2025年9月に、金の店頭小売価格が“史上初めて1グラム2万円を超える”など、金の高値での取引が続いている。こうした中、「持っている金を売りたい」と多くの客が訪れているという県内の質店に密着した。
ブランド品などの“質預かり”や買い取り・販売を行う山形市の質屋かんてい局山形南店。
2025年9月、金の小売価格が史上初めて1グラム2万円台となり、多くの人が買い取りをしてほしいと、店を訪れるようになったという。
金の価格が高騰している要因の一つが、「ロシアによるウクライナ侵攻」「トランプ関税」などでリスク回避の姿勢が強まったことによる、“安全資産”としての需要の高まり。
(質屋かんてい局山形南店・新関広志鑑定士)
「世の中の先行きが不透明となり、投資家らが安全資産である金をたくさん買っている。特に中国やインドなどの国もたくさん金を買っているということで、上がっている」
国内で金の価格の指標とされる「田中貴金属工業」の金1グラムの平均小売価格の推移。
2000年に約1000円だった金1グラムが、2020年には6000円台となり、その後急騰。
2025年9月以降は、25年前の実に20倍の2万円台に突入した。
そして10月には最高値となる2万3370円に。
11月6日時点では2万1705円と少し値を下げたが、このタイミングで現金に換えておきたいと考える人が増えているよう。
「いらっしゃいませ」
この日、「金を売りたい」と来店した男性が持ってきたのは、20年前に知人から譲り受けたネックレス。
(50代男性)
「(Q.希望価格は?)70万円くらいになれば…」
(質屋かんてい局山形南店・長岡勇太鑑定士)
「金がいま高いから持ってきた」
(50代男性)
「持っていても仕方ない、着けないから」
別室に場所を移し鑑定が始まる。
(質屋かんてい局山形南店・長岡勇太鑑定士)
「これは18金ですね」
18金は、24金に別の金属25%を混ぜ合わせたもので、取材した日のこの店での買い取り価格は1グラム約1万6400円。
果たしてネックレスの鑑定結果は…。
(質屋かんてい局山形南店・長岡勇太鑑定士)
「18金で51グラムあったので、買取で84万6300円」
希望価格の70万円を約14万も上回った。
(50代男性)
「予想より高くて良かった。新しいバイクの資金にでもしようかと」
質店に来たのはこの日が初めてで、予想以上の査定額に驚きを隠せない様子だった。
次に店を訪れた女性は、“今が高値のピーク”と見て金を売りに来たという。
(40代女性)
「いつ金の価格が下がるかわからないので、一度現金化しておこうと」
持参したのは、自分で使っていたというアクセサリー9点。
(40代女性)
「(Q.希望価格は?)50万円くらいになればうれしい」
(質屋かんてい局山形南店・長岡勇太鑑定士)
「けっこうな金額になると思うのでお楽しみに」
鑑定士の長岡さんも、歴史的な金の価格高騰に戸惑っているという。
(質屋かんてい局山形南店・長岡勇太鑑定士)
「ここ1年~2年くらいの金の価格の上がり方はすごいので、“計算を間違っているのか”と思うくらい上がっている。感覚が追いついていないところがある」
さて、鑑定の結果は…。
(質屋かんてい局山形南店・長岡勇太鑑定士)
「けっこうな金額がついた。こちら9点で63万3600円」
希望価格の50万円を13万円も上回る結果に大満足。
(40代女性)
「うれしい」
以前はブランドやデザインなどが価格の評価に影響したそうだが、「金そのもの」の価格が上がった今は、壊れているアクセサリーでも高値となるチャンス。
たとえば、動かなくなった腕時計も…。
(質屋かんてい局山形南店・新関広志鑑定士)
「時計のブレス・外側のケースがすべて18金で作られているので、買取り価格で約100万円」
3人目にやってきたのは、祖父のコレクションを売りに来たという女性。
(30代女性)
「(Q.希望価格は?)私は詳しくないが、祖父が『今持って行けばたぶん150万くらいになるから換金してきて』と」
持ってきたのは、上皇さまが天皇に即位したことを記念して発行された10万円金貨と、天皇陛下の御成婚を記念した5万円金貨。
そして、上皇さまと上皇后さまの金婚式の記念メダル。
(質屋かんてい局山形南店・長岡勇太鑑定士)
「昔10万円の価値で買っていたが、金の価格が高騰しているので、良い時まで持っていたと思う。現金化する良いタイミングだと思う」
長岡さんによると、10万円金貨などはその金額以上の価値がつくそう。
これが驚きの鑑定に…。
(質屋かんてい局山形南店・長岡勇太鑑定士)
「10万円金貨が65万1000円、5万円金貨が39万円。1番高かったのが上皇さまと上皇后さまの金婚式記念のメダルで98万4000円。全部合わせると202万5000円」
(30代女性)
「びっくりした、そんな価格になるんだって。札束の重みが(笑)大事に持って帰る」
金は短期的に価格が下落する可能性があっても、希少性があるため長期的には価格が安定する傾向がある。
世界の情勢が不安定さを増す中、資産としての“金”の安定感は今後も増していきそう。
(質屋かんてい局山形南店・新関広志鑑定士)
「地球に埋蔵されている金が、五輪公式のプール1杯分ぐらいという情報も出ている。これ以上増えないものと思うと、この先10年・20年と考えるとずっと上がり続ける資産であることは間違いない」