J1昇格を逃した悔しさと、託された未来

 J1昇格の夢が潰えた北海道コンサドーレ札幌に、かつて「闘将」と呼ばれた男が帰ってきました。2025年12月12日付でゼネラルマネージャー(GM)に就任する河合竜二氏が札幌市内で会見を開き、クラブ再建への熱い思いと、その哲学を語りました。

 会見に先立ち、石水創代表取締役社長は、「今季のチームの目標でありましたJ1昇格というところが潰えてしまいました。応援してくださったファン、サポーター、パートナー企業の皆様に対して、本当に大変申し訳なく思っております。ただ、シーズンはまだ残り3試合残っていますし、続きますので、最後までしっかりと勝負にこだわって戦っていきたい」と挨拶しました。来季の強化に向け、他チームに先駆けて河合氏にクラブの未来を託す決断を下したことを説明しました。

 新GMに就任する河合竜二氏は、「プロサッカー生活22年。この経験をサッカー界に生かしたい、還元したい、このクラブの力になりたい。そういう思いが強く、オファーを引き受けさせていただきました」。現役時代、「闘将」の異名でピッチを駆け抜けた男は、「熱い気持ちでこのクラブのために尽力して参りますので、是非皆さま、応援よろしくお願いいたします」と挨拶しました。

 今シーズンのチームについて問われると、「選手が一番苦しく、悔しく、そんな気持ちだと思います。我々フロントスタッフも全員、非常にもどかしく悔しく、そんな気持ちでいっぱいでした」と胸中を明かしました。

 GMとして取り組みたいことの第一に、河合氏が挙げたのは「フットボールフィロソフィーの徹底」でした。「『走る、闘う、規律を守る。その笑顔のために。』はフットボールをする以上は最低限のことだと思っています。その上で戦術、個人の特徴を出していけば、もっとよくなるはず」と語ります。そして、「練習から選手にしっかりコミュニケーションしながら、選手が100%気持ちよくフィロソフィーを体現できるように導いていくこと。スタッフにもそういった声がけをしていきたい」と具体的なアプローチを示しました。

勝利への執念と、サポーターとの対話

 二つ目の柱として掲げたのは、「地域に愛されるクラブ作り」です。「これまでもいろいろな地域貢献、社会貢献をしてきましたが、より多くの方に知ってもらうためには選手の力が非常に重要。子供たちに夢、希望を与える活動をしていきたい」とクラブと地域が一体となる未来像を描きました。

 具体的なチーム改善策としてまず着手したい部分を問われると、河合氏は「徹底的に戦える、そこが一番大事なポイント。1対1のせめぎ合いで負けていたら話はできませんし、その上で攻撃的なサッカーを展開していきたい」と勝利への執念を滲ませました。そして「ただ手詰まりした時、指導するのがコーチだと思うので、コーチスタッフにしっかりと質の高い練習をしていくことが自分に出来ること」と説明しました。

 サポーターとの距離感については「矢面に立つ覚悟がなければ、このオファーを受けていませんし、このクラブを変えていくという強い気持ちでオファーを受けた。自分の信念として、そういったところで自分が出ていく。いいときは出ません。悪いときには出ます。サポーターともいろいろディスカッションしながら、オープンにできない事は理解していただきつつ、クラブをよりいい方向に進めるように対話できることが一番いいこと」と自身の考えを示しました。

 自身のGM像については、「今までいろいろなキャプテン像、GMや監督の人間性のいいところを見習って自分らしいGM像を描いてみて言えるのは、やはりコミュニケーションを取れる人間が一番強いのかなと思っています」と人間関係の重要性を強調しました。そして、GMという立場の厳しさにも言及し、「一度獲得した選手は、絶対に戦力外に一度はなるので、私は切る立場でもありますので、非常に心苦しいですけど、誠意を持って、コミュニケーションを取りつつ、成長させていけたらと思っています」とプロとしての厳しさを語りました。

北海道文化放送
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