「あの日のきょうにずきゅん」テレビ新広島、放送50年の歴史の中から、あの日のニュースを振り返ります。
今から30年前の1995年11月7日、広島、長崎の両市長がオランダ・ハーグにある国際司法裁判所の法廷に立ち、核兵器の使用や威嚇は国際法に違反すると訴えました。
【石原英里佳記者】
「現在7日午前9時です。国際司法裁判所前では広島、長崎両市長を迎えるデモンストレーションが行われています。被爆地の証言者に対する期待の大きさがうかがえます」
張りつめた空気の中、裁判官、傍聴者の目と耳は、証言台に立つ二人の市長に集中しました。
【広島市・平岡敬市長(当時)】
「市民を大量無差別に殺傷し、しかも今日に至るまで放射線障害による苦痛を人間に与え続ける核兵器の使用が国際法に違反することは明らかであります」
いつもは椅子に深く座ってゆったり構えている裁判官が、この時ばかりは身を乗り出して聞き入っていました。
翌年7月、国際司法裁判所は「核兵器の使用は一般的には違法であるが、国家の存亡にかかわる場合は結論が出せない」という勧告的意見を出しました。
明確な結論を示さなかったことに被爆者からは不満の声が上がりましたが、核兵器の違法性を国際法上で位置付けた判断は、その後の核軍縮への動きに大きな影響を与えました。