長野県坂城町の特産「ねずみ大根」が旬を迎え、岸本気象予報士が収穫を体験してきました。ここ数年は猛暑や雨不足で「不作」でしたが、今年は水の管理を徹底し、「豊作」になったそうです。「ねずみ大根」といえばの郷土食「おしぼりうどん」も味わってきました。
温かいうどんを、大根のおろし汁につけて―。
客:
「辛いですね」
坂城町の郷土食「おしぼりうどん」です。
客:
「辛くて汗出ちゃうけど、癖になる。冬が間近だなって気がしますね」
独特の辛さを出しているのは坂城町の特産「ねずみ大根」。旬を迎え、恒例の「ねずみ大根まつり」が11月9日に開かれました。
会場の一つ、直売所「あいさい」ではねずみ大根を買い求めたり、「おしぼりうどん」を食べたりする人でにぎわいました。
さかき地場産直売所「あいさい」・多田井祐二さん:
「種まきをした8月下旬、9月は暑かったが、幸いなことに雨に恵まれて育ちが良くて今、収穫がどんどん進んでいる」
さて、最盛期を迎えた「ねずみ大根」の収穫を体験しようと岸本気象予報士が「あいさい」が管理する畑へ。
収穫をサポートしてくれるのは、宮森繁弘組合長です。
岸本気象予報士:
「どうして『ねずみ大根』という名前なんですか?」
宮森繁弘さん:
「抜いてみればわかります」
ということで早速収穫。
宮森繁弘さん:
「(葉の)背が高くなっている大根の根元を持って、軽く引き上げてもらうと、こんな感じでしっぽがある」
岸本気象予報士:
「本当にねずみのしっぽのような形をしていますし、大根本体もねずみくらいの大きさなんですね」
岸本気象予報士も―。
宮森さん:
「根本のここらへん持った方がいいかな、上へ軽くちょっとやると抜ける」
岸本気象予報士:
「せーの、お、簡単です。あ、すごい、かなり大きいのが」
宮森さん:
「いい大根ですね」
岸本気象予報士:
「ねずみ大根です」
”信州の伝統野菜”にも認定されている「ねずみ大根」。江戸時代に薬として長崎から伝わったとされていて、小石交じりの坂城の土壌が栽培に適していたことから根付いたと言われています。
俳人・松尾芭蕉が「更科紀行」で詠んだ句、「身にしみて 大根辛し 秋の風」。
この地で、ねずみ大根を食べて詠んだともいわれるように古くから栽培され親しまれてきました。
今年は生育も順調で十分な収穫ができていますが、ここ数年は―。
宮森さん:
「ここ2、3年の異常気象と水不足、カラカラに(土が)乾いちゃっていると、作物ですから伸びない。大根自体ができなかった」
猛暑と少雨の影響で数年間「不作」が続きました。恒例の「ねずみ大根まつり」も生育不良を理由に2年連続中止となりました。11月9日のまつりは3年ぶりの開催でした。
今年も猛暑でしたが、2024年よりは雨に恵まれた他、対策として初めて「かん水」など水やりの管理を徹底。例年以上の「豊作」になりました。
宮森さん:
「昔はかん水なんてしたことがない。しなくても育ってくれていた。(今年は豊作で)うれしいですね。小さいころからねずみ大根を食べているので、昔ながらの味です」
直売所では「まつり」の開催時以外でも収穫したばかりの「ねずみ大根」を使った「おしぼりうどん」が味わえます。
機械を使って搾っていくと―。
食堂スタッフ:
「(お客さんが)家へ帰って、あそこの大根を買ってすると全然辛みがないって言う。ここは力を入れてジューサーでやるから、辛味が相当出ます」
1本半ほどを使い1杯の搾り汁が―。
岸本気象予報士も―。
宮森さん:
「搾り汁がありますので、まずうどんをそのままつけて食べてみてください」
岸本気象予報士:
「辛い。のどが温かくなるような辛みが残ります」
収穫が始まったばかりの10月ごろは辛味が強く、11月に入り寒くなると内部にでんぷん質を蓄え辛さの中に甘みが出てくるということです。
宮森さん:
「ここにみそがあります。それを汁の中に入れて混ぜて、もう一度食べてみてください」
岸本気象予報士:
「半分くらいですかね」
宮森さん:
「甘いのが好きな人は多めに、辛いのが好きな人は少なめで」
岸本気象予報士:
「甘いのも好きなので、多めに入れます」
「みそのしょっぱさが加わっただけじゃなくて、かなり味がマイルドになって食べやすくなっている。おいしい」
また、カツオ節やネギなどの薬味もあり好みの”味変”が楽しめます。
宮森繁弘さん:
「昔から坂城のねずみ大根は『あまもっくら』という表現があるんですけど、最初食べたときに辛みがあるけど、少し時間を置くと『もっくら』甘い感じが出てくる」
岸本慎太郎気象予報士:
「トウガラシとかの辛さではないので、辛みの中にもまろやかさ、甘みが感じられる。大根の香りがとても強いので、大根のうま味も『あまもっくら』に含まれているんじゃないか」
今が旬の坂城町の伝統野菜「ねずみ大根」と「おしぼりうどん」。直売所では、12月上旬まで楽しめるということです。