長年にわたり札幌で俳優、演出家として活躍し、北海道演劇財団前理事長の斎藤歩さんを偲ぶ「歩さんお別れの会」が札幌市のシアターZOOで開催されています。
会場では、今年6月に永眠された斎藤歩さんが舞台で愛用した衣装や楽器をはじめ、ゆかりの品々、そして公演での写真が多数展示されています。また、斎藤さん自身が手掛け出演した「亀、もしくは…。」「西線11条のアリア」「カフカ経由 シスカ行き」などの作品が上映され、来場者は故人の功績を振り返っています。
斎藤歩さんの妻である西田薫さんは、思い出深い作品として「冬のバイエル」、斎藤さんが特に好きだったという「ゴドーを待ちながら」、何度も上演を重ねた「亀、もしくは…。」などを挙げ、それぞれの作品への思いを語りました。また、「これをみんなで展示したり、どうしようとか話している時間が良かった」と、準備の過程も貴重な時間であったことを明かしました。
北海道演劇財団の磯貝圭子理事長は「斎藤歩さんを演劇人として送り出したい」と述べ、斎藤さんが手塩にかけて修理し、共に劇場を支えてきたことに触れました。そして、「この劇場でいろんな作品が生まれて、この劇場でたくさんの方に見ていただきましたので、ここで偲んでもらうというのが一番」と長年舞台に立ち続けたこの「シアターZOO」での開催に至った経緯を説明しました。さらに、「みなさんの心の中に作品のストーリーだったり、情景だったり、その作品を観られた時の心持ちだったり、いろんな思い出があると思うので、思い出してもらって、作品はずっと皆さんと一緒にいるということを思っていただければ」と、故人の作品が人々の心に生き続けることへの願いを語りました。
「歩さんお別れの会」は、9日(日)までシアターZOOを無料開放して行われます。