む、人間より先に…。我々はその先にいかないといけない。